第47話 青春時代に学んだこと③【亀田・オマリー・井白】

※お食事中の方は読むのをお控えくださいまし※


その日は、秩父農工のグランドで他校との練習試合が組まれていた。

午前中に1試合、昼食後にもう1試合が予定されていた。

そして事件は、昼休みに起きる。


小島は昼飯を食べてキャプテンの亀田と一緒にトイレへと向かっていた。

グランドからトイレまで200メートル位あるのだけれど、100メートルほど先をオマリーというあだ名の後輩が歩いていた。

オマリーは、ホームランバッターで体がデカい。

ついでに頭もデカいので普通のヘルメットだと途中で引っかかってしまい、遠目にはヘルメットが浮いているように見える…そんな巨体の後輩である。


小島とキャプテン亀田がトイレに着くとオマリーが「オェー!!」と嗚咽しながらトイレから出てきた。

小島が「どした!?」と聞くと「大便器にめっちゃデカイウンコがあるんですけど…流してないんで…めっちゃ臭ぇんす…」とオマリーは答えた。

小島が中に入ってみると、予想をはるかに超えるデカイウンコが流されないまま放置されていた。

そして使用後のトイレットペーパーは便器になかった。

「こんだけのもんしといて…拭いてないってことか?」とキャプテン亀田がつぶやいた。

小島が「オマリー、実はこれ、お前じゃねえの?」と言うと、オマリーは慌てて「俺じゃないっすよぉ!」と否定した。

さらに小島が「こんなデカイのお前しか出来ねぇだろよ(笑)」と追い討ちをかけると「俺の前に井白が出ていきましたよ!」とオマリーは言った。

井白というのは、オマリーと同級生の大人しい男だ。

「まぁ、とりあえず流しておけよ!」と言って小島と亀田は用をたしてとグランドに戻った。


それから午後の試合前に部員全員で丸くなって準備体操をしている時にキャプテン亀田が口を開いた。

キャプテン亀田「おい井白、お前昼にトイレ行ったか?」

井白「はい行きました!」

キャプテン亀田「お前ウンコしたか?」

井白「はい、しました。」

キャプテン亀田「お前、そのウンコ流さなかったろ?!」

井白「はい!流していません!」

小島「なんでやねん!」

キャプテン亀田「しかもケツ拭いてねぇだろ?!」

井白「はい!拭いてません!」

小島「だから、なんでやねん!」

キャプテン亀田「なんで拭かねんだよ!」

井白「はい!わかりません!」


本人もなぜウンコを流さなかったのか、なぜお尻を拭かなかったのかわからない謎多き出来事は『井白ウンコ事件』と名付けられ、いまだ未解決のままである。

そして、小島がこの事件から得た学びは、人はあまりに大きすぎるウンコを出すと、我を忘れ“流す”ことと“拭く”こと忘れるということくらいしかなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る