第一話 二人はゆりボイン
☆☆☆その①☆☆☆
惑星国家の版図は、まるで水中で引き延ばした餅の如く。
惑星の周囲を二十回りほど領有している球形宙域が、いわゆるその惑星の領海であり、そんな所属惑星同士を宇宙空間で繋いだ直線状の範囲を、その惑星国家の総合宙域として認められているからだ。
伸ばした納豆と菌糸を思い浮かべると近い感じか。
そして、直線状の宙域からはみ出ればすぐに治外法権、というワケでもなく、そこは宇宙の公海として認識されていた。
公海上ならば、広大過ぎて警察組織の追跡も困難になる。
とはいえそこは、逃走する犯罪者側にとっても、決して安息できる空間ではない。
宇宙の公海とはつまり、生存に関わる必要物質が何もない空間であり、その距離も範囲も、宙域などとは比較にならない程の、無限の空間。
生命体が知性で認識している宙域など、宇宙空間全体からすれば、大海を漂う長い糸よりも小さな存在であった。
無謀なる好奇心か無駄な死の覚悟か、あるいは女にフられてヤケクソにでもならない限り、凶悪な犯罪者ですら、それぞれの宙域を離れようなどとは思わない。
そして今、そんな宇宙の公海に飛び出した、中型の宇宙船が一隻。
宇宙船は全長が七百メートル程の中古船で、物資の運搬を目的として建造された、ほぼ長方形の航宙貨物船である。
光の反射やレーダーを遮る漆黒の船体には、地球連邦の許可を受けた宙航許可証が、大きく光学プリントされている。
一見すると、ごく平凡な貨物船に見える、その内部では。
「とにかく最高速でトばせ! 取引の宙域まではまだまだ遠いぞっ!」
「「「へい、リクッパの兄キっ!」」」
十五人の荒くれ男たちを仕切っているリクッパは、大柄で太っているのに筋肉質で緑色の肌をした、オブッツ星人の犯罪者だ。
密輸組織のリーダーらしく、ブリッジの艦長席に深く腰掛け、大瓶の酒を煽っている。
リクッパの周り、ブリッジのコンソールには五人ほどの部下がいて、それぞれが操船や通信、レーダーなどを担当していた。
残る十人は、船体に隠された攻撃武器の管制システムで、個別に警戒している。
この密輸団は、何やら違法物質を運んでいるらしく、取引相手との約束時間に遅れそうになっているのだ。
リーダーのリクッパが、また酒を煽り、イライラと焦りを隠さず、ブリッジの壁を見まわしながらの貧乏揺すり。
「くそっ…だからこの船は嫌なんだよ。古すぎて、安定しないエンジンだけ最新式って違法改造すら出来ねぇ代物だぁっ!」
「でも兄キぃ、この取引がうまくいったら、いよいよ俺たちもピカピカの大型貨物に買い替えるんですよね?」
「おおよっ! 一回りも二回りもデカい航宙船だぁっ! スピードも運べる荷物も、まさしく段ちが–」
犯罪者たちが大きな夢に胸を膨らませていると、船内のアラームが甲高い警告音を発した。
レーダー監視の部下が、慌てて報告。
「! 兄キっ、後方五時から、高速で接近してくるヤツがいるぜっ!」
☆☆☆その②☆☆☆
「何ぃ? ドコかのサツかぁっ!?」
「距離は百宇宙キロ! 船影によると…なんだ、小型の高速航宙船ってところだぜっ!」
「ケっ、パトカーじゃねぇか!」
密輸団の感覚では、自分たちの中型貨物船は大型十輪トラックであり、警察の小型宇宙船はパトカーのレベル。
密かに潰すなんて朝飯前だ。一様に安堵する犯罪者たち。
引き続き、通信係が笑いのネタとして、送信された電波をそのまま船内スピーカーから流す。
『公海上の貨物船に告ぐ。貴船の航行は公海航行法に於いて、大変危険な行為である。今すぐ停船し、身元と航行目的を甲請されたし!』
澄んだ美声は、まるで夏の高原の涼風のようで、訊いただけで、声の主が若く美しく凛々しい美少女だと確信できた。
犯罪者たちがみな、色々と邪な想像をして、下卑た醜笑な本性を露わにする。
「へっ、若い女だが、やっぱりサツか!」
密輸団のリーダーは、それでも取引に遅れてはならないと、惜しむ気持ちで命令を下す。
