99. 異世界441日目 クリアレントへ

 宿で朝食をとった後、この町の役場に行ってみる。掲示板を見てみても特に珍しい依頼はなさそうだ。まあそれはしょうがないな。掲示板にはよくあるパーティーの募集や魔獣などについての情報を求める内容が掲載されている。


 パーティーの募集内容では、下位パーティーは治癒士や魔法使いの方が圧倒的に多い。特に治癒士はそもそもなり手が少ないうえになれる人が少ない、わざわざ冒険者にならなくても職があるということが大きい。


 ただ、治癒士と言っても初級レベルの人も多いので治療は薬で十分と割り切っている人たちもいる。このため治癒士を募集しているのは収入の少ない下位のパーティーが多いのである。薬代だけでも下位のパーティーにはかなりの負担だからね。

 治癒や回復魔法がうまくレベルアップ出来なくて、戦闘を兼ねた治癒士となる人も多く、パーティーもそれを前提としていることが多い。スレインさんがいい例だ。まあスレインさんは中級くらいまで治療はできるけどね。

 このため高階位のパーティーは薬で対応することが多くなり、パーティーの編成には治療士が入っていないことも多い。前衛だけのパーティーも結構いるしね。


 自分たちみたいに前衛、魔法、治療と全部やれるのはかなり珍しいようだ。まあ魔法と治療は知識チートの恩恵が大きいけどね。



 これらの知識を大っぴらにしていいのか、今はかなり悩んでいる。ジェンと話して基本的に話さないようにして、どこまでの知識を出すのかを決めている感じだ。魔法に科学がくっついたらとんでもない破壊兵器を作ってしまいそうなのが怖いところだ。そのせいでこの世界が滅びたとかなってほしくないからね。


 普段の会話は最初に話し始めた方の言葉に合わせる感じで日本語か英語で会話をしている。これだったらもし聞かれても他の人には意味がわからないだろう。

 パーティー内では地元の言葉を使っている人たちも結構いるのでそこまで違和感はもたれていない。まあ言語をよく知っている人だと「どこの国の言葉だ?」と思われるかもしれないけどね。




 ここでは特に狩りをするつもりはないが、とりあえず登録は済ませておく。受付の人にも少し話を聞いて見たが、特におすすめの内容はなかった。上階位以上の魔獣の狩りは北か南の町に移動してから行った方が良さそうである。このあたりはしょうがないな。置いてある資料内容を確認してから役場を後にする。



 少し早めの昼食をとってから図書館へ。さすがに魔法関係の文献が多い印象だ。一通り内容を読みながら書類を取り込んでいくが、クリアレントに行ったらもっと色々読むことができるだろうか?いろいろと本を読んでいたら夕方になっていたので夕食をとってから宿に戻る。




 翌日の朝食を食べてからすぐに出発してクリアレントを目指す。途中の宿は基本的に拠点に泊まる感じだ。クリアレントまでの街道はさすがに整備もされているし、警備もされているので盗賊などの心配もないだろう。



 途中読んだ資料をもとに魔法の練習をしてみるが、思ったほど威力が上がらない。このあたりは魔力操作とかの基礎力が上がらないと難しいのかなあ。まあまだ魔法を覚えてから1年ちょっとなんだから贅沢言うなと言う感じではあるんだけどね。


 毎日魔素の操作系については半分無意識に行っているんだが、最近はほんとに上がらない。学識系については思ったより早くレベル4に上がったんだが、それ以外についてはなかなか4にあがらない。まあ3あれば普通は十分と言ってもいいんだけどね。



 特に何事もなく6日目に予定通りクリアレントに到着する。




 さすがに王都とというだけあって町の大きさはサクラと同じくらいの規模のようだ。ただ見た目がかなり異なっているのは湖畔にあるせいだろう。冬は凍ってしまうようだが、この時期は湖に緑が映えていい感じだ。

 町と湖の周りにかなり広い農地があり、十分な食料をまかなえているような印象だ。途中の町の周りにも結構大きな農地があったのでその点については問題ないのだろう。


 そしてここにはサクラにはなかったお城があった。町は若干の勾配が付いているみたいで、一番高いところにお城が建っているようだ。断崖の上の方に建っていて、反対側は湖となっている。かなり圧巻だねえ。

