第7話:マッチング
マッチングの相手はユキムラと言う事で、呼吸を整えて落ち着いているのは
だれであろうとやる事は同じ――と言う事かもしれない。リズムゲームなので、対戦格闘のような駆け引き要素は必要ないだろう。
重要なのは、正確な演奏が出来る事なのだろう。そして、ユキムラの方は思わぬ所を見落としているのだ。
(あれっ、リズムゲームのスピードと違うのかな――)
慌ててユキムラが探すのは、ハイスピード設定だった。リズムゲームでは譜面を見やすくする為に、あえて通常のBPMとは別に設定できるハイスピード設定がある。
機種によっては、二倍速でも物凄く速く見えることもあるだろう。しかし、このゲームにはそう言ったハイスピードはない。
厳密にはアーマーごとにスピードが決まっており、それで設定とするタイプだったのだ。
マーカーによって速度が変わるリズムゲームがあるが――それに似たような物だろう。
(どのくらいの速度なのだろうか――)
ディフェンスタイプを選んでおいて、まさかの展開である。演奏途中の変更は出来ないが、プレイ前であれば任意で変更できるのはSNS上で知っていた。それでも若干手遅れなのは言うまでもないだろう。
(プレイ序盤は問題なさそうだな)
不幸中の幸いは、ユキムラの楽曲が先だった事か。これで何とかスコアを取れれば何とかなるのだろう、と。
それでも、楽曲のBPMを思い違いしていたので――上手くノーツをタッチできなかったというのが致命傷となる。
(この曲、ソフラン楽曲だった)
自分が選曲したBPMは250なのだが、実は中盤辺りでBPMが変化すると言うのを忘れており、それが決め手となった。
このゲームでは演奏途中で速度調整という手段が使えない。いわゆるテクニックの部類でツバキは対応している。
しかし、ユキムラにはどういうタイミングでスキルが使えるのか分からないのだ。チュートリアルを飛ばした反動は、ここにある。
(やはり、チュートリアルはやるべきだったのか――)
ユキムラはスコアが散々だった事に対し、反省をしていた。演奏失敗ではないのだが、それでもスコアで逆転出来るかと言うと――非常に難しい。
次にプレイする事になったのは、ツバキの選んだ楽曲である。この曲は、ユキムラにとっては聞いた事のないようなジャンルだった。
「クラシックアレンジとは違う? それに――」
ユキムラがプレイしてきたリズムゲームはオリジナル曲もあるが、多くはいわゆるJ-POPやアニメソングと言ったジャンルがメインだ。
このリズムゲームには、そういった版権楽曲は収録されていない。クラシックアレンジをかろうじて把握できたのは、ある程度はプレイしていた証拠だろう。
それでも――ジャンルの情報不足もあって、結局はツバキの勝利に終わる。実力的には悪くないのだが、チュートリアルを飛ばすと言う行動が後々に影響した結果かもしれない。
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