第3話 楽しい方を選んだのだ

「まあなんで断ったかって言うとな」

「なんでなんだよ」

綺沙が佐伯の回答を急かす。

「なんとなく彼女のことを最優先に考えられるか自信がなかった」

「は?そんなことかよ」

「そんなことってなんだよ」

「だってそんなの、付き合ってるうちになおるだろ」

「それはないと思うな」

佐伯が否定した。

「なんでだ?」

綺沙は理由を聞いた。

「俺達はずっと一緒にいたわけだろ?だから急にそれが変わるとなると俺は遠藤さんとの時間を楽しめないと思ったんだ」

佐伯が理由を説明した。

「要するに彼女ではなく、ツレの俺をえらんだわけか」

「そういうことだ」

佐伯は肯定した。

「そういえば佐伯よ」

「なんだ?」

「お前、俺のこと考えて告白を断っただろ」

綺沙が聞いた。

「いや、自分の意思だから安心しろ」

佐伯はそう答えた。

「そうか。お前ほんと良い奴だな」

綺沙は佐伯を賞賛した。

「そんな褒められたことじゃねえよ」

佐伯は謙遜した。

「まあそれなら、これからも俺らで楽しくやっていこうや」

「おう!」

綺沙の言葉に佐伯は親指を立ててそう答えた。


最初にして最後かもしれないこの大事を済ませた二人。

これからもこの平凡で最高な日常は続いていくのであった。

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