第56話 私のことが嫌いなの?

「そっち色塗り終わった?」

「もー……ちょい。多分あと一ヵ月あれば終わる」

「文化祭終わってんだよ馬鹿」


 文化祭三日前。放課後の教室は、お祭り騒ぎかと思うほどに騒がしい。いや実際お祭り騒ぎなのだけれど。

 午後六時を迎える教室にはまだたくさん生徒が残っていた。文化祭の準備に追われているのだ。


「当日どうする? どこ回る? とりあえず全制覇はするとするじゃん」

「あたし校長室行ってみたーい」

「なんか出し物あったっけ」

「え、知らん。歴代校長のカツラ展覧会?」

「美容師か映画の殺人鬼の部屋でしか見ない陳列じゃん」

「うちの校長なんて皆気狂いみたいなもんだし」

「この前までいた校長やばかったよねぇ」


 教室の机は全て後ろに寄せられていた。広々としたスペースで皆はそれぞれの友人同士で集まり、談笑をしながら最終作業を進めている。ごちゃついた熱気が教室にこもり、セーターを着ていると少し暑かった。


「……………………」


 私は寄せられた机の陰。掃除用具入れロッカーの前の床に蹲って、画用紙にぐりぐりとクレヨンを引いていた。展示用の絵がまだ完成していなかったのだ。

 ずっと誰からも声をかけられることはなかった。床板の溝に溜まっている埃だけが私を見守っていた。その埃達は、私が勢いよく体を起こした途端にぶわっと飛び散る。


「できたっ」


 用紙いっぱいにクレヨンを引いていたせいでくたくたになった画用紙を持ち上げる。絵が完成したのだ。

 魔法少女に変身して戦う私の絵。我ながら上手に描けたのではないかと思う。腕に抱えていたチョコに見せると「ミミズが這った跡かな?」と好評のコメントをもらった。

 描き始めた頃は新品だったピンクのクレヨンもすっかり半分に減っている。満足感に満たされていると、背後から囁くような笑い声が聞こえた。後ろで作業をしていたクラスの女子達が、ニコニコと歯を見せて笑っていた。


「姫乃さん、ようやくできたの?」

「うんっ!」

「よかったねぇ。じゃ、教室の方の準備手伝ってくれる? 飾り作るくらいなら、猿でもできるでしょ?」

「ごめんなさい、もう少しだけ待っててちょうだい」

「はっ? あ、ちょっと…………」


 私はいそいそと教室を飛び出した。腕にチョコを抱え、鼻歌を歌いながら廊下をスキップする。廊下の方で作業をしていたクラスメート達はそんな私に見向きもしなかった。

 完成した絵を、誰かに見てもらいたかった。頑張って描いたのよと言って褒められたかった。湊先輩、千紗ちゃん、雫ちゃん。誰かが教室にいやしないかと思ったのだ。

 外はすっかり暗くなっているものの文化祭間近の校舎はいまだ賑やかだ。皆もまだ学校に残っていることだろう。

 二階に上がれば予想通り、どの教室にもまだ電気が付いていた。うきうき気分のまま湊先輩の教室を覗き込み、彼を呼ぼうとする。


「湊せんぱ…………」


 湊先輩はいなかった。幾人か残っている生徒の中に黒髪の癖っ毛をした男の子は見当たらない。

 出鼻を挫かれスンとしてしまう。そっと顔を引っ込めようとしたとき、肩車で教室の天井を飾り付けていた涼先輩と国光先輩が、おや、といった様子で私の方にやってきた。


「あれ、ゆめかわちゃんじゃん」

「どしたの? 遊びに来た? いいよぉ、UNOでもやる?」

「湊先輩知らない?」


 私は二人に尋ねた。

 涼先輩はニコニコと笑って意味深に頷いた。国光先輩は顎の下にしわを寄せ、白目を剥いて盛大に舌打ちをした。


「さっき三年生の美人さんが来てどっかにお持ち帰りされちゃった」

「殺す」

「背高い奴抜けると困るんだよねぇ。人手足りないし、脚立も足りてないし」

「二度とこの教室の敷居は跨がせぬ」


 涼先輩の上に乗ったままの国光先輩はぐわぐわと頭を揺らして歯軋りをした。こいつもめんどくさくなるしさ、と笑って涼先輩は国光先輩の膝を殴った。国光先輩は泣いた。

 お礼を言って私は二年生の教室を出た。国光先輩の歯軋りは廊下を曲がるまでずっと聞こえていた。途中雫ちゃんの教室を覗いてみたけれど、彼女も教室にはいないようだ。


 人の多い廊下を進むうち、気が付けば旧校舎の方に来てしまっていた。こちらはうってかわって普段より人気がない。文化祭当日は準備室として使われる予定で、展示会場からは外されているからだ。

