第3話 終幕
十五歳の夏
mとsは中学生になり高校生になる試験を冬に控えていた。
「mちゃんごめん、今日も生徒会の仕事行けない」
「大丈夫、そこまで多いい仕事ではないし。中学最後の剣道の大会なんだから、あなたは大会に向けての練習に専念すべきよ」
「でも、mちゃんもコンクールの絵があるんじゃ」
「まだまだ時間あるし、私は大丈夫」
「ほんとごめんね。じゃあお言葉に甘えて行ってくる」
「行ってらっしゃい」
二人は中学の生徒会になっておりsは生徒会副会長剣道部の主将、mは生徒会長兼美術部の部長になっていた。mは一人生徒会室で仕事を済ませ、剣道部の道場の様子を少し見て帰路を辿る。
「家に帰ったら花にお水あげないと…」
あの店員から貰った花はまだ枯れることもなく咲くことをなかった。店員に花について聞こうと七歳の冬にお花屋さんに行ったのだがその店員は既に居なくなっていた為その花のことは謎のままである。
いつも通り帰路を歩いていると見知らぬ男たちが立ち阻む。高校生か分からないが皆ピアスやら指輪やらを身にまといちゃらちゃらとしたいわゆる不良と言うやつなのだろう近くにバイクを止めてあった。絡まれぬよう避けて通ろうとすると肩を掴まれる。
「あんた○○のsちゃんか?」
「いいえ、違いますが」
「じゃあmちゃんの方か?」
「いえ、人違いだと思います。では」
そう手を払い歩き出す。
「あれあれあれ、この写真見る君sちゃんかmちゃんのはずなんだけどなぁ」
男がmの前に再び立ち阻みケータイに写った二人の写真を見せる。mは男を睨みつけ口を開く。
「何が目的なの?」
「おお、怖い怖い。いや俺たちはsちゃんに用事あんのよ。うちの妹が今年最後の大会でなsちゃんさえ居なければ優勝できるのよ。だからsちゃんには辞退してもらおうと」
「警察に通報するわよ」
「出来ると思うかい?」
男たちはmを囲い込み両腕を掴み身動き出来ないようにする。
「声をあげてもいいぜ?まぁもうここには人なんていないけどな」
「何を言って…」
周囲を見渡すと男の言った通り人の気配など無くなっていた。抵抗などできず近くの倉庫の中に連れ込まれれ放り投げられる。壁への衝突を腕で受けて和らげ男たちを睨む。
「どういう手品かしら」
「さぁな、手品もどうも俺たちは知らねぇよ。俺たちはただ雇われただけだからな」
「雇われたって一体誰に」
「さぁ、何なんだろうな。まぁただお前らを犯すだけでお金を渡すって言うんだいい仕事だろ」
「下衆が」
「いいねいいね、俺はあんたみたいなクールな女の歪んでいく顔がたまらなく好きなんだよ。だからすぐに萎えさせんなよ」
それからはただただ気持ち悪く長い時間が続く。ひたすらに倉庫内に鳴り響く男たちの喘ぎ声、卑猥な音と液体が落ちる音どれくらい時間が経ったのか分からない。
「ふぅ、満足満足。約束してやるよ、また大人しく俺たちの相手してくれるならsには、手出ししねぇよ」
「本当…でしょうね…」
「あぁ、守るとも。俺たちは目先の欲に忠実だからな」
そう言って男たちは去っていく。
「おおええぇえ」
倉庫内に響く嘔吐の声とびちゃびちゃと落ちる液体の音。周囲の匂いは酷くさらに気持ち悪くなり再び吐き出す。
家に帰り急いでお風呂に入り何度も何度も水を無理やり飲み吐き出すを繰り返す。匂いを消して母親にもsにもバレないように。
学校
「おはよーmちゃん、今日は練習早く終わるから一緒に帰ろ」
「ごめんなさい今日は用事あるから早く帰るわ」
「そっか…うん、わかった。じゃあ、また時間が合う日一緒に帰ろ」
「ええ、約束するわ」
mはsのいつも通りの様子に安堵し再び男たちの呼び出しに応じる。毎日学校に行って倉庫に家に帰っては何度も吐き出す。そんな毎日を繰り返す。
自分さえ我慢して耐えていたら周りに迷惑をかけない…でも、いつまで…私はいつまでこんなことを我慢するの…だけど、私後逃げたらsちゃんに…私が我慢してたら、そう我慢して…
クリスマス当日、倉庫に呼び出されるが1人しかそこにはいなかった。
「他の人たちは」
「あぁ、もう先に場所移してるよ。俺はあんたを案内するために待ってただけさ。さぁこれ付けて」
男はmに目隠しを差し出す。
「…分かったわ」
mはそれを受け取り自信で身につける。男に連れ歩かされ右やら左やらと言われ案内され階段を上り目的の場所に到着する。その道のりに身に覚えがあった。
「いいよ目隠し外して」
その目的地はmが暮らしてきたアパートである。そして部屋の中からは男たちの声と嫌な音が聞こえてくる。扉を開くと母がそこにおり首を締められながら犯されていた。
「やっと来たか…さぁて、親子丼だぞみんな。楽しもうぜ」
「母親って言うからどんなババアかと思ったらまだまだ若くてmちゃんそっくりの美人で嬉しいぜ」
「それだよなぁ、明日の朝まで俺やれそうだぜ」
そう言って男たちはmに近づく。
「何で…母さんを巻き込んだの…」
