12-2


 様々なゲーマーが、それぞれの目的でニューリズムゲームプロジェクトに向き合っている。


 それを妨害しようと言うまとめサイト勢力、バズり目的のユーザー、更には――特定の業者による妨害。


 彼らにとっての戦いは、SNS炎上勢力を根絶させた先にこそあるのかもしれない。


 彼らの戦いは、これから始まると言ってもいいだろう。ニューリズムゲームプロジェクトは、ここから始まると言っても過言ではない。


 ここから先の物語は第三者が二次創作で書くかもしれないし、メディアミックスでアニメ化等した際にでも書かれるかもしれないだろう。今のSNS現状で話を進めるには、さすがにタイムリーな話題が多すぎて――。



 その頃、SNS上のまとめサイトやまとめ記事を自宅で確認していた人物、パーカーのフードを深く被って素顔は見せていない。しかし、その外見は女性と言えるかもしれないだろう――。


「あの事件に関与した残党は、これで完全討伐された事になる」


「アルストロメリアが現れた際にも現れた一部は倒しきれずに残り、密かに活動していたようだけど」


 彼女が会話をしている人物はノートパソコン上に表示されているアイコンの人物らしい。


 通話アプリのようだが、名前は非通知で分からないが――アイコンは女性キャラにも見える。そこで誰なのか判別するには難しいかもしれない。


「アーシック・レコードは想定外だったけど。向こうは向こうで動いていた証拠かな」


「どちらにしても、悪意ある炎上行為を行う様な勢力は――」


 彼女はアーシック・レコードも把握している。その上で、この人物と会話をしているようだが――。


 通話アプリ以外には先ほどから見ているまとめサイトを含め、ブラウザアプリをいくつか起動している様子。


「一応、あれを知るであろう炎上勢力の人物はガーディアンに突き出したし、問題はないでしょう?」


瀬川せがわプロデューサーは新作の方で動けないし、この位はやっても罰は当たらないと思うけど」


「ガーディアン? あっちは勝手に動いてるわけでしょ? 今のリーダーが誰なのかは知らないけど」


 会話の流れで非通知の人物からガーディアンに関して聞かれ、勝手に動いていると伝える。


 一応、この発言で非通知の人物は納得した様子。困惑はしているかもしれないが。


「とにかく、こちらが現状で動くような話題もないし、これから何かが起こったときでいいでしょ?」


 この一言を聞いて、非通知の人物は一応納得する。向こうも色々と言いたそうな雰囲気だったが、そこは敢えて渋る。何故に渋ったのかは――向こうの人物にしか分からないだろう。


「オケアノスのイベントは、これからでしょう。過去にあった外出自粛とか――そう言った事を踏まえて、コンテンツ市場も大変だし」


「何が優秀で何が劣っている――そうした物差しでしか測れないような議論は、それこそアーシックじゃないけど核戦争をやっている物よね」


「炎上した先に何も残らないような世界では――」


「分かってる。何としても日本のコンテンツ市場を正常化しないといけない事は」


「じゃあ、そろそろ切るけどいい? こっちも別の情報を集めなきゃいけないし」


「お互い頑張りましょう。シズ」


 非通知の人物、その正体はハットリ・シズだった。何故にシズと接触したのかは理由がある。


その証拠が、別のブラウザソフトで立ち上げていたWEB小説サイトにあった。彼女がチェックしていた小説作品、そこには見覚えのある作者の名前がある。


「始まりは、これからかもね。誹謗中傷を含んだ二次創作で炎上させ、コンテンツ市場を妨害しようと言う勢力との戦い――」


「それはあくまでも、別の物語の登場人物の戦いなのだから」


 彼女がチェックしている小説は自分の物ではないのだが、あらすじの傾向である人物と特定できていた。


 その人物の名は、舞風まいかぜである。ある人物が表舞台に再び出そうとしていた、あの人物だ。


 あくまでもハンドルネームの範囲で、偽名である可能性も否定できないが――彼女は本物だと考えている。


「物語は次のステージへ、かな」


 フードを外し、テーブルに置いたペットボルに手を付けている人物――それはツインテールではないビスマルクだった。


 何故に彼女がフードを被り、舞風を思わせるような外見に偽装していたのか――それは定かではない。

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