7-3

 ニューリズムゲームプロジェクトの設置されている場所より数十メートル離れた場所、そこでは様々なARゲームのセンターモニターが集まっている。


 ここでエントリーを済ませておきメインの場所へ移動するプレイヤーも多く、ここは別の意味でも情報が集まる場所だった。


【あのプレイヤー、すごくないか?】


【動きがいいだけのプレイヤーならば、あまり目立たないだろう】


【このゲーム、リズムゲームだぞ】


【リズムゲーム? どういう事だ】


【最近はリズムアクションゲームと言う枠組みで、ARゲームに進出している作品もあるが】


 ARゲーム版のリズムゲームは存在し、それも踏まえての発言だが――映し出されている動画はニューリズムゲームプロジェクトの物だ。


 これが実はVR系列とは気付かないだろう。アバターもARゲームのそれを使っている様な物だが――。


【あれはVRだ。見た目はARと似ている要素もあるが】


【VR? じゃあ、あれは普通にゲーム画面のプレイ動画なのか?】


【ゲーム画面ではない。投影システムで投影されている物だろう】


【それだけのシステムを、一体どうやって?】


 様々なプレイヤーが、ある書き込みを受けて動揺をしているようでもある。その書き込みをした人物は、何とセンターモニターエリアでスマホ片手に情報を収集していたハットリ・シズ。


 あくまでもこの書き込みサイトは匿名であり本名は出ないのだが――書き込みの場所は表示される仕組みだ。これはSNS炎上勢力にログを悪用されないようにする為の物かもしれない。


(この程度で驚くのか。それほどにVRとARの区別が付いていないのか?)


 この反応に対し、シズの方は想定外と言うような表情をする。書き込みをしているユーザーのレベルが低いだけなのか、単純に炎上狙いで受け答え之レベルを下げているのか?


 どちらにしても――彼女にとっては、SNS上の現状を見るには都合がよかったのかもしれない。



 既に数十回はプレイしているだろうか? さすがに一日で数十回ではないのだが――。


 スコアに関しては落ちている傾向がなく、逆に新曲をプレイすれば記録更新と言う流れである。


「足を使う訳でもないのに――」


 雪華せつかツバキはユキムラとの対決後もプレイしている様子だった。ユキムラに勝っても、あまり天狗になるような事もなく――。さすがにSNS上における反応は、言葉に出来ないようだが。


 順番に関しては特に他のプレイヤーがユキムラとのマッチング以降、あまり入ってこない。別のARゲームにプロゲーマーでも来ているのだろうか?


 エリアの入り口にはロケテスト情報等はなく、ゲリラロケテとして置かれているケースはあるかもしれないが。


「少し休憩を入れてから、またプレイするかな」


 筺体の外に出たツバキは、何処かで見覚えのありそうなくのいちの人物を発見する。


 丁度、この一角に到着したシズだった。彼女の方は、既に予約もしており、次にプレイする様子だが――。


(あのくのいち、どのゲームだったかな)


 あまりにもセクシーな服は入り口で止められるだろうが、衣装には若干の見覚えがある。彼女がシズと言うよりも、ツバキが気にしていたのは服の元ネタの方だった。


(彼女が、あの――)


 シズの方はツバキの方を明らかに見ていたのだが、ツバキ自身は自覚がない。

疲れていてそれどころではない――と言う事かもしれないが。


(声をかけるのは――)


 シズはツバキに声をかけて引きとめようとしていた。しかし、彼女の表情を読み取って声をかけるのを止め、指定された二番台の方へと向かう。

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