第46話 告げられる真実
「ふうん」
エリーさんは私を
「私たちの種族は、大まかに分けると2種類いるわ」
「は、はい」
「ベルみたいにマイナス感情を好むものと、それから私のようにプラス感情をエネルギーにするものね」
黒猫と白猫。いかにもってかんじだ。みんな猫の姿をしているのかな。
「同じ種族でも、ある意味正反対。だから、必然的に前者と後者で争うことが多くなるのよ」
「人間に力を与えて、ですか?」
それこそ、ホワイトリリーと悪の組織みたいに。
「ええ。私たちがうまく感情エネルギーを集めるには、他者の協力が最も有効なの」
まさしく代理戦争、というやつだ。
「あなたたちの歴史で争いと呼ばれているもののいくつかには、実は背後に私たちの存在が隠れていたりするのよ?」
歴史の裏に宇宙人の影あり、だなんて本当にSFじみてきた。
もしかしたら魔法少女や正義のヒーローなんてものがあるのも、そんな歴史が元になっているのかもしれない。
「でも、勝つのはいつも魔法少女――エリーさんたちの側なんですよね?」
「……そうね」
正義は勝つ、なんてありふれた言葉が昔からあるように、エリーさんたちがずっと勝利をおさめてきたってことなんだろう。ベルだって生きるためにやっているから、絶対に悪とは言い切れないけど。
もしかしたら、勝ち続けてきたからこそ、エリーさんたちが正義になったのかもしれない……うん、よくわからない。
「だから……まさか、あの子が負けるなんて思ってもいなかったわ」
と、エリーさんはつぶやくように言った。
「私も今までいろんな子と魔法少女の契約を交わしてきたけど……あの子の適性は史上最高ね」
「
まさに魔法少女になるために生まれてきたような子よ、とエリーさんは言う。
「それが証拠に、ベルたち悪の組織との戦いも、一度も負けることなんてなかった……あなたが現れるまではね」
「え、私ですか?」
いきなり自分の話題がやってくるとは思わなかった。
「私、別になにも」
「いいえ。この前の戦い、遠くから見ていたけど、今までとはぜんぜん違ったもの」
この前の戦い――私が作戦を立てて
「あれは、
「はあ」
「まさに魔法少女を知り尽くしていると言っても過言ではないわ」
「そ、そうですか?」
「まさかベルが、こんな作戦を立てる仲間を見つけてくるなんて、思いもしなかったわ」
ちら、とエリーさんは私の方を
まさか、本当にまさか、魔法少女オタクとしてこの身に蓄えた知識が火を噴く日が来るなんて。
今は敵とはいえ、魔法少女側の人間(猫?)にここまで言ってもらえるって考えると、胸のあたりがむずむずしてきちゃう。
えへへ、えへへへ。
「だからこそ、あの子も油断してしまったんでしょうね」
ふう、とさっきまでのため息とは違う種類の息を吐く。そして、
「エネルギーを使い切って、倒れてしまうほどに」
「え……」
今、なんて言った?
「それって、どういう」
「あら、知らなかったの?」
エリーさんは平然とした様子で、
「私たちの力で変身した人間は、私たちと同じように感情をエネルギーにして戦うのよ。つまり……エネルギーが足りなくなったら当然、倒れてしまうわ」
「じゃあ……乃亜さんが体調を崩してるのって」
おそるおそる、脳裏をよぎった予感を口にしようとする。どうか違っていてほしい、と願いながら。
けれどエリーさんは
「今あの子が床に伏しているのは、あなたたちに負けたからよ」
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