第7話 夏休み明け 〜帰り道のひととき〜
色々とあった夏休みを終え、綺紗と佐伯は学校終わり、共に家に帰っている。
「そういえば、明日は夏休みの課題テストがあったよな。」
綺紗が思い出したように言う。
「そうだな。まあ別にそこまで気を張る様なもんじゃないだろ。」
佐伯はそう言った。
「そうだけどよぉ、そろそろ学年1位とりたいんだよなぁ。」
「なるほど。そういう事か。」
「いいよなぁ、お前は他人事で。」
「そんなことは無いぞ。こっちもこっちで緊張するんだからな。」
普段の2人を見ていると信じられないかもしれないが、実は学年TOP2はずっとこの2人が独占している。佐伯が1位で綺紗が2位である。
毎回僅差で佐伯が勝っている状況なので、綺紗がいつ1位になってもおかしくは無い。
「それもそうか。それでも今度こそ1位の座を勝ち取ってやるわ!」
「へいへい、お互いがんばろうや。」
そんな会話をして、2人は別れた。
─────────
そして、課題テストがおわり、その日の放課後である。
「いやぁ、今回のテストはさすがに1位とれたわ。佐伯はどうだった?」
綺紗は自分のテストの手応えが良かっただけに、佐伯を煽るように聞いた。
「お前いつもそういうこと言って結局2位じゃねえか。さすがに聞き飽きたぞ。」
綺紗の問いかけに佐伯もまた綺紗を煽るような答え方をした。
「う、うるせぇ!今回はほんとにいい手応えだったんだからな!」
「へいへい、楽しみにしときますよ。」
佐伯は多少呆れ気味にそう言った。
─────────────
そんなこんなでテスト結果の順位が張り出された。
1位と2位には綺紗と、佐伯の文字があった。
問題はどちらが上かである。
1位:佐伯
2位:綺紗
3位:やまだ
4位:姫川
5位:遠藤
またしても綺紗は佐伯に破れ2位だった。
「クソォー。今回こそはいけると思ったのにぃ」
綺紗はその場で項垂れた。
「まあそんなに落ち込むな。今回はまじで抜かれそうだった。俺ももっと勉強に力を入れないとな。」
「え!?まだ点数のばせるのか!?」
「当たり前だろ。1度は満点をとってみたい。」
綺紗に目標があるように、もちろん佐伯にも目標はある。しかし綺紗はそれを聞いてさらに絶望してしまった。
「この点数からまだ伸ばせるなんて、勝てる気がしねぇよ。」
「綺紗、あんまり順位は気にするもんじゃないと思うぞ。どうしても気になるってんなら、今度俺と勉強でもするか?」
佐伯は綺紗にそう言った。
「まあ、そうかぁ。確かに順位をきにしすぎだったな。2位でも自分の実力は示せてるわけだし。」
綺紗は佐伯の言葉に納得した。
「だから、勉強も今まで通り自分でやるわ。」
綺紗はそう言った。
「そうか。ならお互いに頑張っていこうな。」
「おう!」
こうして夏休み明け最初のイベント(?)か幕を閉じた。
綺紗が佐伯に勝つ日は来るのだろうか…
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