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“アンリアル”:「意外と抵抗しますね……ですが、流石に存在維持も限界でしょう」


 “アンリアル”の言葉は事実だった。彩の身体はところどころにノイズが走り、向こう側が透けて見えるほどに、存在そのものが希薄になっていた。


彩:「う、うぅ……ぜったい、あきらめない。ヒサトはぜったい、かえってきてくれるから……!」


“アンリアル”:「……憐れな。一思いに終わらせてあげるのも、また優しさでしょうかね」


 呟き、“アンリアル”は懐から拳銃を取り出す。その銃口は、間違いなく彩と、その奥に倒れる久人に向いていた。


“アンリアル”:「避ければ少年が傷つきます。大人しくして下さいね」

彩:「っ……!」


 トリガーにかかった指に、力が込められる。

 鳴り響く銃声。オーヴァードの身体能力なら、避けられたかもしれない。

 それでも、彩は……恐怖に目を瞑り、それでも避けようとはしなかった。


 しかし、来るべき痛みは来ず。不思議そうに目を開く彼女の頭に、軽く手が載せられた。


久人:「よく頑張ったな、彩」


 彩を庇うように、目覚めた久人が前に立つ。その傍らには、凶弾を剣で斬り裂いた空の勇者が付き従う。


彩:「ヒサト……!」

久人:「待たせてごめん。夢は終わった。もう、大丈夫だから」


 静かに告げて、久人は“アンリアル”を睨みつける。その視線には、紛うことなき激情が込められていた。


久人:「“アンリアル”……俺はお前を許さない。よくも彩を傷つけたな」

“アンリアル”:「馬鹿な……私の夢から、自力で復帰したというのですか。何故、どうやって!」

久人:「未練よりも、守りたい笑顔があった。それだけだよ。行け、空の勇者! この悪夢を終わらせる!」


 久人の指示で、空の勇者が天高く舞い上がる。大上段に構えられた剣に、レネゲイドの光が収束する。そして――。


空の勇者:「ゼァアアア――!!!」


 振り下ろされた剣から、莫大なエネルギーを秘めた光の斬撃が、“アンリアル”に叩きつけられた。


“アンリアル”:「ぐ、あぁあああ――!」

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