第10話 目覚めると師匠ができた
「ここは…」
パチパチ
目の前の暖炉の火がはじける音で目が覚めた。ソファーに座り毛布がかけられている
フクロウのような鳥の声、その先に視線を移すと窓から外が見え一面が星におおわれている光景に目を奪われた。
ソファーから立ち上がり窓枠に手を置き空を眺めていると背後から扉を開ける音がする。
「おぉ、目が覚めたかガキんちょ」
大柄のおじさんが笑いながら部屋へ入ってきた。ええとこの人は誰だ?
首をかしげているとおじさんは俺を小脇にかかえソファに座らせ木製の椅子を向かいに持ってきて腰を落とす。
「おいガキんちょ」
「は、はいっ」
「あ~もう体は大丈夫か?」
「体?…あっ!」
目覚めてすぐ満天の星空を見たからすっかり忘れたてた。
俺はデッカイ猫に追われてたんだ。
追いつめられ、覚悟を決め、立ち向かおうと睨みあってるときに突然何かが飛んできてネコを…
「もしかして助けてくれた方ですか?」
そういえば薄れゆく意識の中で誰かにお礼を言ったような…
「おぅ」
やっぱり
「あ、ありがとうございます。助けていただ
けなければアイツに食べられてました。」
ソファーから立ち上がり深々と頭を下げお礼を言った。
おじさんは頭をかきながら
「気にすんな。あの現状見たら助けはいらな
かったと思うが…それよりお前何でこんな
危ない山にいる?親はどうした。」
「あの現状?…」
「木が根っこから引き抜かれてたり、岩が散
乱してたりでどうしたらあぁなる?」
「散乱…?あぁ、収納と取り出しを無我夢中
でやったから…」
「収納?取り出し?」
「はい。」
俺はソファーに手を置き収納してみせた。
「おぉ珍しい。ストレージか?その歳で空間
魔法を使うのか」
「空間?魔法…魔法!!」
俺はおじさんにつめより確認する
「魔法があるんですか?この世界には」
「この世界?お前…流れ人か?」
おじさんに頭を鷲づかみにされ
「流れ人?」と問うと突然おじさんが笑いだした。
「くっくっく…はぁ~っはははは」
頭をぐりんぐりんと回されながらおじさんは笑い続ける。目が回りだした頃ようやく解放されふらふらと床に座り込む。
「よし、お前、俺の弟子になれ」
「弟子?」
頭を抱えながら聞き返す。
「流れ人は違う世界からこの世界に流れてく
る奴らの事だ。奴らはこの世界に流れてく
るとき魂に合う肉体に作り変えられる」
あぁだから子供の体だったのか。両手を広げ小さな拳を作り足踏みをし、ぴょんぴょん跳び跳ねる。
「ちなみに拒否権はないからな」
「ええ!!」
「どっちみちこの山では力がないと生き抜け
ん。自分の身は自分で守れないとこの世界
ではやっていけないからな。」
半ば強引に弟子にされてしまった。
「おぉ、そうだガキんちょ。お前名前は?俺
はリオルカだ」
「あ、はい佐久間 健治と言います。」
「サクマ…じゃあお前は今日からサックだ。
流れ人だとわからない方が面倒に巻き込
まれずにすむからな」
「サック…はい!よろしくお願いします師
匠!」
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