第40話 強烈なビンタよりも笑いの方が勝った話【カズヨ】

今回は、小島のはじめての彼女で、アイとの再会をセッティングしてくれたカズヨにまつわる話である。


小島とカズヨは別れてからも仲良く遊んでいたし、同じ高校に入学してからもそれは変わらなかった。

小島はバスで学校に通っていたのだけれど、いつもバスの一番後ろの5人掛けの座席を陣取って周りの迷惑など考えずに仲間とベチャクチャ大きな声でしゃべっていた。

そして小島達の前の2人席には、カズヨとその友達がいつも座っている。


ある日、小島は、前の席に座っているカズヨにこう言った。

「カズヨ、滑舌が良いか悪いか、がわかるテストがあるんだけどやってみる?」

するとカズヨは、やってみたいと言う。

なので小島は「じゃあ、『ヤッターマン・コーヒー・ライター』の3つ言葉を続けて大きな声でハッキリ言えたら滑舌いいみたいよ!」と教えてあげた。

そして、何の疑いもしないカズヨが、ぎゅうぎゅうに人がいるバスの中で「やったーマ○コー開いた!」と言ってしまった。


あまりに活舌良く大きな声で言ったものだから、ザワつく車内…

小島は、カズヨが賢い子なのを知っていたので、絶対途中で気付くだろうと思っていたのに、まさかこんなに綺麗に引っかかるなんて!と爆笑していた。

やっと事の重大さに気づいたカズヨは、恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にして全力でビンタを小島に打ちつける。

中学時代バレー部のキャプテンだったカズヨのスナップの効いたビンタは強烈だった。

それでも小島は腹を抱えてゲラゲラ笑っていた。

それから2週間、カズヨは小島と口を聞かなかった。


そんなことがあったものの、カズヨが結婚して嫁ぐまで、小島とは仲間達とカラオケに行ったりと長く友達関係が続いた。


ちなみに大人になった小島は、当時を振り返ってこう語っている。

「あんなくだらないことで笑えてた頃に戻りたい!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る