第21話 将軍が「ぎゃー!」と叫んだ話【トモ・将軍】

将軍の話をひと通り聞いたトモの感想はこうだった。


「小島ちゃん、将軍に弱点ってある?」


「弱点?無いんじゃね?

野球でも喧嘩でも、とにかくどんな手を使っても勝ちに行くし、人の嫌がることを見つけるのは天才的だからな。

あと幽霊とかも信じてないしさ。

そういえば、小学校の時に古いトイレがあってさ、夜になるとそこに髪の長い女の幽霊が出るって噂があったんよ。

みんなビビッてたら、『俺が確かめに行ってやんよ!』って将君が言いだして『小島も来い!』って言われてさ。

夜に将君と2人で行ったわけ。

で、トイレの入り口で見張っておくように言われて、将君はトイレの中へ入って行ったんだけど…しばらくしたらバタン!ってでっかい音がして将君の『ギャー!』っていう叫び声が聞こえたんよ!

何が起こったのかさっぱりだし、どうしていいかわかんなくて中をのぞいたら、将君がすごいスピードでトイレから出てきてダッシュで走って行くわけ!

俺は訳も分からず必死で将君の後を追っかけたわ!

俺、足の速さには自信があるんだけど、その時の将君に全然追いつけなくてさ、むしろ引き離されてただ事ではなさそうだから余計焦った…

で、何があったのか聞いたら、自分が勢いよく閉めた扉の音にビックリして逃げたんだって(笑)。」


「何だそりゃ!(笑)」


「そういうバカなところはある(笑)。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る