第11話:もう一つのエピローグ

 ガーディアンのカバーストーリー、それは様々あったのだが――その一つが採用され、全ては決着したのである。


 一連の事件は、第三者がステムの暴走で生み出した物語、それに沿って起こった事件である、と。


 確かにこのカバーストーリーであれば、七月に起きた『ヴァーチャルレインボーファンタジー』と類似点があると察する事が出来る。


 そうなると、犯人はガーディアンではなく別勢力と言う事になる。あのシステムは厳重に封印されていたはずなのだから。


 それでも矛盾は存在する。あいね=シルフィードの出現、リアルの炎上勢力がガーディアンに拘束された事、ブローディアの存在――。


 一体、何処までをカバーストーリーと見るべきなのか? 一部に真実が混ざっているのではないのか?


 そうした事を気にすることなく、約一週間が経過しようとしていた。


「拡散したければお好きにどうぞ。それをやって、どちらに正義があるのかは火を見るより明らかよ」


 ブローディアが放った一言は――あの時に消滅したフウマに対しても言及されていたのである。しかし、そうした発言があったかどうかはカバーストーリーで記載がない。



 本来のニューリズムゲームプロジェクト、それはギムレー達のような一部によって作られた物ではなかった。


 あれだけの技術を持ったゲームが少人数で作れるはずがない。出来たとしたら、それこそ億万長者と言えるだろう。


 2.5次元を題材にしたゲーム自体は様々あるのだが、その中でもニューリズムゲームプロジェクトはどちらかと言うと――。


【結局、ARではなくVRだった理由は?】


【システム的にARにしても同じような作品があったからでは】


【確かに、何処かでパルクールのようなリズムゲームはあったな】


【リズムゲームは純粋に演奏するだけの時代は、既に終わったと言うのか?】


【どちらにしても、賛否両論はあるだろうが――】


 様々な反応がSNS上にあるのだが、それに個別反応するような事はないだろう。望むようなSNSの流れに、炎上商法等は反するからである。


 後に炎上商法規制法案の施行される噂もあったのだが――その真相はカバーストーリーでも分からない。


【これがカバーストーリーである保証もない】


【あのゲーム自体が実在するゲームではなかった――のか】


【一体、あのゲームの正体は?】


 ニューリズムゲームプロジェクト、それは本当に2.5次元を題材としたアバターを使用したゲームだったのか?


 あるいは、ARゲームとしてが正しい物であり、VRゲームの方は二次創作としての架空の存在――?


 実在するゲームを題材に、二次創作を行おうとした代償は想像以上だったのだろうか?

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