第3話:衝撃

 二曲目はジャンルとしてはクラシックアレンジとも言うべきジャンルで、リズムゲームではおなじみの題材と言える。


 このジャンルがある理由は、もしかすると他のリズムゲームをプレイしているプレイヤーを呼び込む目的もあるのかもしれない。


【この曲って、他の機種でもあったような】


【ソレは気のせいだな。クラシックアレンジで題材被りはよくあるが、アレンジはどれも違うだろう】


【それに他機種のアーティストもいるが、楽曲自体はこの機種のオリジナルが占めている】


【しかし、この曲が原曲になっているアレンジ曲はどれも高難易度のはず】


【言われてみれば。もしかすると、狙いがあるのだろうか】


 SNS上では様々な声があるのだが、そう言った声を気にする者は少ないだろう。ここ最近はSNS上における事件が大きく取り上げられた事もあり、中にはつぶやきアカウント取得に運転免許を要求する条例を考えている都道府県があるほどだ。


 全てはヴァーチャルレインボーファンタジーに関係したあの事件が関係しているようだが――その詳細は定かではない。


(やはり、全ては――)


 SNS上のつぶやきを見て、案の定か――と思っていたのは男性プロデューサーだった。


 彼は一連の炎上騒ぎは、特定コンテンツ勢力が遊び感覚でコンテンツ価値を下げようとしていた――と独自で考えているからである。



 実機周辺で観戦しているギャラリーにも、聞き覚えがある原曲と言う事もあり――こちらには若干の反応があった。その一方で、シュテン・ドウジは口には出さないが若干の難色を示す。


(なるほど――この曲は原曲も、かなり有名だ。そう言う事かもしれない)


 シュテンは難色を示す一方でプロデューサーは、この選曲には理解を示しているようだ。


 あくまでも商業的な理由かもしれないが――ある程度の定番は入れているのかもしれない。


 それでも収録されている楽曲には、アニメソングやジャパニーズポップス等のようなジャンルの曲は収録されていなかった。


 むしろ、そう言った楽曲は使用料という観点で外した可能性も否定できないが――。実際、オリジナル楽曲を売りにしたリズムゲームは存在する。


(しかし、あの楽曲でレベルが3と言うのは――最大レベルがいくつかによるが、詐称ではないのか?)


 プロデューサが更に気にしていたのは、自社製品と比較して難易度が若干詐称気味なのでは、という懸念だった。自社製品では難易度を十段階ほどにしており、あまりマニア向けにしないような配慮を行っている。


 ただでさえ、リズムゲームは対戦格闘などと違って様々な部分で分かりづらい箇所が多い。


 それを踏まえると、近年はリズムゲームがイースポーツに進出している事も話題になっているが――現実は厳しいのだろう。


(分かりやす過ぎても、確かに変なプレイヤーが集まれば民度も疑われるか)


 ヴァーチャルレインボーファンタジーの一件は、コンテンツ流通の変化を求める事件にはなった。SNS炎上を行う様なネットマナーを持たないような人物が集まるのは――コンテンツ流通の面でもマイナスだろう。


 だからこそ、プロデューサーはある程度の塩梅を持ったリズムゲームを生み出そうと考えていたのである。

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