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一連の書き込み、それはあるまとめサイトが由来となっていたのである。それは、かろうじて閉鎖に追い込まれなかったサイトなのだが、その管理人はまさかの人物だった。
【あのまとめサイト――】
【釣りサイトが、まさかの炎上勢力最大手だったとは】
【違うな。ガーディアンの釣りサイトの場合、あるものが存在する。これにはない】
【どういう事だ?】
【炎上勢力は、それ自体を消した状態で情報を拡散し、炎上させていたのだ】
【二次創作にも劣るようなフェイクニュースが拡散したのは、この為だろうな】
その正体とは一連の炎上勢力を書きまわしていたガーディアンだった。この場合は、ガーディアンと言っても『自分がガーディアンと勘違いしているバズり狙いのユーザー』だろう。
今の今まで注目されていなかったからこそ、逆に細工し放題なのかもしれない。
この一連の書き込みスレのサイトを見せたのは、ブローディアの正体であるユキムラだった。
サイトを見たあいね=シルフィードは若干困惑するのだが、すぐに冷静さを取り戻す。
「再び炎上勢力が介入し、SNSは再び戦場と化した。だからこそ、それを止める為にガーディアンがいる」
ユキムラが淡々とつぶやくが、あいねにとっては――。
「それでもガーディアンは、自分を救ってくれなかった」
あいねは一連のSNS上で展開された炎上事件を踏まえ、ユキムラに対して――。
「炎上案件と言っても、ガーディアンが無差別に対応できる訳ではない。それに――」
「あの時に対応できなかった理由がある、と?」
「当時のガーディアンはアキバガーディアン等の勢力をコピーしていた物に過ぎなかった。だからこそ、独自性が必要になった」
「だからと言って、救える物を救わないで――」
あいねが言いたい事は分かる。しかし、ユキムラの方も守秘義務等の事情で話せない事もあるのだ。
そして、それを拡散して炎上させようと言う人物も存在する。だからこそ、ユキムラは意図的に――。
「こう言う事か。全ては仕組まれていた事に加えて――」
二人の前に姿を見せたのは、偽者ガーディアンの男性を捕まえたビスマルクだった。
彼女は、偶然にも二人の姿を目撃したのだが、それとと同時に会話を盗聴をしていた男性を発見する。
その男性の正体は、何とフウマだった。これにはビスマルクも別の意味で閉口せざるを得ない。
「特定の作品の評価を上げる為に、意図的に別の版権作品を炎上させようとした。彼の様にな」
詳しくは彼の口から――とでも言いたそうなビスマルクだったが、目の前にいたはずのフウマは苦しむようなしぐさを見せることなく――。
「消えた? 一体、何処に?」
目の前で消えた事に一番驚いたのは、あいねの方である。まるで、人体消失マジックを見せられたかのような表情をしており、ユキムラが声をかけるまでは目の焦点があっていなかった。
フウマの消滅演出は、まるで『ヴァーチャルレインボーファンタジー』のソレと同じである。
(まさか、フウマは最初からアバターだったと言う事? じゃあ、他のプレイヤーも――)
ビスマルクの方は冷静だったのだが、何か引っかかるような要素があるとも考え始める。
誰に関して疑い始めたのかは定かではないが、その正体は何となく分かりそうな気がしていた。
(全てが二次創作だとすれば、もしかするとこの世界その物が――?)
そして、ある結論にたどりつくのだが、急いでしまったら元も子もない。結局、一連の炎上行為はマッチポンプという事で処理される事になった。それがガーディアンのカバーストーリーなのかは定かではない。
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