 日本にあるようなお城ではなく、ヨーロッパにあるような感じだ。まあ木造建築自体が少ないからそれも当然かな。さすがに今も使っているようなので見学とかはできないだろうなあ・・・。



 町の入場にはすでに結構な行列ができているので待たなければならないのは仕方がない。60分ほどでやっと順番がやってきて中に入ることができた。


「とりあえず、王都にはやってきたけど、どうやったらジョニーファン様に会えるんだろう?」


「ちょっと、聞いてなかったの?王宮の近くに彼の住まいがあるみたいなのでそこの受付に用件を伝えて紹介状を渡せばいいって言っていたわよ。」


「そういえば、そんなこと言っていたね。ごめん、完全に忘れていたよ。」


 王宮までは結構距離があるのでそのまま車で移動することにした。こんな大きな町中で車に乗るのは初めてなんだが、車道と歩道が完全に分かれているし、王宮の近くまでは大きな通りなので道に迷うことはない。あまり交差点もないしね。車は収納バッグに入れている人たちをそれなりに見かけるので問題なさそうだ。

 ある程度近くに来たところで車を降りてから王宮を目指す。ここから王宮までは結構道が入り組んでいるのは戦争に備えてなんだろうか?


 王宮までやってくるが、当然のことながら門番がいて中には入ることができない。まあ当たり前だよな。ヤーマンで王宮に入ったけど、建国祭の大勢が入ったときと、クリスさんが一緒で車だったからあまり気にならなかったんだよなあ。




 すぐ近くにジョニーファン様の家があるという話だったんだが、周りの建物はどれも大きくてよくわからない。しょうがないので近くの門番に聞いて見ると、そこがジョニーファン様の家だった。


「ジョニーファン様に何のようだ?」


「えっと、面会希望です。」


「急に来られてもそうそう会えるわけではないぞ。一応受付をするシステムはあるんだが、よっぽどの方からの紹介状がなければまず会うことはできないと考えた方がいいぞ。」


「ああ、紹介状は持ってきていますが、それも受付に出せばいいのでしょうか?」


「とりあえずあそこの建物に行って受付に声をかけてくれ。」



 門から少し離れたところに小さな建物があってそこが受付になっているようだ。中に入ると、受付らしき女性がカウンターの中にいた。


「こんにちは。ジョニーファン様への面会希望なんですが、こちらで受付をすればいいのでしょうか?」


「はい、ただしきちんとした方からの紹介状がない方はお取り次ぎできません。また紹介状があっても会えると確約はできません。紹介状はお持ちでしょうか?」


「はい、これが紹介状となります。」


「はい、お預かりします。っえ?ヤーマン王家の紋章?


 あ、失礼しました。」


 さすがに他国とはいえ王家の紹介状は少ないのかな?これだったら期待できるかもしれない。


「えっと、受付を行いますが、明日もう一度確認に来ていただけますか?そこで面会の可否と面会できる場合は時間が指定されます。ただ申し訳ありませんが、面会できる方は月に数名程度ですのであまり期待されない方がいいかもしれません。」


「わかりました。少しだけでも面会ができることを期待して待っています。」




 来た道を戻ってから宿屋などが多いエリアへと移動する。宿は事前に調べておいたルイミルダンというところにした。ツインで2200ドールと結構高いが、王都ではこのくらい出さないと厳しいらしい。レベル的にはシルバーフローと同じくらいのところだ。ただ建物は5階建てとサクラよりも建物が低い。どうもお城のイメージを確保するために高い建物は禁止されているようだ。


 残念ながら大浴場というものはなかったが、そもそもお風呂がある宿が少ないようだ。ここはまだ部屋にはお風呂があったけどね。




 翌日朝食をとってから確認へ行くと、2日後の2時からであれば面会できるようだ。ただ時間は30分くらいと言われたがまあ少しは話が聞けるだろう。


 そのあとは図書館に行って本を読んだり、魔道具のお店を見て回ったり、骨董店を見て回ったりといろいろと店巡りをして過ごした。


 お金も結構余裕が出てきたのでアクセサリー類を購入した。


 魔術の指輪(良)=135万ドール

 堅牢の腕輪(高)=82万ドール

 堅牢の腕輪(良)=165万ドール


 さすがに高かったが、なかなかこういうものは売っていないからね。他にも色々あるが、とりあえず防御力を上げるのが優先だろう。全部で360万ドールと結構な出費となったけど、それだけの価値はあると思っている。オークションで入ったお金が全部出ていった感じだな。

