第6話 ギルド公認雑用係 その六

食後のお茶タイム中


リノアが神妙な顔でサックへ話しかける。


「リオルカ様の件は上司に報告しなければな

りません。英雄の死ですから…お手数です

がご一緒いただけますか?」


カップを置き少し考える…


「…祖父は有名人なんですよね?」


「?…そうですね…王都では舞台にもなって

ますから。」


「義理とはいえ祖父と共に生活していた俺が

祖父の死を証言したら面倒な事になりませ

んか?」


まだ食事中のジャムが口のなかを水で流し込み一息ついて、

「間違いなくなる二ゃ。モルト山で生活して

単独で下山、魔の平原を越えてここまでた

どり着く…確実に王都に行くことになる二

ゃ。」


「なんとか俺の存在なしで事を済ませてもら

えませんか?普通の冒険者として生活した

いので。」


「わかりました。ギルド内で留めてもらえる

よう話してみます。」


その時、外で鐘が鳴り響く。


「いっけない!休憩時間終わっちゃう!戻ら

ないと。ほらジャムいつまで食べてるの」


「う、う二ゃ~~!!」


「すみませんサックさん。戻らないといけな

いのでお先に失礼します。落ち着いたらギ

ルドまでお越し下さい。それでは!」


「また後で二ゃ~~。ってリノア、腕抜けち

ゃう二ゃ!引っ張る二ゃ~~!」


リノアは一礼しジャムを引っ張って飛び出して行った。…あれ?お代は?


シャルトはニッコリしながら

「三人ぶんで銀貨八枚だよ。ジャムが十人

前食べてたからね。」


「俺が払うようです?」


シャルトの耳が天をつき眉が段々上がって目が細くなって行く。今度は尻尾が持ち上がり始めた時…


「金貨一枚からお願いします。」


腰を直角に折り両腕で一枚の金貨を献上する。

シャルトの上がりきった耳と眉は下がり笑顔になり

「じゃ銀貨二枚の釣りだ。宿泊はどうする

素泊まりで一泊銀貨五枚だよ」


金貨を一枚出して再度腰を直角に折り再献上


「二日分お願いします!」


「まぁ今日は運が悪かったね。明日は朝食つ

けてやるから気をおとしなさんな。」


大きな声で笑いながら背中をバシバシ叩いてくる。


その場でうずくまるとマチカちゃんが頭を撫でて慰めてくれる。


ありがとう、と俺もマチカちゃんの頭を撫でる。お互い笑い合うとシャルトが


「マチカに手は出すんじゃないよ」


と細目で睨まれた。この姉妹過保護過ぎるだろと心の中で思った。


マチカちゃんは首をかしげでいる。


こんな妹なら欲しいかな。と思ったのは内緒


癒しは必要だよね。









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