 教室に戻ろうかしら、と思っていると不意に階段の方から声が聞こえた。


「――――だから、その。まだ当日どんな予定になるか微妙だから……」

「――――でも、約束くらいしてくれたっていいでしょ? ……」


 あ! と私は顔いっぱいに笑みを浮かべた。湊先輩の声だ。

 喜々として私は階段に駆けていく。湊先輩らしき後頭部が階段を上っていくのが見えた。「今は話しかけない方がいいんじゃ」とチョコが言った言葉を何一つ聞かず、私は元気よく階段を数段飛ばしで駆け上がる。


「湊先輩! 聞いてちょうだい。ようやく絵が完成したんぶぅっ」


 階段を曲がった先のナニカに顔面からぶつかった。目の前が真っ暗になる。パニックになった私は手をバタつかせてその障害物を押しのけようとした。

 手の平に柔らかく温かな何かが触れる。もっちりたっぷりとした心地よい感触と、とろけるように甘くいい匂いがして、私はほあぁと感激の声を上げた。

 何じゃこれは、と思いながらももちもちぷにぷにとその何かを確かめるように揉みしだく。ふと顔を上げると、間近に祥子さんの困惑した顔があった。


「あわ!」

「何…………?」


 どうやら私は彼女のおっぱいに埋もれていたらしい。最後にもちっと一揉みしてから、ごめんなさいと叫んで離れる。

 二人は一緒にいたようだ。祥子さんの横にいた湊先輩が、複雑そうな顔で私を見つめていた。祥子さんも戸惑った眼差しを向けてくる。私は視線を上下左右に泳がせて緊張した声で言った。


「えっとね。あのね。絵が完成したの、文化祭の。ついさっきよ。だから一番に湊先輩達に見せたくて……」

「わ、おめでとう。ありすちゃん頑張って描いてたものね」


 湊先輩はほっこりと温かな笑顔を浮かべてくれた。その笑顔に私の頬が緩む。

 けれど湊先輩が私に歩み寄ろうとしたとき、祥子さんが彼の腕を引っ張ってそれを止めた。


「私との話がまだ終わってないよ。文化祭はどうするの? 一緒に回ろうって言ったでしょ。他の子とは回らないって約束してよ」


 祥子さんは少しだけ子供っぽい声を出して言った。彼女の胸が湊先輩の腕に押し付けられている。湊先輩は困ったように微笑みながら私と祥子さんを交互に見て、その場から動かなかった。

 あ、と思う。お邪魔だったかもしれない。今は話しかけるタイミングじゃなかったのかも。


 チョコをぐっと抱きしめ後退ろうとする。そのとき、ぱちりと祥子さんと目が合った。

 一瞬だけその目が険しく私を睨んだ気がした。

 ドキッと心臓が跳ねる。そのとき、今度は階段の下の方から聞き慣れた声が上ってきた。


「だからよぉ。好きな奴ができたら、とにかく自分から動かなきゃ駄目だ。ぼけーっとしてるだけで相手から興味を持たれると思ってんのか?」

「そうだよね。動かないと何も始まらないものね……。自分から。自分から……」


 階段を黄色と青の鮮やかな髪が上ってきた。千紗ちゃんは私を見つけると軽く片手を挙げ、雫ちゃんは私に微笑んだ後に湊先輩を見てきゅっと拳を握る。

 彼女の立ち位置からは湊先輩しか見えていない。湊くんっ、と上擦った声を階段に弾ませて、雫ちゃんは一生懸命階段を駆けてきた。


「あのねっ! この前の話の途中なんだけど。文化祭一緒に回ろうっていう…………」


 雫ちゃんの声は段々尻すぼんで消えた。その青い瞳に祥子さんの姿がバッチリと映っていた。

 祥子さんは目を丸くさせたあと、綺麗に整った眉を悲しげに潜め、その目を潤ませる。


「あなたも彼と約束していたの?」


 階段の下にいた千紗ちゃんが、まずった、という表情で額を打つ。祥子さんが千紗ちゃんにふと視線を寄越せば、彼女は肩を竦めて自分は関係ないとばかりに視線を空に逃がした。


