第14話【救出】
あれから走り始めてどれぐらいが経ったのだろうか……
少し疲れてきたな……
あの人は大丈夫かな
少し不安と戦いながらも走っていた
「やっと見つけたぜ! こいつも捕まえてもっと今夜はご馳走にしてやるぜ! 」
さっき、2人を捕まえた兵士たちがヨルナミの周りを囲い始める
剣を抜こうとしたらキロルに刺された所が少し痛む
それでも、ワタをライチを絶対助けるという気持ちは変わらない
僕が捕まったら誰が助ける。あの時のように……今度は僕が助ける番だ
ワタに助けて貰って、マシューさんに助けて貰って今があるから
ヨルナミはギターを取り出し、メロディとリリックを挟み出した
雰囲気は変化し始め、ヨルナミの世界が作られ始める
城には有るはずのない輝きが現れ、その空間がどんどん大きくなっていく
「なんだ?! この雰囲気は……まぁいい! お前ら! するぞ! 今夜はご馳走だぁぁぁぁ!!! 」
襲い掛かって来た兵士たちの動きが遅く見えてくる
僕はこう綴った
ここで僕は道を切り拓く。
例えこの身が朽ちてしまえど、僕は決して諦めない。
あの時あいつに助けてもらったように!
だから決して挫けない!
何がメシウマそんなことない。
昨日はお前ら最後の晩餐。
そうさ今日はお前らの命日だからさ
場の雰囲気はさらに変わり始めている
兵士たちはどんどん気絶をしていく
何が起こったのかは全く理解が出来ないがこのギターの能力なのかな……でも、普通に弾いている時はなんともない……分からない……少し共通点があるとしたら、僕が怒っている時や怯えている時に周りに異変が起きている
あの時何者かの使者の時も、国王に呼ばれて初めてここに来た時もそうだったから
でも、起こったのは2回だけ……2回目は夢っぽかったし分からない
また起こった時に考えればいいかな……
走っているといきなり目眩に襲われた
世界がクラクラと揺れ、前がよく見えない。どうしてだろうだろう……前2回はなかったのに……
それでも前に進まないといけない……
「はぁ……はぁ……ワタ……待っててね……あの夜、君が僕を助けてくれたように……」
諦めずに必死に走った
どうか無事で居て……
その頃、ワタとライチは牢に入っていた
「おい! ここから出せ! 縄を解け!」
牢の中でワタは必死に足掻く
牢を蹴ろうがビクともしなかった
抵抗をしても無駄だと確信したワタは少しでも体力を付けようと身を休めることにした
ライチはヨルナミが来るのを待とうと思い、一緒に体を休めていた
あまりの環境の悪さにワタは弱気になってしまった
「ヨルナミ……こんな環境で1週間も過ごしていたんだ……ごめん……もっと早く助けられなくて……」
落ち込むワタにライチは「ヨルナミなら必ず助けに来てくれるから……待っとこう……」と二人はヨルナミが現れるのを待っている
ライチはヨルナミの安全を祈る事、ワタは相棒のことを信じることしか出来なかった
必死に走るヨルナミ
何度も何度も兵士と遭遇をしてしまった
最初はまだ、大丈夫だったがギター能力を使う度に精神的ダメージが酷くなっていく
目眩と吐き気が襲い、前もよく見えなくなって行った
「貴様をぶっ殺す! 」と兵士がヨルナミに攻撃を時、伏せごうと剣を取り出したが戦いによる体力消耗により、間に合わず斬撃を受け、腕に大きな傷が出来た
この傷が完治しないともう剣を振る事やギターを弾くことすら出来なくなるだろう
どこかで応急処置をしなければ……
でも、この兵士を倒さないと……
ヨルナミは死に追い込まれていた。とても寒く、足もガタついて来た
でも、立ち向かう。理由はワタがくれたから
ワタが、マシューさんが、キロルが、ライチさんが居たから僕は出来ている
その事を忘れないで立ち向かうしかないんだ
ヨルナミは必死に剣を振り始めながら歩いていた
「おいおいおいおい?? 弱ってんじゃねーのか? にぃちゃんよォ? お前はここで死ぬからなぁ!」
と兵士がヨルナミに立ち向かってきた
そんな中ヨルナミは最後の力を振り絞り周りに集まった兵士を倒す為にギターを弾き始めた
what?
なんでお前らしつこいの?
そろそろいい加減にしないと
その魂取るぞ?
自分の力を振り絞り、兵士に大きなダメージを与えた。その代償は大きく、その場で倒れてしまう程だった
「とりあえず……はぁ……陰に……はぁ……はぁ……隠れよう……」
ヨルナミはそう思い、陰を探す。すると城のいい所に陰があるのを見つけ、休む事にした
すると誰かが走ってくる音がした
兵士か……もう死ぬ事になるのか……ワタ、ライチ。助けに行けなくてごめんね。僕は先にあっちに逝くから……
もう助からない。そう思っていた
でも、その足音はワタだった
「ワタ……? どうしてここに? 」
いきなりの状況にヨルナミは動揺した
「いいから話は別だ! お姉ちゃん! こいつを連れて外へ! 急げ!」
とワタはライチにヨルナミを預け、外に出そうとした
そうか、これは幻覚なんだ……最期に見せる走馬灯みたいな……
ヨルナミは目を閉じた
「おい! どうしたんだ! ヨルナミ……? 起きろ! ヨルナミ! 」
ワタはヨルナミが死んだかと思い、必死にヨルナミの名前を叫ぶ
ライチはヨルナミに脈がある事に気付き、「大丈夫。まだ脈がある! とりあえず私に任せて! 」そういい、ライチは走っていった
「お姉ちゃん! 俺はあのバカの所に行ってケリつけてくる! 」
「分かったよ! 」
そういい、2人は別れた
「はぁ……はぁ……あと少しだから……頑張って……ヨルナミ」
ライチはヨルナミを助けようと必死に走ったのだった
走っているとライチの周りに光が集まり、気づいたら教会の前に飛んでいた
ライチは何が起こったのか理解が出来なかったが、とりあえず神様に感謝をした
ヨルナミを自室の部屋のベットに寝かせるとライチは包帯や消毒液、止血材などを用意し傷口や出血をしているところにし始めた
ヨルナミの体はとてもボロボロで、何とか処置は終わった
あとは回復を待つだけだった
「ワタ……お願い……ヨルナミは無事だから……」
ライチはワタのことを祈り、ヨルナミの無事を祈るのだった
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