「エンジン加速っ! 振り切れなきゃ…まあ、実力行使だぁっ!」
リクッパの命令が艦内に轟き、火器管制のメンバーたちが、ハンティングの期待でニヤニヤする。
「たかがパト一隻で警告に来る、お前らが間抜けなんだよ!」
余裕で笑うリーダーはしかし、続く警告に凍り付く。
『こちらは地球連邦警察所属 特別捜査官「ホワイト・フロール」。繰り返す、貨物船は直ちに停船せよ!』
「ホっ–ホワイト・フロールだとぉっ!?」
黒い貨物船に接近する小型の宇宙船は、優雅な白鳥を思わせる流線形のシルエット。
漆黒の宇宙を高速で飛翔する艶めく白鳥は、百五十メートルの本体を風のように泳がせて接近していた。
犯罪者なら、一目でわかる。
特別捜査官にのみ与えられる、量産型の船ではない、専用に建造された航宙船。
望遠カメラで船影を確認すると、密輸団たちはパニックに包まれた。
「マジだっ! 地獄の仇花ズだっ!」
「ブラッド・ローズが来るぞおっ!」
「なんてこったっ! 敵はデス・ラフレシアンズだあっ!」
様々な通り名を口にする部下たちに、リーダーのリクッパが檄を飛ばす。
「馬鹿野郎どもっ! エンジン臨界まで上げろぃっ! 銃座の連中は何でもいいから弾バラ撒けえぇぇっ!」
右往左往していたブリッジがトップの命令で一纏めになると、急加速した貨物船が、ミサイルやレーザーを乱射してきた。
密輸団の攻撃は決して乱雑ではなく、全ての一手が確実に白鳥を狙っている、なかなかの手練れ。
普通の中型パトロール船なら数秒と待たずに消滅しているであろう物量攻撃を、銀河の白鳥は華麗に舞いながら全てをかわし、確実に対象へと接近してきた。
レーダーの警告音が早まって、二隻の距離が確実に縮まってゆくのが、密輸団にもハッキリと解る。
リクッパが焦り、怒号を飛ばす。
「何してるっ! たかがパト一隻っ、撃ち落とせよっ!」
「ダメだ兄キぃ、撃っても撃っても避けられちまうぅっ!」
緩急なく襲い来る物量弾幕を、スイスイとかわす追跡船から、再び美声が轟いた。
『地球標準時間 二十時十五分。該当の貨物船を偽装の武装船と確認。停船要請無視に対し、これより実力行使に移行する』
白鳥が三キロの距離にまで超接近を果たすと、目を思わせる先端部分から、熱レーザーを数発だけ発射。
十数発のミサイル群の、数発が的確な迎撃を受けて爆発し、爆発は誘爆となって周囲のミサイルたちを全て巻き添えにして消滅。
「近づいてきたぞっ! 落とせ落とせぇっ!」
リパックが焦りを隠せない命令をするも、ミサイルは撃ち落とされレーザーは避けられる。
更に白鳥からの一射一射が、貨物船の攻撃兵器へと正確に命中をして、その能力と操作者を確実に殺してゆく。
中型貨物船の機動力では、小型の専用宇宙船の瞬発力の、足下にも及ばない。
後方への攻撃手段が奪われた偽装貨物船は、更に後方ハッチを破壊される。
「グっ、乗り込んでくる気だっ! 野郎どもっ、お出迎えの用意だぁっ!」
リーダーの命令が艦内に轟くと、貨物室を護る五人の部下たちは次々と宇宙服を着込み、レーザーライフルや火炎放射器などの小型な携帯火器を持ち出した。
いかな無法者といえど、宇宙船の中でロケットランチャーを持ち出すほどの馬鹿はいないのだ。
「来たぞっ!」
破壊された後方ハッチから、メタリックホワイトに艶めく白鳥が飛び込んでくる。
「ハッチを狙えっ! むしろこっちから乗り込んでやらぁっ!」
カーゴルームに飛び込んできて軟着陸をした白鳥の背中へ向けて、レーザーや小型の爆弾が降り注がれる。
捜査官が出てくる隙は一瞬も与えず、更にハッチを破壊して乗り込んでやろうと、意気込んだ集中砲火だ。
「ヤツらビビって出てこれねぇぞっ! ハハハッ、攻撃続行ぅっ!」
相手が動けないと読んで、活気づく密輸団。
しかし白鳥は、貨物船の内部破壊など全く意にも介さず、カーゴルームの内壁へ向かって、目からビームを発射した。
ドーーーーーーーーーーーンっ!