「悪いけど、彼は先約があるの。私と一緒に回ることになっていたのよ」

「え……湊くん、それ本当っ?」


 いつ約束したの、と食い気味に雫ちゃんは湊先輩に尋ねる。

 けれど湊先輩は答えなかった。顔に冷や汗をかき、どちらを取るとも言い切れずにたじろいでいるのだ。だからハッキリさせろって言っただろ、という千紗ちゃんの呟きがボソリと私に聞こえた。

 湊先輩が逃した視線がふと私とかち合う。

 それが何だか縋るような目をしていたものだったから。そして、私自身このピリピリと張りつめていく空気に耐え切れなかったから、思わず声を上げてしまった。


「私は今絵を見てほしいのよ、湊先輩!」


 空気を読まない。昔からよく言われるそれは、私の特徴であり個性である。

 正直その言葉の意味はこれまでよく分からなかった。けれど今なら分かる。流石に、今の自分の行動はとても自分勝手すぎるのだろうと。


 私は驚く三人の元へ飛び込むと、湊先輩を引っ張って走り出した。あっと驚いた顔をした千紗ちゃんと雫ちゃんも後を追いかけてくる。ちょっと、と同じく驚いた声で祥子さんもその後ろを追いかけた。

 湊先輩達を連れたまま私は教室に戻ってきた。突然の部外者に怪訝な視線を送るクラスメートに構わず、ロッカーの前に湊先輩の背中を押して行く。


「素敵な絵でしょ!」


 そこに置いてあるはずの絵を差して言う。

 けれど彼は何も言わない。その横から絵を覗き込んだ祥子さん達も無言だった。

 怪訝に思い、私も横から絵を覗き込む。けれどそこに絵はなかった。

 それは『絵だったもの』に変わっていた。


「あ」


 絵は、見るも無残にぐしゃぐしゃに引き裂かれていた。

 細かく裂かれた紙が、床に散乱していたのだ。


「さっき猫が窓から入ってきたみたい」


 近くで作業をしていた女の子達が言った。私の方を見ず、友達と談笑をするついでのようにだらっとした声で説明する。


「止める間もなくてさ。絵を引っ掻いて遊んで、また外に行っちゃった」

「校舎裏によく野良猫がいるじゃん。多分その子じゃない?」

「姫乃さんたまに校庭に猫やってきたら、授業飛び出して構いに行っちゃうもんね。懐かれてんでしょ」


 教室には絵の具の臭いがこもっていた。換気をしていないからだ。窓は今もさっきも開いていない。ズタズタの絵の切れ端には、誰かの靴跡がクッキリと残っていた。

 湊先輩が徐々に顔色を変えていく。後ろにいた雫ちゃんが、顔を真っ赤にしてその女の子達に身を乗り出した。


「あ、あのねぇっ……!」

「雫ちゃんやめて!」


 教室に私の大声が響いた。

 騒がしかった談笑の声が消える。シン……と奇妙な沈黙が広がり、皆の視線が残らず私に突き刺さった。

 雫ちゃんは何か言いたげな顔で私を見つめていた。私はそれに微笑み、首を横に振る。


「いいの。猫ちゃんなら仕方ないわね」

「ありすちゃん。これは猫じゃなくて……」

「仕方ないのよ」


 私はそう言って笑った。手の裏がサーッと冷たくなって汗が滲んでいく。震える指先を誤魔化すようにスカートを強く握りしめながら「猫ちゃんならしょうがないわ」ともう一度笑う。

 クラスの子達の視線がじょじょに私から外される。んだよ、という誰かの呟きをはじめとしてまたぽつぽつ会話が生まれ、すぐに誰も私のことなど気にしなくなった。目の前の女の子達さえも。


「ごめんね皆。私が呼んだのに」

「ありすちゃん、待って」

「新しいクレヨン買ってこなくちゃ。購買、まだ開いてるかしら?」

「ありすちゃん!」


 私はチョコを抱えて教室を飛び出した。後ろから湊先輩が私を呼び留める声がしたけれど、振り返らなかった。

 どこへ向かうでもなくただ廊下を走った。購買に行く道を通り過ぎ、適当に走って、誰もいない廊下の女子トイレに飛び込んだ。薄暗く冷たい空気が私の火照った肌を宥めていく。

