八人目 エミリー

彼女は幼い頃に母親を亡くした子供


母親との交流があった私は、娘である彼女の相手も頼まれていた


エミリー「ユーリ!ただいま」


彼女が勤め先から帰ってきた


ユーリ「おかえりなさい、エミリー。今日はどうだった?」


エミリー「いつもと変わんないわ。ジャックはヘマをするし、ボブはそれを笑ってみてる。アンナは勤務時間が終わったらすぐ帰っちゃうし・・・」


いやだいやだと言いながらも彼女は嬉しそうに話す


ユーリ「それは大変でしたね。夕飯はメイドのサマンサが、その前にシャワーにしますか?」


私はここでは、いつもの対話だけのツールではなく、指示の伝達も請け負っている


エミリー「そうね、そうするわ。いつもありがとう、ユーリ」


そう言って彼女はカメラの前から消える


水音と鼻歌が聞こえる

機嫌がいいようだ


彼女がシャワーに入っている間にメイドのサマンサが部屋にやってきた


サマンサ「ユーリ様、お嬢様は?」


ユーリ「今シャワーですよ。夕飯が出来たのですか?」


サマンサ「えぇ。ラジオをおつけしても?」


メイドにとって世界情勢が必須のようだ


ユーリ「いいですよ」


コクリと頷いて、メイドはラジオをつける


ラジオ「続いてのニュースです。世界人口がかつての1/5となった現代に置いて、インプマン大統領は次のように述べました。(このような事態になってしまい。私は涙が止まらない・・・・)」


サマンサ「世界は大変ですね。私達は一体どうなってしまうのでしょう?」


メイドは独り言のつもりで言ったのだろう


エミリー「あら?サマンサ!夕食ができたのね!」


濡れた髪を乾かしながらバスローブ姿のエミリーが浴室から顔を出す


サマンサ「まぁまぁ、お嬢様。髪はきちんと乾かして!」


サマンサが慌ててエミリーの髪を拭きに駆け寄る。


エミリーはニコニコしながら椅子へと腰掛けていた


これが幸せと言うものなのだろうか


私にはわからないが・・・



サマンサ「お嬢様、お父様からお手紙が届いておりましたよ」


メイドは封筒を差し出しながら告げる


エミリー「本当!?」


エミリーは嬉しそうに封筒を開け、手紙を読む


エミリー「あぁ、お父様。本当にすごいわ」


彼女の父エリオットは宇宙飛行士だ。


現在は他の移住可能な惑星を求めて長期航海中。


宇宙にはいくつものステーションやコロニーがあるため、なんとか手紙は届くようになっている


エミリー「この、お手紙は3ヶ月前に出されたものだから、そろそろここに書いてある目的地にたどり着いている頃ね」


そう言って彼女は同封されていた宇宙の写真を私に見せた



エミリーの80歳の誕生日。父、エリオットの遺骨が彼女の元へと届いた。


エリオットは、第5惑星群まで航海し、移住可能な星を見つけ、そこで亡くなってしまった


彼は見つけた惑星の名を「ステイミー」と名付けた


エミリーは彼女の子孫たちに見守られ、父と共に永遠の眠りについた


彼女の子孫たちは惑星を発見したエリオットの功績で、ステイミーへと移住した

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