エピローグ 告白

「上野先輩、好きです。付き合ってください!」


 愛菜美に校舎の裏に呼び出され、昨日のお礼でも言われるのだろうと気軽に構えていた彰は、突然の告白に目をする。


「・・・ありがとう。でも、ごめん」


 予想しない事態ながら、彰の口から出た言葉は確固たる意志が感じられるものだった。


「黒川さん、ですか」


 何かを堪えている様子で、愛菜美が尋ねる。


「え、わかる?」


 再び驚いたような表情になる彰。


「確かに美人ですけど・・・あんな冷たそうな人の、どこがいいんですか」


 感情の高ぶりを抑え切れず出てしまった攻撃的な言葉に、愛菜美は「しまった」という表情になる。


 しかし彰は怒るそぶりも全く見せず、笑った。


「また相談事があれば、いつでも俺たちに言ってよ」


 そう言い残し、彰は校舎の中に戻っていった。


 “俺たち”、ね・・・。


 校舎裏にひとり残された愛菜美は、再びがっくりと肩を落としたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る