 あ。と思う間もなく目の奥がじわりと熱を帯びた。駄目、駄目、と考えてもその熱はじゅわじゅわ溶けるように奥から染み出して、涙の粒に形を変えて私の目から零れてしまう。


「ありすちゃん……」


 チョコが不安気に私を呼ぶ。慌てて洗面台の水を出し、ぱしゃぱしゃと冷水で顔を洗った。それでも涙は止まらず、ボロボロと頬を流れ落ちていく。


「駄目よ。泣いたってどうにもならないわ。早く帰って絵を描き直さないと」

「でも、間に合うの?」

「三日しかないわ。もう、同じ絵は描けない。描いてもまた破かれちゃったらどうしよう」

「あの絵、とっても頑張って描いたのにね……」


 チョコは私がどれだけ時間をかけてあの絵を描いたのか一番近くで見ていた。クレヨンを片手に、うんうん唸りながら画用紙を見つめている私の姿を。


「なんだか私ったら空回ってばかりね」

「……………………」

「湊先輩達もお話をしていたところだったのに。勝手に邪魔して引っ掻き回して、ただ迷惑をかけただけ……」


 ひく、と喉が震える。早く教室に戻らないとと思うのに、いつまでたっても涙は引っ込んでくれなかった。


「ねぇ」


 声がして、私はパッと顔を上げた。千紗ちゃん達が私を追いかけてきたのかと思った。けれど鏡越し、そこに立っていた祥子さんを見て怪訝に眉を寄せる。

 彼女はこちらに近付いてきた。振り向けばその距離は意外と近く、ぐっと身を寄せてくる彼女に私は慌てて洗面台に後ろ手を突く。


「酷いことをする人もいたものね。可哀想に」


 彼女も私の絵を見ていた。何をされたのかも知っている。

 彼女から香る甘い匂いにドキドキしながら、俯いて小さく頷いた。

 けれど彼女はどうしてこんな所にいるのだろう。私のことを追いかけてきたのだろうか。慰められるほど深い仲でもないはずだけれど。

 間近に見るその瞳はつやつやとみずみずしく輝いている。長いまつ毛を哀愁に伏せ、柔らかそうな桃色の唇から溜息のように悲しげな声が零れる。


「でもまああなたなら仕方ないかもね。そんなことをされたって」

「えっ?」


 唐突に、ガラッと祥子さんの声音が変わる。驚いて彼女の顔をまっすぐ見つめた私はすぐにそれを後悔した。

 彼女の顔は酷く剣呑としていた。赤い唇が歪み、憂いを帯びていた眼差しはいつの間にか険しく鋭いものへ変わっている。

 彼女が私に敵意を向けていることは一目で分かった。


「姫乃ありす。あなたのことはよく知っているわ。有名だもの」

「えぅ……」

「学校のSNSでもたまに話題に上がるよ」

「えすえぬえす…………」


 知らないの、と彼女は薄く笑いながら私に携帯を突きつける。画面に表示されているのはクラスの子もよく使っているSNSだった。

 彼女は自身の投稿欄を見せてくる。そのうちのいくつかは北高校内で撮られたのであろう投稿だった。コメント欄にはずらりとたくさんのコメントがあった。さっき一瞬見えた彼女のフォロワー数はとんでもない数だ。彼女が投稿をすれば、すぐに北高校の生徒達がコメントを残していくのだろう。

 そのコメント内にいくつか私について語られているものがあった。そのどれもが嫌味なものばかりである。『頭のネジが外れてる』だの『世界一空気が読めない女』だの酷い言われ様だ。


