第26話 出し抜く女と、おこぼれを狙う男の話【トモ・カズヨ・エリカ】

小島が初めて女の子と付き合ったのは、中学2年生の時だった。

彼女の名前はカズヨといって、小島の1つ下の後輩で、学校でも上位に入る可愛いバレー部の子だった。

プラトニックな付き合いで、キスすらしないで数か月で別れたけれど、小島にとって楽しかったし幸せな時間だった。

なぜかというと、ケンカ別れしたわけではないし、お互い嫌いになったわけでもないので、恋人という関係を解消してからも仲が良かったからだ。

何より同級生から1年以上無視され続けられていた小島にとって、自分と付き合ってくれる人がいるという事実だけで十分すぎる幸せを感じることが出来たのだ。


小島の初彼女となったカズヨには、仲が良いエリカという同級生がいる。

エリカは、カズヨに負けないくらい可愛い。

そんな2人は、小島の親友であるトモのことを同時に好きになってしまう。

小島が中学3年生の時のことである。


小島は、エリカとも仲が良かったので、トモと遊びたい2人によく使われた。

トモの家で小島を交えて遊ぶ機会を何度も作らされた。

そしてトモの家で、王様ゲームをしたり、別の日には王様ゲームをしたり、時には王様ゲームをしたりと、小島には王様ゲームをした記憶しかない。


王様ゲームといっても軽いキスや胸を触ったりという程度のものだった。

それでも、みんなワーキャー言いながら盛り上がった。

そしてトモとキスをするときの女の子2人のテンションは、明らかに小島の時とは違った。

けれど小島は、そんなことはお構いなしに「王様の命令は絶対だしな!」と自分に言い聞かせ、2人とキスをし、おっぱいを揉みしばいた。

カズヨと付き合っていた時には、キスもしたことないのに…

ちなみに、その時のポッキーゲームで小島はファーストキスを経験する。

お相手はエリカだった。


肝心のトモはというと「どっちも可愛いから、どっちかに決められねぇ!」と喜びながら悩んでいた。

カズヨとエリカも積極的にアピールをしていて、小島はキスや胸を触るおいしい立場を維持しつつ「恋って素敵やん!」といった感じで見守っていた。


そして卒業式前に2人がトモに「付き合ってください。」と同時に告白した。

いよいよトモも決断の時が迫っていた。

けれど、トモは決めきれずに困ってしまい、小島に相談する。

小島は「どっち選んでもフラれた方のフォローは俺がやっとくから直感で決めたら!」とアドバイスした。

虎視眈々とフラれた方の女の子の弱みに付け込もうと狙っている最低な小島なのであった。


そんな状況になっても決めきれないトモにしびれを切らしたのか、それまで正々堂々と戦いを繰り広げてきたエリカが最後に動いた。

トモに「カズヨ、トモさんのこと諦めるって言ってました。」と嘘を付いたのだ。

であればと、トモはエリカと付き合うことにした。


小島は、この事実をカズヨに伝えるべきか迷ったが…言わなかった。

そして小島は「はしゃいでトモのことなんて忘れちまえ!」とカズヨをカラオケに誘った。

カラオケの帰り道に小島は、あすなろ白書のキムタクばりに「俺じゃダメか!?」と言った。

もちろんダメだった。

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