宇宙航行の危険性を知っていれば、馬鹿でもない限り決してあり得ない、破壊力過多な対艦攻撃。
「「「ゲっ!?」」」
盛大な爆発で、カーゴルームで奮戦していた密輸団たちが、ゴミのように船外へと吸い出されてゆく。
「ひえぇっ、ウソだろ~~~っ!」
破壊の白鳥が尾翼に見えるユニットの根元から、数発のトリモチランチャーを発射すると、破壊されたカーゴルームの後方ハッチへとタップリと張り付き、艦内は再び気密状態に戻る。
集中砲火から解放された白鳥の背中ハッチが開かれると、狭い出入口のエレベーターがせり上がり、二人のケモ耳少女が、抱き合うような姿で出現した。
☆☆☆その③☆☆☆
一人は、ショートカットのサッパリした少女で、強気な釣り目が中性的な美しさ。
フェイスだけを見たら、女性のように美しい王子様だと勘違いをされても、不思議ではない。
頭部には、ネコ科動物を思わせる三角形の大きな耳が、左右に立っている。
平均よりもやや恵まれた身長に、平均以上のバストと平均未満のウェスト、そしてやはり平均以上のヒップが、一目でわかった。
広い腰には二丁のホルスターが巻かれていて、それぞれには大型のレーザーガンが収められている。
尾てい骨の膨らみからは、黒くて長い尻尾がユラユラと艶らかに揺れていた。
もう一人は、ゆるふわロングの優しい瞳。
面立ちは輝くオーラを放つほど高貴に整っていて、実はさる銀河国家のプリンセスですと言われれば、誰も何の疑問もなく信じてしまうだろう。
そして頭部にはウサギを思わせる、真っ白で大きな耳がピクんと立っていた。
身長は平均より少し小さいものの、バストとヒップは平均よりも恵まれていて、ウェストは平均よりも細い。
腰のホルスターには小型のヒートガンが一丁、収められていて、左の手首にはサイズの大きな特殊なコンソールパネルが巻き付けられている。
やはりというか、尾てい骨の膨らみには、真綿のように真っ白なウサギ尻尾が、フワフワと弾んでいた。
二人の肢体を飾っているのは、露出の高い極薄メカビキニ風な、銀色の特殊スーツ。
首元のリングで止められたスーツは、大きなバストをムッチリと包み、護っている。
隠されていないウェストは、細い背中や縦長の臍が剥き出しで、大きなヒップは前面が逆デルタ状に護られていて、後ろはまるでTバックのよう。
ニュっと伸びる腿はパツパツに艶めいて引き締まり、適度に皮下脂肪が乗っていて、若さと魅力を惜しげもなく魅せ付けていた。
膝から伸びる曲線は、脹脛を頂点として柔らかく伸び伸びと健康的で、細い足首に向かって締まっている。
両腕は、肘までのメカグローブでピッタリと護られていて、膝から下はメカのブーツでピッタリと飾られていた。
プロポーションの起伏を全く隠していない露出過多なスーツは、地球連邦政府所属の特別女性捜査官に、今年度から試験的に採用された、最新型のスーツ。
男性であったら誰でも視線を奪われてしまうメカビキニスーツに身を包んだ美しい少女たちは、抱き合ったまま現状を確認した。
ゆるふわガールが告げる。
「もう こんなにしてしまって…マコトってば、いつだって強引なのですから」
ウサギの片耳がペコんと折れるのは、呆れている感情だ。
マコトと呼ばれたボーイッシュガールが、三角の耳をピクんと立てて、反論。