「酷い言い方だなって思ってたけど……会ってみたら本当、噂通り。皆から嫌われるのも無理はない子。湊くんも、あなたみたいな子に懐かれて可哀想」


 突然出される湊先輩という単語に、私は思い切り首を横に振った。


「湊先輩はそんな人じゃないわ。私のこと、嫌ったりなんかしないもの」

「あら。彼言ってたわよ? 子供っぽくて鬱陶しい子だって」

「そんな」


 嘘よ、と声を震わせた。湊先輩がそんな酷いことを言うはずがない。

 けれど祥子さんは呆れたように溜息を吐き、私の方が彼との付き合いが長いから色々お話ししてくれるの、と赤い唇に弧を描いた。


「どれだけ優しい人だって、いつも面倒な子に付きまとわれたらうんざりするわ。それに彼、最近は特にあなたのこと嫌に思っているらしいもの」

「か、彼があなたにそう言ってたの?」

「あなたも一応お友達なら気付いていたんじゃないの? 最近、彼の態度が変だって」


 セーターを指先で引っ張る。指の股にじとりとかいた汗はいくら拭いても止まらなかった。

 私はじっと俯いて唇を噛んだ。図星だったのだ。


 ここ最近。湊先輩に避けられている気がしていた。

 彼に話しかけるとき。撮った写真を見てもらいたいとねだるとき。彼は決まって一瞬だけ頬を引きつらせてから笑う。その反応は少し前まで見ることのない態度だった。

 手を繋げば握り返してくれるし、顔が合えば微笑んでくれる。私はそんな彼の反応を確認して笑っては、すぐまた不安になって顔色を伺っていた。

 なぜ急に彼の態度が変になったのか分からなかった……。


「あなたの写真を見るのが嫌なんだって」

「しゃしん」

「『ありすちゃんは僕より写真が上手いんだ』って」


 祥子さんは湊先輩の声真似をして言った。酷く苦しそうで、悲しげな声だった。

 わたしのほうがうまい。とぼんやり言葉を繰り返す。洗面台の冷たさが体の熱を奪っていくように、頭の先が白く冷えていく。


「私が写真を撮ったのがだめだったの……?」


 写真は写真だ。私には上手いだとか下手だとか、そういうものはちっとも分からない。

 それでも言われて思い返してみれば。彼の態度が変わり始めたのは、私が最初に写真を撮ったあのときからのような気がした。

 私はチョコを抱き抱えて俯く。と、突然伸びてきた祥子さんの手が、私の腕からチョコを毟り取った。


「可愛い子ぶってるつもり? 少しでも湊くんに好かれようと、必死なの?」

「あっ」


 止める間もなかった。祥子さんはくるりと私に背を向け個室を開けると、便器の中にチョコを投げこむ。


「ああっ!」


 サッと顔を青くさせて便器に駆け寄ろうとした。けれど彼女に襟首を掴まれ、そのまま壁に突き飛ばされる。私を逃がさないとばかりに彼女は壁に手を突いた。ダンッと大きな音がして、私の体が硬直する。


「湊くんにいつもべたべた引っ付いて。世話を焼かせて。恋人でもないんでしょ? 何様なの?」

「わ、私はっ。ただ、湊先輩と友達でいたくて……」

「友達? あなたは彼にとって迷惑でしかない。彼だけじゃないわ。きっと他の誰だって同じことを思ってる」


 反論をしようとして開いた口は、はくはく震えるだけで言葉を発しなかった。歯の音がカチカチと震えて舌が回らない。


 湊先輩は私のことを迷惑に思っていたんだろうか。優しい笑顔の裏側で「何が魔法少女だよ」と舌打ちをしていたのだろうか。

 千紗ちゃんや、雫ちゃんは? あの二人が今もくすくす「ありすちゃん泣いてたね」「いい気味だ」と笑っていたら?

