「ってことでいきなり先手必勝、てりゃー!」
【5の巻】
「ってことでいきなり先手必勝、てりゃー!」
アタシは自然体から流れるように二刀を抜くや否や、一気に踏み込んでの鋭い先制攻撃をお見舞いした――しようとしたところで、
「わたっ!? おっとっと――」
アタシの目の前をものすごいスピードで剣が
チッって音とともに、アタシの前髪が数本ひらりと舞う。
「あぶなっ!?」
ちゃんと
岩をも砕くという
うーむ、噂には聞いていたけど、ものすごい力だね。
しかも今のは、アタシの間合いのはるか外からの攻撃だった。
――その名を『物干し竿』。
普通の刀よりもはるかに長いその刀は、攻撃範囲という意味において圧倒的に有利な武器なのだ。
でもぶっちゃけていい?
『剣術三倍段』って言葉があるくらいだ。
これはつまり、刀(=剣術)で槍(=長物)と戦うには、三倍の技量が必要ってゆーこと。
つまり獲物の長さは、技術を3倍も超えちゃうちょお大事な要素なのだった。
ま、
ちょっとくらいハンデがあった方が、いい勝負になるでしょ?
そしてまたもやこれは前情報。
「おおおおおおっっっ!!」
「秘剣『
【6の巻】
「てやぁ!」
アタシはぎゅわっと身体をひねって、ぎりぎりで回避した。
「おおっと、あぶないあぶない」
これもアタシはちゃんと
というか
であれば当然、この初撃を外した後の切り返しについては、最大限注意していたのだった。
それでも情報と実際に経験するのは全然違ってたから、ちょっぴし危なかったけど。
さすが、今まで無敗で通してきただけのことはあるね、うん。
アタシじゃなかったらまず間違いなく、今のツバメガエシで終わってた。
「へぇ、やるじゃん
素直な称賛を贈ったアタシに、
「今のをかわすか。なかなかどうして、大口を叩くだけのことはあるな武蔵」
「気分乗らなかったし、怒らせて楽して勝っちゃおうなんて思ったけど、やっぱやーめた!」
この辺は強い相手と戦うと楽しくなっちゃう剣士のサガってやつだ。
アタシも
いやでもさ。
飛んでるツバメを打ち落とすなんて、そんなの人には無理じゃん?
なんなのこいつ。
今見せた、長刀を無理やりに跳ね上げて切り返せるだけの
「こんなのぜったい違法なオクスリでドーピングしてるよね」
いくら
あーあと、脳にかかってるリミッターも外してるっぽいなー。
火事場の馬鹿力ってやつだ。
多分だけど
いじょー、アタシのアタシによるアタシのための分析終わり!
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