「ユキだって、船の弾避け 楽しんでいたクセに」
「た、楽しんでなんて おりませんわ」
ユキと呼ばれたゆるふわガールが、つるつるな頬をプクんと膨れさせて、美顔を逸らした。
「それじゃ、艦内制圧 行くよ!」
「ぁあん、待ってくださいってばぁ!」
ハッチから駆け下りたマコトを追って、ユキがピョンと小さくジャンプ。
マコトの細い指が扉のボタンを押すも、緊急ロックがかかっていたので、腰のレーザーガンを抜いてロックを破壊。
扉が開くと案の定、犯罪者たちが一斉に銃撃をしてきた。
マコトは、澄んだ凛々しい声で、最低限の警告を伝える。
「抵抗は止めなさい! 降伏するなら命の保証はしますけど、抵抗するなら射殺も辞さないですよ!」
もちろん、これで投降するような聞き分けを持っているなら、そもそも犯罪に手を染める事などなかっただろう。
「ダブル・ビッチーズめっ! お前ら二人とも袋の鼠だぁっ!」
「ヘル・ウツボカズラズを殺して、名を上げろぃっ!」
各々が知る勝手な仇名で二人を呼びつつ、犯罪者たちは銃撃の手を緩めない。
扉の脇に身を隠しながら、ユキがパートナーに告げる。
「マコトのお得意ですわ」
「うん。ユキ サポートよろしく!」
「ええ」
言われたマコトは既に銃撃光から、合計五人いる抵抗者たちの場所を把握済みだ。
銃座と倉庫の生き残りによる混成チームであろう事は、マコトたちにとってはどうでもいい話。
弾幕が比較的に大人しくなったタイミングで、中性的な面立ち少女の美顔が更に引き締まり、その身を躍らせる。
「行くよ!」
狭い船内通路のド真ん中へと立ったマコトに、犯罪者たちは驚きながらも、ニヤっと笑う。
黒い尻尾がフワりと立って、それは強い集中力を想像させた。
「バカがっ、的だぁっ!」
銃撃の嵐が再会されると、マコトはあえて引き付けた位置からわずかに身をずらし、各種攻撃をヒラりヒラりと優雅にかわす。
同時に、両手に構えた二丁のレーザーガンを同時に斉射し、一射で二人ずつ撃ち抜いてゆく。
「ゲっ!」
「痛ぇっ!」
二人が一瞬で撃ち倒されて焦る混成チームは、しかし続く銃撃でまた二人、更に残る一人と、数舜で銃光に倒される。
「ぎゃあっ!」
「ウゲっ!」
「マンガやっ!」
銃撃戦が始まったら、王子様を思わせる美少女はたったの三射で、敵勢力を沈黙させていた。
身を潜めていたゆるふわガールが、船の端末へと電波で繋いだ手首のコンソールを操作しながら、密輸団の亡骸が転がる通路へと、姿を見せる。
「うわぁ…流石マコトですわ。射撃スキル捜査官トップは、伊達じゃありませんわ」
「でもないかな。かすっちゃったもん」
見ると、メカスーツの右肩部分がヒートガンを掠めたらしく、スーツ部分が焦げて、白い肌が僅かに見えていた。
「で、分かった?」
ユキはお姫様のような美顔を、更に美しく微笑ませる。
「ええ。この船のシステムをハッキングした結果、カーゴルームの左右の壁に隠された空間があって、きっとそこに、何か違法な物質を積んで隠しているようですわ」
「流石は操縦とメカニックの天才、仕事が早いよね。さ、ブリッジ 行こうか」
マコトに褒められたユキは、素直に嬉しそうに微笑んでいた。
貨物船の通路はあまり広くなく、マコトたちは警戒しながら簡単な防衛システムを破壊しつつ、十数分でブリッジに到着。