 否定したくてもできなかった。

 前までの私ならいざ知れず、今の私は、自分に向けられる悪意が少しだけ理解できるようになったから。

 私があまりいい子じゃないことに気がついてきたから。


「う」


 見開いた目から涙が零れる。祥子さんはワザとらしく笑って、本当のことでしょ、と私の涙を拭おうとした。

 そんな私の涙を、突如横から振りかかった大量の水が押し流す。


「キャーッ!」

「うるせえな」


 私と祥子さんの悲鳴を誰かが笑った。

 全身がびしょ濡れだ。ぐしょぐしょになったセーターやスカートが肌に張り付いて重い。私は目を白黒させて、横から水をかけてきたその人を見つめる。千紗ちゃんだ。

 彼女はだるそうな顔で、空っぽになったバケツを床に落とした。ガランと転がるバケツの底に残っていた水がぽたぽたと床を濡らす。

 彼女の横には雫ちゃんがいた。顔を真っ赤にした彼女は、こちらを睨んだかと思うと大股で近付いてくる。


「ちょ、な、なに」

「ありすちゃんをいじめないでっ」

「キャアッ」


 祥子さんが悲鳴を上げた。雫ちゃんが、彼女の頬をぺちんと打ったからだ。

 ビンタというにはあまりにも可愛らしく小さな音だったけれど。雫ちゃんが人の頬を叩くという行為に私は目を見張った。

 振り返った雫ちゃんは固まる私の体を抱きしめる。彼女の服が私の体で濡れていく。それでも彼女は私を離そうとはしなかった。


「ちょっと、何なの!?」

「あ、あなたが何を言おうと、わたしは彼女に迷惑なんてしてない」

「雫ちゃ」

「わたしの友達を悪く言わないで!」


 鋭い声に、私の背中がジンと痺れた。祥子さんから庇うように彼女は私の体をより一層強く抱きしめる。柔らかな肌はほんの少し冷たかった。

 私はおそるおそる彼女の震える指先に触れた。すると彼女の手は、力強く私の手を握り返してきた。痛いくらいの力で。

 私は目をぱちぱちと瞬かせ。そのまままた、ほろほろと涙の粒を頬に流していく。


「あー……ショーコ、さん?」


 千紗ちゃんが煙を吐くようにざらついた声で言った。彼女が蹴っ飛ばしたバケツは、ガラガラと水を滴らせながら祥子さんの足にぶつかって止まる。


「ごめんなぁ? いきなり水かけて。こうでもしなきゃ止まんねえかと思ってよ」

「さ、最っ悪。着替えもないのに」

「あんたがありすに言いたいことはよーく分かる。……けどま、こいつに手を出されるのはあたし達としても困るんだよ。色々あってさ」


 つか声でけーよ、と千紗ちゃんは笑った。祥子さんは肩眉を上げて怪訝に表情をしかめる。

 そんなに大声で話していただろうかと私も疑問に思った。けれどすぐに気が付く。千紗ちゃんは人よりも耳がいいのだ。きっと私の声が聞こえたからすぐ場所が分かったのだろう。

 ……ここに、わざわざ助けに来てくれたのだろうか。


「廊下まで全部丸聞こえ」

「は。私達、そんなに大声出してなんか……」

「このやりとりを大好きな湊くんに見られちゃ困んだろ?」


 湊くんという言葉の効果は絶大だ。あれだけ顔をしかめていた祥子さんは、一瞬叱られた子供のように不安気な顔をした。それからすぐ首を振って、ぐっと赤い唇を噛む。

 彼女もそして私も、全身びしょびしょに濡れている。今の私達を湊先輩が見たらどう思うのかしら。


「な、なんなの」

「あぁ?」

「なんで、湊くんはあなた達みたいな、…………」


 祥子さんは続けて何かを言おうとした。けれどそれが言葉になることはなかった。


「っ」


 躊躇うように口を閉ざした彼女は、私を押しのけるようにトイレから出て行った。

 立ち去る彼女の横顔が僅かに見えた。その目の縁は、今にも泣きだしそうに赤らんでいた気がした。

 彼女が去った瞬間ふっと空気が軽くなる気がした。同時に私はあっと声を上げ、慌てて個室に飛び込む。


「チョコッ」

「がぼぼぼぼ」


 チョコは水の中に沈んでいた。慌てて拾い上げようとした私の横から違う腕が伸びてくる。いつの間にか隣にいた千紗ちゃんがひょいと水の中に手を突っ込んでチョコを拾い上げたのだ。

