霊の存在調査
高宮からの依頼は、簡単なものだった。
「指定した建物に霊がいるかどうかを確認してきて欲しい」
そう言って、電話を切った後にいくつかの建物と住所がメールで送られてきた。
ただし、霊がいたとしても手出しはしないことと、建物には入らず通り過ぎるだけにすること、という2点を念押しされた。
咲南たちのサポート担当は杉浦であり、通常局長から直接仕事の依頼が来ることはない。友里のことだから何か独自に調べていることがあるに違いない、と思いながらも、追求したところではぐらかされるのが目に見えているので咲南は何も聞かなかった。
依頼の内容になんとなく興味を持った咲南は、その日の学校帰りに早速行ってみることにした。
後回しにしても面倒なので、指定された中でも一番遠い建物を目指し、電車を乗り継ぐ。
地元の駅から40分ほどかけてようやく到着したその建物は、駅の近くの雑居ビルだった。商店街の入り口にあり、人通りも多く、ビルへの出入りも普通にありそうだ。
ーー中に入らず通り過ぎるだけにしろ、ね。
霊自体がある程度強めの霊気を持っていない限り、さすがに瞬時には判断ができない。要は、チェックしているのをばれなければいいのだろう、と咲南は思った。
ビル手前で立ち止まり、スマホをいじるフリをして意識を集中させる。
ーーここには、何もいない。
はっきりとわかった。簡単にメールで高宮に報告し、咲南はさっさと帰路についた。
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