狭いブリッジの中では、リクッパをリーダーとする残りの密輸団、合計六人が、シートやコンソール類を盾にして、二人を待ち構えていた。
「ヤツらの戦いっぷりはモニターで見てたぜっ! さあっ、飛び込んでみやがれっ!」
ブリッジの出入り口は乱闘対策の意味もあり、後ろ側に、あえて狭くて一つしかない。
人ひとりが通れるギリギリの幅しかないから、飛び込んでくる者はどうやっても、格好の的でしかないのだ。
「来やがれっ、ブラッド・ビッチどもっ!」
部下の一人が声を荒げて恐怖をねじ伏せると、ブリッジ横方の緊急脱出ハッチ
突然に開放。
「えっ–ぅわあぁっ!」
ブリッジ内の空気が強烈に、宇宙空間へと吸い出されると、密輸団の六人は慌ててシートなどに縋り付く。
その一瞬の隙を突いて、出入り口のスライドドアが開かれ、白い肢体が躍り出てきた。
「しまったっ! 手前ぇら撃て撃てぇっ!」
船のシステムがハッキングされて、囮として脱出ハッチを操作されたとリパックが気づいたときには、しなやかな女体がブリッジの中央空間で美しく旋回。
両腕を広げて二丁のレーザーガンを構えるマコトは、回転しながら正確に、ブリッジクルーを一人また一人と撃ち抜いてゆく。
遠心力の影響で、極薄メカビキニに護られた豊かなバストが、柔らかい砲弾型に姿を変える。
「あぎゃっ!」
「ぐはぁっ!」
五人の部下が数舜で倒されて、リクッパも手にしていたブラスターを撃ち抜かれる。
戦闘行為が終了してマコトが床に着地を決めた時には、脱出ハッチは閉じられていた。
ブラスターを無力化されたリクッパが、部下のビームガンを拾おうとしたら、未だ熱の冷めないレーザーガンを額に押し充てられる。
「グっ……ぇえ…っ!?」
銃の主を憎々し気に睨み上げると、やっぱり白い極薄メカビキニの美少女が二人立っていて、犯罪者の男は「ああモニターの映像は本当だったんだな」とか、今さら思った。
噂から、もっとゴリラのような女たちを想像していたから、ちょっと呆気に取られたり。
鋭い眼差しで見下ろす美しい王子様ガールが、名乗る。
「地球連邦 特別捜査官 ハマコトギク・サカザキです。あなたには黙秘権があります。弁護士を呼ぶ権利もあります。だっけ?」
だっけと言葉を投げられた、優しい垂れ目のゆるふわ姫な少女も、名乗る。
「同じく、地球連邦 特別捜査官 ユキヤナギ・ミドリカワ・ライゼンと申しますわ。だっけ? のみではなくて、これ以上の無駄な抵抗をされるのでしたら、こちらも更なる実力行使に訴えざるを得ません。ですわ」
名乗って、相棒に注意して、犯罪者に警告。
場違いな少女たちの緊迫感ゼロなヤリトリに、銃弾の雨をかいくぐるように生きて来たリクッパは、認識が追い付かない様子だ。
「えっと……お、お前らが あの、ツイン・ブラッドマリ–うげっ!」
レーザーガンのグリップで脳天をガンっと殴られる。
「誰がツイン・ブラッドマリーズですか! さっきから失礼な! ボクたちのユニットネームは『ホワイト・フロール』ですっ!」
マコトの美顔が怒りに燃えて、しかしそんなフェイスもまた綺麗なんだなと、リクッパは気絶しながら素直に感じた。
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