第28話 高校の進路で悩む話2【鉄郎・将軍】

大地との試合後、小島の野球熱は今までにないくらい高かった。

けれど将軍が引退した野球部は13人だけになり、戦力的に勝ち上がれるチームではなかった。

さらに新チームのバッテリーである小島とヤンキー堀田は、犬猿の仲なので一言も口を聞かない最悪の組み合わせだった。

そして2人が投球練習をすることは一度もなかった。


そういったこともあって小島は、中学の軟式野球に見切りをつけ、硬式の高校野球に向けた練習を開始した。

その練習相手に選んだのが、少年野球時代から一緒にプレーをしてきた後輩の鉄郎だった。

鉄郎の野球センスはズバ抜けていたので、硬球でのキャッチボールやTバッティングをして高校に向けた準備をしていた。

ちなみに本筋とはまったく関係ないけれど、鉄郎は、トモに振られ小島を振った後のカズヨと付き合うことになる。

そんな鉄郎は、小島がムカつくくらいモテる男前だった。


閑話休題

小島は、冬も1人で走りこんで体を作った。

3年生になった春の大会では、2回戦で負けたけれど1試合で2本のホームランを打ち、小島としては満足のいく大会となった。


その頃には、将軍が入った狭山ヶ丘高校に行くか、当時まだ有名ではなかった花咲徳栄高校のセレクションを受けようかと考えていた。

なぜ花咲徳栄高校に興味を持ったかというと、平凡なピッチャーが監督の指導によってプロに入ったというケースが何人かいたからだ。

小島は、監督の指導で成長していくピッチャーの球を捕ってみたいと思っていた。

そして、それ以上に大きな理由が、花咲徳栄のボクシング部が全国レベルだったことだ。

高校で自分の野球が通用しなかったら、さっさとボクシングに転向するつもりだったのだ。

小島には、そういう抜け目のないところがある。

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