最後の眠りが覚める時
一条 灯夜
二人の心の距離
多分、博士は、一番叶えたい望みを叶えられなかったんだと私は思っていました。だって、私の容姿から、私である確率が最も高いとされていた人が、博士の――。
だけど、博士は私の考えていることなんてお見通しのようで、いつも通りのゆったりした口調で――でも、本心を見せない笑みを浮かべたまま話し始めました。
「ねえ、僕たちが望むのは、罪なんかじゃないんだよ」
「ただ、大好きな人と永遠にいたいだけなんだから――」
困りました。
解釈に悩む言葉を向けられることは、とても困ります。
博士が、私がなにかを思い出すことを期待しているのか、それとも、もう、そういうのを抜きでこういう言葉を言ったのかが、私にはまだ分かりません。
だから、私は今日も昨日と変わらない距離で彼と向き合い続けてしまうのです。
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