第6話 快便→反逆
「Yes sir!」
一部がナイフや小さな鈍器、鉄パイプを持って掛かって来た。
僕は1番位置が近かったナイフの男を殴った。
「ぐふっ!だがこっちのもん!」
(至近距離で投げナイフ⁉︎)
ナイフが回転しながら肩に迫る。が、
「残念。」
僕は転けても良いから、一回転けてみて、地面に背中が着いた瞬間に足を振り上げる事を試みた。
僕は運が良いな。振り上げた先に丁度よく、ナイフ男の秘部があったからだ。
「お゛お゛…」
少し悶絶して蹌踉めき倒れた。
「先制失敗!次!」
「3人で殴打祭り!」
ガタイの良い男の1人が声を上げ、それに応じるように身長の高いのが3人来た。
「3対1は卑怯じゃないかな?」
「んなもん気にしてんじゃねぇよ!」
「まぁそうだろうね。」
僕の質問に対して当然の答えを返す。
「早く掛かってきな?君らの未来は行き止まりだけどね。」
少し場面が進展せずに膠着していたので、啖呵を切ったという訳だ。
「ぐっ…潰してやる‼︎」
「ほう?やってみると良い…」
僕は蔑視している。所詮はタイマンの出来ない屑の集合だろうと思ったからね。
「オラァァァァ!」
雄叫びを上げながら、殴り掛かってくる。
ここで僕の誤算が明らかになる。彼らの動きは喧嘩に慣れた者の動きだからだ。
(ムーヴが分かっている?そんな馬鹿な…?)
(否、分かりやすい念押しかぁ…)
少し焦ったが、分析をしてみれば楽だった。
別にグループ内では特化していない事ぐらいこの編成では当然露呈する。
何故僕が騙されたか…それは簡単。未熟だからだよ。僕はこんな罠も見抜けない間抜けだ。
特化しているなら、1人でもゴリ押しできるしね。筋肉が足りないって事は、一か八かの運ゲーを完遂出来ないって事に等しい。
「ムーヴは量産型だねぇ!僕は戦略型ムーヴだから独創性のある攻撃が見られるかもよ!」
ちょっとした詐欺を発動する。
(買い被られるのは嫌いだけど、買い被らせるのは楽しいなぁ…)
恍惚の表情を浮かべながら対処を始める。
右から横腹目掛けてストレートを撃とうとしてくる。が、ストレートはタメが必要だ。
「遅いな…パイが焼けるねぇ。」
僕は煽って、ニヤリと笑いながら速めのジャブを数発撃った。それからフックを撃った。
「はっ…」
1人撃破。ここから僕は動きが適当になる。
まず、2人目が蹴りに入って来たから股間を強く殴ってやって、そこで僕に隙が出た所を狙って来た3人目がストレートを当てて来たから、倒れて。そっから暫く死んだふりしてたら回収に出たからそこで反撃。
ぶっ倒した。
でも、
(数が多いな…このままじゃジリ貧…。)
薄々気付いていた。体力が乏しいことに。
(疲れて行動の質が下がった時にストレートなんて撃たれたら、今度こそ終わりだ
ぞ…?)
これは流石に拙い状況だなぁ。もう1人こっち側が居てもいいだろ?
(ん?あのチンピラリーダー…。よしよし。いい考えが出来た。)
「おーい!すまないが手伝ってくれないか?あ、無理しないでいいからさ。」
僕は彼に協力を仰いだ。
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