第31話 白崎さんのお母さん

時計を見ると21時過ぎ。

「白崎さん。もう夜遅いし帰らないと。」

「いいえ。大丈夫です。今日は、帰りません。」

「へっ?」


白崎さんは何を言っているんだ?

明日は学校だよ?


「帰らないってどういうこと?」

「高木さんが心配なので帰りません。」

「いや、それはまずいでしょう?それに服とかないしね?」

「そう、言われると思い先に家に帰ってお泊りセット持ってきてます!」


そういって白崎さんは、玄関からスーツケースを持ってきた。


「とりあえず1週間ほどの衣類を持ってきてます!高木さん本日からよろしくお願いしますね♪」


よろしくお願いしますねって…。


「いやいや。」

「念のため言うとくと、私の母からは許可頂いています。」

「許可貰ってるって…。」

「私の母とお話した方が早そうですね?これ私のスマホです。母に電話を繋げてるのでお話しして下さい。」


「もしもし?」

「はい。真白の母の舞と言います。」


電話に出ると白崎さんのお母さんがでた。


「申し遅れました。白崎さんの友達の高木隼人と申します。」

「ふふっ。自己紹介ありがとうございます。隼人くん。」

「白崎さんが、一緒に泊まるのを許可したことに関して連絡させて頂いたのですが…」

「隼人くん。そんな堅苦しい話し方しないで?普通に話してもらった方が嬉しいわ。で、許可したことか…。私の娘が決めたことだから許可したのだけど…?」


「いや、年頃の男女を泊まらせるにはよくないことかと?」

「でも、過去に一度泊まったことがあると娘から聞きましたが?」

「ぐっ…。それは服が汚れてしまい、出来上がった時には夜遅くなりそうだったので仕方なく…」

「でも、現に泊まったことには変わりないのでしょ?それにお話していた感じ、隼人くんは悪い方ではなさそうですし。よろしくお願いしますね?お話は以上です。娘に代わってもらえるかな?」




「お母さん。変わりましたけど?」

「いい人を見つけたようですね?」

「ふぁ!?」

「あなたの決めたことに文句は言いません。お母さんも隼人くんなら賛成です。ですが、自分で決めたことなら責任を持つのですよ?」

「もう!お母さん!気が早いよ!」

「孫の顔が早く見れそうで、お母さん楽しみだわぁ~」


白崎さんがお母さんとお話している。

時々、びっくりしたり、顔を赤くしたりいろんな表情を見せてくれる。

そんな白崎さんを見てると、心がポカポカしてくる。


「高木さん。私のお母さんはお父さんよりも強いです…。なのでよろしくお願いしますね?」


もう…いいです。

僕に拒否権はないのですね…

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