第11話 冒険者デビュー
ふと昔の事を思い出しながら歩いていたらいつの間にかギルドの前についていた。
この五年…よく生き抜けたものだな…
過去の修行が走馬灯のように脳裏をよぎる。
弟子になって日が昇ると同時に修行が始まってひたすら山道を走らされたっけ…途中魔物に遭遇すると有無を言わさずけしかけられたな…
腕を組み空を見上げ一筋の涙が頬をつたう。
「まぁ師匠のおかげで手に職もついたしこれ
からは社会人として生きていく…師匠の遺
言もあるし…力を蓄えねば」
頬をたたき気合いをいれてギルドの扉をくぐる。すると二人の受付嬢が笑顔で迎えてくれた。
軽く会釈をして二人のもとへとゆく。
周囲から何か視線を感じるが気にしないでおこう。
「こんにちはサックさん」
「よく来た二ゃ」
「こんにちはリノアさん、ジャムさん
早速依頼受けに来たんですけどどうやって
受ければいいですか?」
ハッとしたようにリノアさんが口に手をあてて頭を下げてくる。
「も、申し訳ありません。登録の時説明して
おりませんでした。」
「おんやぁ~リノアちゃんミスとは珍しい二
ゃ~」
「説明の途中でジャムが飛び付いて来るから
じゃない。」
二人のやり取りを見て笑みがこぼれる。和む光景をニコニコしながら見ていると
「どうした二ゃ?サック…乙女をニヤニヤし
ながら見つめるとは…変態さんか二ゃ?」
回りからガタガタっと立ち上がる音が聞こえるが気にしない。
「いや、仲がいいなぁと思って、それと変態
さんではなく説明受けたい新人銅級冒険者
ですよ」
「それでは説明いたします。後ろの壁沿いに
ある大きな三枚の板に依頼が張り付けてあ
ります。
左から銅級、銀級、金級に別れていま
す。」
後ろをみると、一番大きい板に銅のメダル、その横に連なって銀のメダル、金のメダルが
飾られている。
「サックさんは銅級ですので銅のメダルが飾
られている場所の依頼は受けることができ
ます。
選ばれましたらその依頼書をカウンターま
でお持ちいただいて受注完了となります」
「なるほど。よくわかりました。では早速」
「あ、その前にお願いがあるのですが…」
「???」
リノアが申し訳無さそうに
「あの…例の件で…マスターがお話を聞きた
いということでサックさんがいらしたら呼
ぶようにと申されいて…」
師匠の事か…
「マスターさんに会えば普通に活動はできま
すか?」
「はい、もちろんです。お会いいただけます
か。」
胸の前で手を組み若干上目使いで聞いてくる
「いいですよ。案内して下さい。」
「はい、ありがとうございます。すぐ知らせ
てくるので少しお待ちください。」
ほっとした表情でリノアは奥へ入っていく。
するとジャムが近づいて来て耳元で、
「ウチのマスター…悪い人じゃないけどかな
り脳筋二ゃから気をつける二ゃ」
「脳筋ですか?」
どんな人だろうと不安になりながらリノア来るのをジャムと話ながら待っていた。
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