ケルピー――水棲馬の健康診断のこと
友人の助力要請で、胡椒湾北部の水棲馬牧場の健康診断へ。
今や水棲馬の活躍の場は、
ケルピーは前脚と尾びれで体重軽減の魔法を使うため、これらの診察が要だ。今年は危険なカイバツボカビ病の流行の兆しもなく、我々魔獣医も牧場主も一安心。
ケルピーには食性や生息域の異なるいくつかの種類があり、王国では北海産のアハ・イシュケ種と南海産のヴァカワカ種を掛け合わせて作った、アリオーン種の飼育が主流である。
だが水競馬用の競走馬には、野生種の血を入れると健康で速い馬が生まれるという話があり、魔獣狩人には野生馬捕獲の依頼が季節に増えるという。
魔獣狩りたちはケルピーを
噂では、野生馬は毛色で性格が違うのだという。黒は頑固で手に負えず、
ちなみに今日、私が診察した昨シーズン王都杯の優勝馬も白波切とのあいのこだそうだが、彼女は銀白の
いろいろと動物を飼う私も、さすがにケルピーは経験がない。好きなときに彼らの背に乗り、ともに水面を駆け巡れたらさぞかし楽しいだろう。
そうポロリとこぼしたところ、ある牧場主がオフシーズン時の乗馬に誘ってくれた。定期検診こみとはいえ、嬉しい提案だ。
すぐに魔獣医仲間と連絡をとり、水上ピクニックの予定を立てる。
波を蹴立てて駆けるのはどんなに気分が良いだろう。夏が今から待ち遠しい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます