第51話 最初で最後のスキー旅行①【トモ・ベッキー・マサカズ】

小島が高校2年生の冬休みのことである。

トモ、ベッキー、マサカズの3人とスキー旅行へ行くことになった。

小島にとって生まれて初めてのスキーだ。

新潟県のガーラ湯沢へ一泊二日の予定だったけれど、暇だったので前の日に「もう行っちゃうか~旅館なら当日でもどうにかなるだろ!」という安易な考えをトモが言い出して予定より1日早く出発した。


そしてガーラ湯沢に到着して旅館を探すと3軒目で宿が見つかった。

その日は、4人とも疲れていたのですぐに寝た。

そして次の日さっそく滑りに行く。

小島達は、レンタルのスキーセットを借りて1日リフト券を買った。

小島以外はみんな経験者だったのでリフトで上級者コースに行くと言い、初心者の小島もいきなり上級者コースに連れて行かれた。

スキー板を履くのも初めてだった小島は、リフトを降りる時に派手に着地失敗してリフトを止めてしまう。

みんな笑っていたけれど、小島は立つことすらままならない状況で必死だった。


小島以外の3人は「とりあえず一回滑って戻ってくるわ」と言って小島を残して滑り降りてしまった。

1人ぼっちになってしまった小島は、待っていても仕方ないので転びながら少しずつ降りていく。

小島にとってスキーは全く面白くなかった。


小島が100メートルくらい下ったところで派手に転がっていると「あぶねぇ~!!」とマサカズが小島に突っ込んでクラッシュした。

マサカズのスキー板が小島の頭に当たり、頭が三センチ位切れて血が出ていた。

そんな小島が「大丈夫か!?」とマサカズに声をかけると「大丈夫!大丈夫!」と言っていた…けれど鼻の頭を横に切って顔の下半分が血だらけになっている。

それからトモとベッキーも降りてきて「どうしたん?事故ってんじゃん!」と笑っていた。

小島は「とりあえずレスキュー呼んで来て」とトモとベッキーに頼んだ。


スノーモービルに乗った救急隊員がさっそうと登場し、すぐに治療してくれたのだけれど、病院へ行った方がいいということになり、小島とマサカズは病院へ運ばれた。

スキーを開始して1時間と経っていなかった。


幸い小島は数針縫って頭を包帯グルグル巻き程度で済んだけれど、マサカズは鼻の骨が折れていて鼻に大きなガーゼを貼られた。

鼻に四角いはんぺんがくっついているみたいだったので、小島達は笑わずにいられなかった。


結局そのあとスキーには行かず、宿の部屋で酒を飲んで騒ぐことになった。

ベッキーが酔っぱらって小島にツッコミを入れたのだけれど、よりによって怪我をしている頭を叩いた。

小島は反射的にベッキーの顔面を殴ってしまう。

鼻血を出すベッキー。

小島は「しまった!」と思った。

というのもアイとの「今後暴力を使わない」という約束を破ってしまったと思ったからだ。

(ベッキーはどうでもよかった)

けれどすぐに「ベッキーだし今のはノーカウントだな!」ということで何事もなかったようにまた飲んで騒いだ。


そんなこんなでみんないい感じに酔っぱらい、街に繰り出そうとなる。

小島は怪我をしているので乗り気ではなかった。

けれけど、スキーをほとんどしていないトモに悪いな、というのもあって付き合う事にした。

(ベッキーはどうでもよかった)

しばらく夜のネオン街を歩いてあると「マンハッタン」というストリップ劇場を見つけた。

トモが入りたいと言ったので受付で話を聞いてみると「もう踊り子さんが1人踊り終わっているから、今なら半額でいいよ」と言われたのでストリップを見ることにした。

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