第24話【生還】

はぁ……はぁ……何とか……家が見えて……誰か……助け……て……

気が付いたら気を失いそうな状態だった

幸の家が見えてとりあえずたどり着きそうな状態だったが体力は出血と戦いにより限界を迎えていた

地面に横たわりぼんやりとする意識の中耳をすませてみると誰かの走る音がしている

「た……助け……」

誰かと確認をする前にヨルナミも遂に気を失ってしまった

目を覚ますとベットの上に居た

「ここは……」

状況を確認しようと周りを見渡す

周りには沢山動物が居る。

兎やトカゲ、文鳥や猫も居た

他にも数え切れないほど沢山おり珍しい魚も居た

「やっと目を覚ましましたね。あなた方がボロボロになって倒れておりあたしは驚きましたよ。3日も眠ってたのですから……。でも、あの王子を殺してくれたのですから……べっ別にあんたの事が好きだからした訳じゃないよ……前の……お礼……あの……だから……」

片目が潰れており貧血により弱視になっていて最初は誰かと思ったが声をよく聞くと

「ワタは……」

自分よりワタのことが心配だったので聞いてみた

「ワタは大丈夫です。右手が切断されて血が足りなくなってましたけど……何とか一命は取り留めましたよ」

その事を聞き、ヨルナミは一息ついた

「そういや、タメでいいよ。僕ら同い年なのだから……ワタは僕の3つ上だから……でもいいと思うよ」

今更同い年と言う事をふと思い出し、ヨルナミはさりげなく言う

幸は少し嬉しそうに微笑んだ。それを見てヨルナミも少し微笑んだ

幸はそのほほ笑みを見ると恥ずかしくなり我に返り話を戻した

それなのに何故か敬語は抜けない様子だった

「それよりあなたは自分のことを心配したらどうですか? あなたは左眼と右足の太腿より下を失ってます。でも、出血はワタに比べたら少なかったのが唯一の救いですかね……とりあえずは安静にしといてください」

幸の精一杯の治療により2人とも何とか一命は取り留め、回復はできそうな状況にはなっていた

ただ、ワタはヨルナミが目覚めてから3日経っても目を覚まさないままだった

「ワタ……起きろ! 」

ヨルナミは少し体を動かせるようになりワタの所に居た

体を揺すって見たりして隣に居るとワタは目を覚ました

「う……うーん……」

目を覚ました事に気付いたらヨルナミは幸を呼びに行った

「ワタが目を覚ましたよ」

幸はそれを聞くと医療道具を持ち、ワタの所に行った

ワタは何も考えずにボーッとしていた

「ワタ、大丈夫? 」

とりあえずワタに話しかけてみた

「ああ、なんとかな。ていうかヨルナミ……お前の方が……目と足が……」

ワタは自分の事はそっちのけでヨルナミの方を心配した

「確かにワタは片腕だけで済んだ。僕の方が重症。でも、君が生死を彷徨って居たのは本当だから……良かったよ」

ワタは少し不思議そうな顔をして言う

「……キロルが……お前はまだここに来るべきではないって言って闇に突き落とそれたんよ。気を失ったとおもえばここにいた」

キロルの事なんだし、まだ父との時間を過ごしたいんじゃないのかなと思う

「とりあえず……これからどうしよう……」

ヨルナミは足のことやワタの腕の事についても考えた

「幸、なんかいい案とかってない? 」

とりあえず2人ともいい案が思いつきそうに無かったので話を振ってみることにしてみた

幸は少し悩んだ様子だったが、ひとつ思いつく

「あの……岩本さんっていう義足や義手の職人さんが居て、その方なら2人のことのを作ってくれたりするかな……1年ぐらい前に最愛の旦那さんを亡くしちゃって……最近は連絡取れないから……分からない……。あんたの為なら……取ってやっても良いいよ……その……貸しがまだ返せきれてないと思うから……」

その事を聞き、ヨルナミは喜ぶ

「ありがとう! なら……早速でお願いしてもらっていい? 」

「分かった! 」

幸は少し微笑みながら自分の机に座り、手紙を書き始めた

手紙を書き始めてから20分ぐらいがたった頃に手紙を持って幸は出てくる

「とりあえず、これを……フクロウちゃん、岩本ちゃんの所に持って行って」

真っ白でとても綺麗なフクロウ

とても大きく立派だがどこか可愛げがある

フクロウは幸の腕に止まり、頷き手紙をくちばしに咥えると窓からそれに向かって飛んで行く

「頼んだよ」


それから1週間がたった頃

一人の女性が幸の家に入ってくる

白髪の女性で目は少し悲しそうにしていたが何とか生きてると言わんばかりだった

「2人が義足と義手を必要としている方ですわね。小生は岩本です。えーと、あなた達の名前はヨルナミとワタですわね。とりあえず作る為に状態を見に来ました」

岩本は2人の腕と足の様子を確認し、紙に書き写した

「とりあえず、型紙は描きましたのでまた出来次第渡しに行きます」

とにかく堅苦しい感じの方だなって思う

岩本って……伊吹さんが言ってた方なのじゃないのかな……

「岩本さん。伊吹さんって知ってますか? 」

とりあえず伊吹さんの事について聞いてみた

すると岩本は何故かいきなり泣き崩れ始める

「あの人のことは……思い出したくないのに……でも……言わないのいけないのか……」

岩本は涙を流しつつも少し一息を着いた

「とりあえず、小生は作業をしながら話したいので……うちに来てください……家はすぐ近くですし、ワタは歩けるらしいですしヨルナミは幸ちゃんに背負ってきて貰いなさい」

「はい。分かりました」

ワタはベットから起き上がり、歩き出した

幸はヨルナミの事を背負う

「あんた……あたしの背中で変な事したら許さないからねっ! 」

それにしてもツンツンしてたりデレデレしてる人だな

これが世にいうツンデレというものなのかな……

とりあえず幸に体を預けよう

岩本は家に案内を始めた

4人は岩本の家へと向かっていった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る