★主人公の動機について

■質問内容:現在、ファンタジー小説を書いているのですが主人公が行動する(旅に出る)ための動機が作者から見て弱いなと思い詰まっています(プロット作成済)。登場人物達の動機に+α(読者様への説得力……でしょうか)できる物はどの様な物があるでしょうか?


■解答結論:これはあくまで持論ですが、主人公が旅を出る理由などの部分は、あまり理詰めで考えなくても問題ないかと思います。


 行動する動機は別に面白さ極振りでいいのではないでしょうか?


 具体的には、ギルドの報酬が少なすぎるので、転職を考えて冒険にでてみたら求人情報と全然違ったみたいなものでも全く問題ないかと思います。※たとえですが


 もちろん、わかっているとは思いますが読者の求めているのは第一に、整合性ではなく面白さです。面白ければ、多少の粗は無視されちゃうもんです(笑)


 逆に、シリアス路線でいきたい場合には、同情を用いるのが最も効果的な演出方法の一つではないかと思われます。その他、情緒を重んじるような日常系作品の場合であれば、なんとなくということもなくはないでしょう(作品の良さ自体が、文章表現力依存の場合が多いためです)。


■解答の詳細について


 以前、世界観と舞台設定の違いについて、似たような話をしたことがあるのですが、基本的には世界観はぶっとんだ非日常的設定や話題性のある要素が重視される傾向にあり、舞台設定についてはご都合主義にならないためのリアリティを追求する傾向にあるようです。


▼世界観と舞台設定の違い

ご参考:https://sakka-no-mikata.jp/2019/02/02/character-setting-77/


 これと似たようにして、文章というのも一文一文が持っている目的が違います。大別してあげれば、出来事の流れを追いかける魅力的な情景描写(地の文)と、思考の流れを追いかけるセリフパートやモノローグ(会話文)でしょう。


 面白い小説というのも、出来事だけをたどれば大抵は面白くありません。例をあげるとすれば「朝起きる→バイト行く→好きな人に会う→告白できずに帰る(アクション)」みたいな感じですね。


 これだけであれば、面白さというのは何ら必要はなく。もし凝りたければ、自分が好きなシチュエーションを他作品から転用してきたり、叙述トリックを仕掛けるくらいなものでしょう。


 しかし、叙述トリックというのは多すぎると読者を混乱させますから物語を通して多くても2~3個がせいぜいなものです。とても大量にねじ込むようなものではありません。※もちろん、それが持ち味なら別ですが。


 一方、思考の流れ(文脈)というのは、主に作者が書きたい考えていることですね。要するに、例えで出していたアクションに対するリアクションのことです。


 具体的に書いてしまえば「朝起きる時どういう気持だったか→バイトに行くときの気分はどうだったか→好きな人に会うまでなにを考えていたか→告白はなぜできなかったのか→帰ってなにを思うのか(リアクション)」といったもののことです。


 この部分には、読者を納得させるだけの理詰め(リアリティの追求)は重要になってくるでしょう。この質問の趣旨は、まさにこの部分をどうすれば自然に表現できるかという問題だということです。


 基本的に人というのは、いきなり「AだからBしよう!」とはなりません。会社をやめたいから会社を立てました!といきなりなるわけではなく、もう少しじわじわと揺れ動きながら進んでいきます。


 例えがあれですが、会社をやめたいならまずは転職サイトに登録するかもしれませんし、起業について勉強しだすのが自然なステップでしょう。


 重要なのは、AだからBという結果に至りました!ではなく、Bという目標を求めて行動しているうちに、Aという出来事が自然発生的に生まれてきたといったほうが理解しやすいのだと思います。


 したがって、行動する動機というのは、別に主人公の興味本位や偶然の重ね合わせで、面白みにかける場合は面白さを付け足してあげるだけでいいのではないでしょうか。


なにかの参考になれば、幸いです。(`・ω・´)ゞ

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