7-2
【あのプレイヤーも悪くはなかった。しかし、特有の空気を知らなかったのが大きい】
【スコアだけを見れば、どういう風に負けたのか予想できないだろうな】
【しかし、あのソフラン地帯だろう。そこまではスコアで言えば、ツバキが不利だった】
【タイプは同じディフェンスのはず。それで、ミスをする要素があるのか?】
【プレイヤーのレベルを見れば一目瞭然だ。ツバキの相手はレベル1だったろう】
【そこは、複数アカウントの可能性もあり得ないのか?】
動画サイトでは、早速アップロードされていたマッチング動画をチェックし、感想戦を行う人物もいる。
そこは実際にプレイしたプレイヤーがいない。ぶっちゃければ、この動画を見て感想戦を行っているのは、基本的にギャラリーである事が大半だ。
【このゲームでは複数アカウントはあり得ない。カード自体に個別IDが存在する辺りで】
【辺り? 公式情報じゃないのか】
【公式にも記載がないからな。しかし、複数アカウントの使用は禁止されていた】
【何が問題なんだ?】
【それは決まっているだろう。ランキングの不正操作だよ】
ある書き込みの疑問。確かに複数アカウントと言う事例は他のゲームにも散見されている。
対戦格闘では初心者狩り等の観点で、レースゲームでも記録の自作自演などを理由にアカウントは1個しか持てない。
リズムゲームでも、片手プレイ等の専用カードでカードを使い分けるケースもあるし、名前入力ミスで登録し直しと言うのもあるだろう。
しかし、ニューリズムゲームプロジェクトでは認められていないのだ。理由は不明だが、一応はデータの管理上の関係と理由を発表はしている。それが本当の理由かどうかは別として。
一連の感想戦まとめは、様々なまとめサイトで記事として作られた。中にはプレイしていた人物がリズムゲームでは有名なユキムラであると言う事で、ある種のジャイアントキリングとして取り上げられている。
こうした記事にしているのはごく少数で、閲覧数を伸ばす為、ソレと似たような理由としてアフィリエイト収入を増やすという理由があるだろう。
SNS炎上狙いの記事もあるにはあるが、そうした記事は大抵がユキムラではなく更に別のプレイヤーと偽装したり、更には無関係な記事と紐付けするというパターンもある。
無関係な記事に紐付けする勢力は、大抵が『ヴァーチャルレインボーファンタジー』の一件をよく思わない人物の集まりだろう。
「やはりな。SNSはVRファンタジーで変化したと思っていたが――」
一連のまとめサイトをスマホ片手にチェックしていたのは、先ほど目撃情報もあったコスプレイヤーである。
彼女の名はブローディア、都市伝説になっているあの人物なのだが――またしばらくして姿を消してしまう。
目撃場所がオケアノスと言う事もあり、一種のコスプレイヤーと認識され、今回はスマホ片手に撮影しようと言う人物はいなかった。
(あの人物は――?)
そのブローディアを偶然発見した人物、それはハットリ・シズだった。彼女もくのいちのコスプレだが、システム的な事情もあってブローディアみたいに目立ちにくい。シズの場合はあくまでもARバイザー使用者限定のコスプレだからだ。
(システムが違うのかな。本当にコスプレイヤーに見えたけど)
ARバイザーを使うシステムならば、自分でなくても見えるだろう。オケアノスではエリアによってコスプレが解除されるエリアも存在する。
それを踏まえると、ブローディアが姿を見せたエリアは解除されないエリアに属するかもしれない。
だが、このエリアはARバイザーのシステムが解除されるエリアだった。それを踏まえると、システムが違う――とシズは考えたのである。
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