 最近装備のお金については特許代や魔符核などで入ったお金で購入しているので大分楽だ。日々の生活で装備代まで稼ごうとしたらやっぱり大変だろうね。おかげで良い宿に泊まっても十分生活費はあるからね。


 今回購入した魔術の指輪(良)はジェンにつけてもらい、ジェンがつけていたものは自分がつけることにした。堅牢の腕輪関係もジェンには良をつけてもらう。

 ちなみに魔道具のアクセサリー類はある程度自動で大きさを調整してくれるのでつける人はあまり選ばない。もちろんあまりに差があるとつけられないけどね。



~購入した装備の詳細~


名称:魔術の指輪(良)=135万ドール

詳細:銀製の指輪。魔法使用時威力が30%向上する。治癒魔法使用時の効果が20%向上する。

品質:良

耐久性:良

効果:良

効力:魔力強化-3、治癒力強化-2


名称:堅牢の腕輪(高)=82万ドール

詳細:銀製の腕輪。ダメージを受けたときの抵抗力が20%向上する。

品質:高

耐久性:高

効果:高

効力:肉体硬化-2


名称:堅牢の腕輪(良)=165万ドール

詳細:銀製の腕輪。ダメージを受けたときの抵抗力が30%向上する。

品質:良

耐久性:良

効果:良

効力:肉体硬化-3


~装備~

ジュンイチの装備:

鋼の剣(高) 高/高/高 強度向上-2

鉄の短剣(良) 良/良/良 強度向上-3、鋭利向上-3、耐久性向上-1

鋼の戦鎚(高) 高/高/高 強度向上-2

巨角牛の革パンツ(高) 高/高/高 強度向上-2

巨角牛の鎧(高) 高/高/高 強度向上-2

巨猪の革の籠手(高) 高/高/高 強度向上-2

鋼の盾(高) 高/高/高 強度向上-2

巨猪の革のブーツ(高) 高/高/高 耐久性向上-2

鉄の兜(高) 高/高/高 強度向上-2

力のネックレス(高) 高/並/高 筋力向上-2

魔術の指輪(高) 高/高/高 魔力強化-2、治癒力強化-1

堅牢の腕輪(高) 高/高/高 肉体硬化-2


ジェニファーの装備:

鉄の短剣(良) 良/良/良 強度向上-3、鋭利向上-3、耐久性向上-1

鋼の錫杖(高) 高/高/高 強度向上-2

巨角牛の革パンツ(高) 高/高/高 強度向上-2

巨角牛のハーフ鎧(高) 高/高/高 強度向上-2

巨猪の革の籠手(高) 高/高/高 強度向上-2

鋼の小盾(高) 高/高/高 強度向上-2

巨猪の革のブーツ(高) 高/高/高 耐久性向上-2

巨角牛の革の帽子(高) 高/高/高 強度向上-2

魔術の指輪(良) 良/良/良 魔力強化-3、治癒力強化-2

俊敏の腕輪(高) 並/並/高 俊敏強化-2

堅牢の腕輪(良) 良/良/良 肉体硬化-3


予備の装備:

クロスボウ(低) 良/良/良 耐久性向上-2、風魔法-3

大角牛の革の鎧(高) 高/高/高 強度向上-2

大角牛の革のハーフ鎧(高) 高/高/高 強度向上-2

厚手の革パンツ(並) 並/並/並 強度向上-1×2

牙猪の革の籠手(高) 高/高/並 強度向上-1

牙猪の革の籠手(高) 高/高/高 強度向上-2、耐久性向上-1

牙猪の革のブーツ(高) 高/高/高 耐久性向上-2×2

牙猪の革の帽子(高) 高/高/高 強度向上-2

鉄の盾(並) 並/並/並 強度向上-1

鉄の小盾(高) 高/高/高 強度向上-2、筋力増強-2

魔術の指輪(並) 並/並/並 魔力強化-1

魔術の指輪(高) 高/高/高 魔力強化-2

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