第9話企画書だけでは始まらない sideケント 1
ここ2〜3ヶ月前から流民が増えてきた。必要最低限の物資を王宮や教会から支給されているが、それも微々たるものでしかないため、餓死者が出るのは時間の問題と上司に言っても取り上げてもらえない。仕方がないのでクライを通してクリフ殿下に掛け合ってもらった。まさか領主による不正で起きた旱魃によって土地を追われてきたとは思いもよらなかった。
「すいません。このままでは衛生面や治安面であります。せめて王都の外壁との間に彼らの住処になる場を設けることをお許しいただけませんか?」と衛兵長に直談判をしたのだが、
「無駄だ。すぐにその外にまた人が集まってくる。我々が管理できるものではない。あきらめろ」と言われた。だからといってこのままでいいわけがない何かてはないかと思案していると
「おい。外の流民について誰かわかるものはいないか」と近衛兵団の団長でもある王弟殿下が門衛の詰所に来て尋ねられた。
「私でよろしければご案内させていただきますが」と答えると
「頼む。最近王城でも問題視されているのだが、さすがに城壁を広げるわけにもいかない。かと言って王都の中に入れるわけにもいかず住んでいた村に返すにも問題があって住んでいた土地を離れたのではということで、いま調べてる最中だ」
「そうでしたか。これから向かう場所は門を出て少し離れたところにある流民たちが作ったキャンプ地です。近くにどうやらスラムに住むものたちが作った畑があるらしく、時折諍いが起きます」そう言って門を出て左に行くと何やらまた諍いが起きていた。
「てめー!勝手に人の畑で何やってくれてんだ!」
「ここは誰の土地でもないはずだ。そこに植っている物をどうしようと勝手だろ」
「うるせ!お前らがくる前からここは俺たちが耕していた土地だ。後から来て勝手に食べるなんてもってのほかだ」と言いあって一触即発状態となっていた。
「じゃあ、土地を分ければいいんじゃないか?」と少し離れたところから見ていた王弟殿下がポツリと仰られた。
荒地の領主〜捨てられた土地を再生 @korimo
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