第15話【正体と死闘の始まり】
ここがクソ親父の部屋か。来るのは10年振りって所かな……
ワタは王室の扉を恐る恐る開ける
そこは前みたいな輝きはなく、金で装飾されていたであろう部分は全て色が抜け灰色になっていた「これは酷いな……おーい、誰か居ないか? 」とワタは人を呼んでみた
だが、返事は無くどうしたものかと考えていると1人の青年がコツコツコツと歩いてワタの方に向かってきた
目の光は完全に失っており、洗脳をされたような薄暗い顔をしていた
「キロル……な……の……か? 」
ワタにはその青年がキロルにしか見えていなかった
ワタの呼び掛けには全く反応し示さず、キロルは黙ったまま短剣を取り出しワタの方へと向けた
「ちっ。お前はやっぱり裏切ったんだな。ならここで殺るまでだ! 」
ワタは自分の剣を引き抜き、キロルの所へ走っていく
ワタは剣をパワフルに振り回し、キロルに全く攻撃を与えようとしない
剣と剣の間には遂に火花が立ち始めた。相当ワタの力が強いのだろうか
そんな中でもワタは必死にキロルに語りかけた
「おい! なぜ裏切った! 」
「……」
「なぜ黙る? 言え! 」
「……」
「お前! いい加減にしろよ! 」
「……」
呼び掛けは無駄だと思ったワタはキロルに1発入れようと思いっきり強い一撃を仕組む
その隙を見たキロルはワタをヨルナミと同じように腕にナイフを刺した
よろけ、倒れかけるワタにキロルは追い打ちを掛け蹴り飛ばした
「グハァッ!」とワタは思いっ切り倒れた
縄を体の胸ポケットに隠し持っていたキロルは縄を取り出し、ワタを縛る
縛る時にワタの耳元でキロルは何かを呟いた
ワタは何かを納得した様子で縄に縛られたあと凄く暴れていた
バンバンと音を立て部屋全体にその音は鳴り響く
しばらくしているとまた、誰かが歩いてくる音がした
「くっ……クソ親父」
国王はワタを見ると少し驚愕をしたような顔で「貴様は牢に入ってるはずだ! 何故ここにいる? 」と言いながらワタの目の前へと歩いていく
「ああ、兵士が助けてくれたんだよ」
「なぬ!? 我が下僕がそんなことをする訳はないだろう」ワタを蹴り飛ばす
「ぐっ! 」
「悔しければ抵抗してみろや! 出来損ないのお前には出来るはずないがな! フォフォフォ!」
殴り、蹴りワタをどんどん傷つけて行く
「国王さん、お遊びは一旦そこまでにしてアレくれよ」
とワタは国王にまたお願いをする
「ああ、いいだろう。ほれ受け取れ」と国王はキロルに丸い物を投げた
「ありがとよ、国王さん」そう言うとキロルは王室を出ていった
「よし、今夜はお前が死ぬからな。たっぷり苦しんで死ぬがいい」
この時、ワタは死を覚悟をしたのだった
「ワ……タ……」とヨルナミは目を覚ました。それがワタへの危険の察知なのか、奇跡的にすぐ回復したのかは分からない
でも、ヨルナミの中ではワタを助けなければという使命感が降り注ぐ
ヨルナミは立ち上がろうとしたらライチがヨルナミを止める
「ダメよ! 今動いたら……あなたは死んじゃうから……」と動き出すヨルナミを止めようとする
「ライチ……君は無事だったんだね……良かったよ……」
「ワタや私より自分の心配をして! あなたが死んだら意味が無い! 」
ライチはヨルナミが動こうとするのを必死に止めようとする
「僕にとったら……君も、ワタも、キロルも大切な仲間だから……例え裏切られたとしても……変わらないから……」
そういい、ヨルナミは外に出ていった
上手く走れないし、まだ体は傷だらけ
でも助けるという意思は誰にも曲げれない
「なんで……よぉ……」ライチは必死になりながらも止めれなかった事を後悔している
あの時、私が止めていたら……本当にヨルナミが死ぬのかもしれないと言う恐怖で自分を責めなくても良い気がしたから
でも、本当は自分が安心したいだけなのかな……
きっとそうだ
なら、自分に出来ることはなんだろう
そう考えた時、何故か祈ろうと思った
ライチは祈り始めた
「ノルト様……どうか3人を……」
するとライチは別の空間に移動をした
なんだろう……ここは……
あの時、シスターになった夜に見た景色と同じだった
あの時来た時よりも美しく、太陽が輝いている
ここで祈りを捧げれば……何かが……
ライチはそう思い、祈りを捧げ始めた
すると世界は優しい霧に包まれ始め、原理は不明だがヨルナミとワタの体を癒し始めた
「体が……回復していく……傷もだ……」と体や傷が癒え、力がみなぎっき来る
何が起こったか分からないが、とりあえず2人の元に急ごう!
「体が……回復していってる……」
ワタの体は国王に傷付けられボロボロになっていた
だが、何故か回復をしていたのだ
「貴様……何をした! 」国王は困惑をしていた
「それはライチが自分の世界に入ったからだ」
いきなり、口を挟むキロルに驚く
「キロル……! 何をしている! 」
「ははん、国王さん、騙されちゃったな? 」
騙された? どういうことなんだ?
「お前を騙すのは大変だったぜ。なぁ? ザンロよぉ? あっワタ! あのことはすまん! 忘れてくれ! 」
ザンロ? どういうことだ?
「ふはは! ならどうやってわしの正体を見せる? 正体を明かさせないと無駄だぞ! 」
否定をする国王に対し、キロルは「ほほう、わいを騙すのだな……! 正体を現せ! ザンロ!」
といい、キロルはふたつの玉を投げた
水晶玉のように透き通っている綺麗な玉だった
国王は漆黒の霧に包まれ始めた
とても邪悪な雰囲気が部屋一帯を漂い始める
「クックック………我の正体を見破るとは……お主、やりおるな。冥土の土産に教えてやろう! 」
黒光りと共に国王の姿は漆黒から現れた時には完全に変わっていた
体が大きくなり、漆黒の角と翼が4本生えている。そして、身体は紫色の鱗で包まれていた。恐ろしい充血した目は野獣のような、黒曜石のような眼差しだ
まさに、この世の者では無い。そんな言葉がピッタリだ
声はもっとドスが効いたような暗い声だった
「我の正体を知ったからにはお前らには死んでもらうからな。チロルと伊吹と同じようにな!」
伊吹さんは……こいつに殺されたのか……くっ……
ワタは怒りが込み上げてきた
キロルもまず、親父の仇を必ず取らない。そして、世界を変えないといけない。そう思った
「親父は……」
ワタはザンロに変わる前の親父はどうなったのか聞いてみた
「冥土の土産に教えてやろう。お前の親父は既に死んでいる。以上だ。」
そう言われ、ワタははらわたがにえたぎるような怒りを覚えた
「それなら俺はお前を殺す!ただそれだけだ!」
ワタは剣を引き抜いた
「キロル! 行くぞ! 」
「おうよ!」
2人は立ち向かって行く
紫色の鱗は攻撃を弾き、全くと言っていいほど攻撃を受け付けなかった
「強すぎる……キロル……大丈夫か? 」
「ああ、何とかな。流石暗黒界の王。強すぎる……」
協力して戦ったがやはり、ザンロ。2人は力不足で敵わない
それでも戦い続けた
何が始まった……そんな気がする……ワタとキロル……
急がないと!
ヨルナミはまた走り始めたのであった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます