第16話 お・よ・び・だ・し

 次の日。私は朝から突っ伏したままでいることを決意した。眠くはないけど。


 ああ、終わった……。

 私が魔法少女好きだってことが、バレた。それもクラスのアイドル的存在に。


 まだクラス内には知れ渡っていないのか、誰からもからかわれてはいない。だけどそれも時間の問題。私の学校生活終了のタイムリミットは、もう目前に迫っている。


乃亜のあから聞いたんだけど、西村にしむらさんって実は魔法少女が大好きで~』

『えーマジー?ww 中学生にもなって、ありえなくな~い?』

『決めポーズとか決めゼリフとかあるんでしょ~? ちょっとそこでやってみてよ~ww』


 次々と湧いてくるセリフたち。きっとこんなことを言われるに決まってる。間違いない。

 授業中もそんな想像が頭の中を駆け巡る。当然、黒板に書かれている英単語なんて頭に入ってくるはずもない。


 ん……?


 とんとん。私の肩をたたく指。クラス後ろの席のだ。


「これ、夢崎ゆめさきさんから」


 小声で渡してくるのは、折りたたまれたピンク色の紙。

 えっ? 夢崎さんから? 私に?

 な、なんだろう……。

 見るのが怖い。だも、見ないともっと怖いことが待ってる気がする。私からの手紙が読めねえってのかあ~、的な。


 ……よし。

 意を決して、紙を開く。

 そこにはかわいらしい丸文字で、


 放課後、校舎裏に来てもらってもいい?


 ああ……。

 本当に終わった……。

 残りの今日の授業で私が完全な抜け殻状態になったのは、言うまでもない。

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