「あ?俺たちはsには手を出さねぇと入ったがお前の母親には手を出さねぇと入ってねぇぞ。それにお前勘違いしてるぞ」
「…どういうこと?」
「お前はお前の母親の事情に巻き込まれただけだよ。なぁ?」
男はYの髪を引っ張り頭を無理やり上にあげる。Yは小さな声でずっとmに謝り続けていた。「巻き込んでしまってごめんなさい」と
「そんじゃあ、始めっかぁ」
「おっしゃぁ」「待ってました」etc…
アパート内で鳴り響く色んな音いつもと違うのは近くで母親が目の前で犯される光景を見せられながらされている事だ。Yはずっと無気力に謝り続ける。そこにはもう魂などなく。同じことを繰り返して言う機械のように。何時間も犯され続け。時計の針が十二時をさす。
「ふぅ結構満足したなぁ」
「兄貴ィこいつらもう冬休みだしこのままやり続けませんか」
「おお、名案だな」
カシャ
不意にシャッター音がなる。別の男がケータイでmとYを撮ったのだ。
「これ使ってsとSも混ぜませんか?この写真で脅せば何も出来ず従うしかないでしょう彼女らも」
「そうだなぁ、まぁいっか。そうしよう」
「な…んて」
「あ?」
mの小さな呟きに男が耳を近づける。
「約束が違う…sにはsとSには手を出さないで…」
「う〜んでもなぁ、俺たちもっと楽しみたいんだよ。確かに約束はしたが絶対守るとは言ってないもんなぁ」
「鬼畜すぎんだろw」「ひゃっははは、おもしれぇ」
そう男たちが大笑いする。
私が今ままで我慢したのは意味なかったの…私達のせいでs達が巻き込まれるの…?私たちさえ…こいつらさえ…巻き込んだ奴らさえ居なければ…私達の存在さえなければ…
「あ?なんだこれ」
mがもたれかかっている壁にある窓ふちにあの花植木鉢がそこに置いって合った。
「おい、こんな所にこんなものあったか?」
「いや、無かったような。合ったような?」
その花の蕾はどんどん萎れていき蕾の中にある花弁をら一つだけ残し落ちていく。それに続くように三つの蕾が同じようなことを起こす。すると部屋の中が真っ黒になる。暗くなったのではない真っ黒に変わってしまったのだ。
「な、なんだよ。これ急に寒気が…」
「なんかやばくねぇか。おい」
「あ…あ…兄貴ィ」
一人の男が尻もちを付いてがくがくと全身を震えさせる。
「あ?なんだよそんなに震えて何見てやがる」
「あ、あれ」
男が指を指し皆がそれを見る。
「なんだこりゃ」
皆の目に映るそれは窓の外を木のようなものが蛇のようにぐにゃぐにゃとのたうち回る真っ黒な影だ。
するとmの手元に鉢植えがゆっくりと位置する。それと同時にmの後ろに真っ白な影が浮かび上がると同時に左右から黒い液体がドロドロと動き変な形を作り始める。それは木の枝のようにも悪魔の翼にも見える。植物の根っこが伸びmの体に巻き付く。
「なんかやべぇ逃げるぞ」
「ひぃぃぃぃ」
男たちがアパートのドアをこじ開け外に飛び出す。外は部屋の中と同じように真っ黒で気味の悪い空間に感じる。男は階段を降り走り出す。が一人の男が崩れるように転げる。それに釣られ二人が後ろを見ると木の大きな根が地面から出てきており三人の足に巻きついていた。
「嫌だ嫌だ助けてくれ」
「いやだァァァァ、誰か誰かいねぇのか」
「助けてぇたずげでぐれでぇぇ」
そんな叫び声を上げるも誰一人人は出てこない。木の根に力が入り三人をアパートの方に引きずる。
「あがぁぁがかぁがぁがぉごぉ」
「ぶびゃびゃゃげぇぎゃぎゃごぉ」
「あべぎゅぐぢゅじちゅぢゅぎゅ」
地面に引きずられ肉片と血が飛び散り道路に引きずった跡が残る。
ガン ゴン バン バンと階段などお構い無しにあちこちに男たちを叩きつけながらm達がいる部屋に引きずり込む。
「たが、…た、たひゅけ…」
「ぅゔ、いだい…いだぃぉぉ」
「ひゅーひゅーひゅー…も、もぶ、いあだ」
男たちは血の涙を流し必死に懇願するもmには届いておらず木の根が部屋中から伸び男達を弄ぶ。手をちぎり、締め潰し、根を刺し、中で蠢き周り、肉を抉る。男は苦しそうに言葉になってない叫びを漏らす。
「うでぇぇぇえぶでぇぇおぉぉ」
「べぎゅぅぁぁあだぁあげぃぎぇ」
「りゅべでぇじゅぢぃおでぇ」
いつまで根が男たちを弄ぶ。普通ならもう死んでいてもおかしくないのに男たちは苦しみ続け生きている。というより生かされているのだろうか…常人には理解出来ない事がこの空間で行われている。
何時間たったか分からないが根の動きが止んだ。
「ぼ、ぼびゃっだのがぁぁ?」
「だ、だじべぇっだぁが」
「ぼ、ぼぶびびゃだぁ」
そう男たちが泣きながらも痛めつけられるのが終わったと安堵した瞬間根っこが大きく動き男達の尾の部分から頭にかけて貫く。男たちは叫んでるようだが聞こえるのは隙間を通り抜けるような空気の音だけ。そして木の根はそのままアパートの外に男たちを貫いたまま外に出て大窓から見えるように磔にされる。
美しく座るmの背景を飾る絵画のように。
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