第17話 病院送りになったハギの話【トモ・ハギ・タモツ】

小島は新しいタバコに火を点けて煙をくぐらせた。


ちなみに小島は、小学校4年生の時にアソコに毛が生えてきた。

6年生の時には生えそろったので「俺も立派な大人の仲間入りだ」ということでタバコを吸い始めている。

というのは表向きの口実で、父親があまりにうまそうにタバコを吸うので自分も吸いたくなっただけだ。

そしたら、うまくてやめられなくなった。

つまり小島は、若い時にありがちな悪ぶって吸っているわけではなく、生粋の愛煙家なのである。

そんな小島は、目を細めながら煙を吐き出して話を再開した。


「学校の帰りにヤンキーのたまり場になってるお好み焼き屋の前を通ったら、他の中学のヤンキー達もいて10人くらいたむろしててさ、ヤンキーのタモツに呼び止められたんよ。

そしたら『お前こいつとタイマンはってみろよ!』って言われてさ。

全くもって意味不明の思考回路なんだけど『あいよ~』って引き受けたわけ。

で、俺のタイマン相手に指名さたのが、隣の中学で年が1つ上のハギっていう奴だったんよ。

ハギはCHEMISTRYの川畑を2発くらい殴った後の顔に似ててさ『お前が小島ってのか?調子に乗ってるんだってな?!』って言うわけ。

俺が『初対面の奴に調子に乗ってる言われてもな…たとえ調子に乗っててもお前には関係ねえだろ?てか、お前誰だよ!』て言ったら、『ふざけんなよ!』とハギが殴りかかってきたけど…

ハギは気の毒なほど弱かった…

あの弱さでヤンキーやってることを不憫に思ったわ(笑)。

それで終わりだったらよかったんだけど、何日か経った部活帰りに、ハギと数人の奴らが校門で待ち伏せしてて金属バットで襲撃されてさ。

ボコボコにやられたけど、ハギだけは返り討ちにしてやった(笑)。

なのにまた何日か経ってから、ナイフを持ったハギが校門に立っててさ、腕を切られたけど、またまた返り討ちにしてやった(笑)。

この時に、さすがにまた来られても面倒だから、いつもより激しくやったらハギが入院してしまったという流れなわけ。

それが学校でも問題になって警察も入ってしまったから、今に至るって感じだな。」


「へー、なんか小島ちゃんだけ停学になってるのも変な話だな…

ところで小島ちゃん喧嘩好きなの?」


「嫌いだよ、だって痛てーもん。

誰とやっても負ける気はしないけど、無傷ってわけにはいかないからさ。

でも俺って昔から素直だから、頼まれちゃうと断れないんだよね。」


「それを素直というのか?」


「じゃ、何ていうの?」


「わかんね。」


「何だそれ。」


と2人で笑った。

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