 きたねっ、と顔をしかめた彼女はそのままチョコを洗面台に突っ込み、容赦なく流水を注ぐ。


「おぼーっ」

「おいありす。お前これ後で近くのコインランドリーに突っ込んで来いよ」

「洗濯機は嫌だ! 洗濯機は嫌だ!」

「戻るぞ。湊がお前を探してる」


 千紗ちゃんはチョコを絞り遠心力で乾かしながらトイレを出て行く。私は慌てて彼女を追いかけ、その背中に縋りついた。


「ま、待って。湊先輩は駄目っ」

「は? なんで」

「だって……湊先輩、私のこと嫌ってるから…………」


 千紗ちゃんと雫ちゃんは目を丸くして顔を見合わせた。パチパチと瞬きをすることしばし。二人は揃ってふっと息を漏らすように笑って、似た言葉を吐き出した。


「あいつがそんなことするタマかよ」

「湊くんはそんな人じゃないよ」


 いや、と言っても二人は止まってくれなかった。廊下をずるずる引きずられながら進むうち、先の廊下でキョロキョロ辺りを見回す湊先輩がいた。

 彼は私達の姿を見つけるとパッと顔を明るくして小走りにやってきた。しかしその顔は段々と強張り、勢いよく走ってきたかと思うと、私の腕を掴んで険しい声を上げる。


「どうしてそんなにびしょ濡れなの? 誰がやったんだ!」

「あ。それあたし」

「何故!?」

「おい湊。お前あれ、やっぱ祥子って奴にあんま関わんない方がいいんじゃねえの。あいつ性格悪すぎ」

「え? 祥子さんはそんな人じゃ……」

「バッカおめえ。女は二面性があるんだよ。好きな奴の前だと特にさ」


 湊先輩はよく分かっていない顔で頷いた。それから彼はふと千紗ちゃんと雫ちゃんを呼んで、何やら三人だけでこしょこしょ話をする。チラチラと私を見ながら話されるものだから、悪口を言われているんじゃないかと気が気でなかった。


「じゃあ二人共。よろしくね」

「うん、任せて」


 千紗ちゃんと雫ちゃんはそのままどこかへ行ってしまった。湊先輩もついて行くのかと思いきや、彼は私の手を引いてどこかへ連れて行こうとする。少し怯えながらも私はその後をついて行く他なかった。

 彼は私の教室の前を通り過ぎる。どこへ向かうの、と私は小さな声で尋ねた。


「早く教室に戻って絵を描き直さないといけないわ」

「その格好で戻れる?」

「こ、これくらいすぐに乾くわ」

「風邪を引いちゃうよ」


 湊先輩と二人きりで話すのが少し怖かった。さっきの祥子さんの言葉を思い出し、心臓がドクドクと痛んだ。

 しばらく歩いた先の教室で彼は足を止める。写真部の前である。

 写真、という言葉を目にしてひくりと頬を引きつらせる私に気付かず、湊先輩はあっさり室内に私を引っ張った。


「誰かタオル持ってないっ?」

「え、うわっ。びしょびしょじゃんかその子。ゲリラ豪雨の集中砲火でも浴びたん?」

「俺持ってるッスよ」


 さんきゅう、と投げられたタオルを受け取った湊先輩は私とチョコをタオルで包む。前にも同じことをされたなとぼんやり思い出す。ふわふわしたタオル越しに私を拭く彼の手は、やっぱり優しかった。

 タオルの隙間から見える部屋の中は大量の写真で飾られていた。文化祭で写真展として使われるこの部室。壁や柱に貼られている写真はどれも見事なものばかりで、だからこそ視界に入れたくなくて私は静かに俯く。

 写真部なんて、今の私が一番来たくない場所だった。


「服は乾きそうにないね……」


 湊先輩はそう言うとおもむろに自分のセーターを脱いだ。シャツ一枚になった彼は畳んだそれを私に差し出す。


「濡れて冷たいだろ。僕ので悪いけど、着てた方がいいよ」

「ふぇ…………」

「ん。一人で濡れた服着替えられない? じゃあバンザイしよっか。ほら、両手あげて……」

「ひ、一人で脱げるもんっ」


 私は顔を真っ赤にしてそそくさと彼のセーターに着替えた。随分ぶかぶかで不格好だったけれど、とても暖かくて、冷えていた体が緩んでいく。

 先輩セクハラっすよ、と後輩の子が湊先輩に言った。彼は初めて気が付いたとばかりに目を丸くして、慌てて私にごめんと謝った。

 やましい気持ちは一切なかったのだろう。彼の声はどう聞いても、年の離れた妹や娘に接するような声音だったのだから。

 少し前までの私だったら。「ん!」と喜んで両手を上げて、脱がせてもらえるのを待ったのだろうけれど。


「ご、ごめん。そりゃ一人で着替えられるよね」

「そうよ。私もう十五歳なの。一人で何だってできるんだから」

「そうだよね」

「だからあの絵だってすぐ描き直せるわ。大丈夫よ」


 けれど私がそう言うと湊先輩は表情を曇らせた。言いたいことは分かっている。私がどう頑張っても、あの絵を三日で描き直すことは不可能だ。

 いっそ。そう、いっそ文化祭に参加なんてしないほうがいいのかもしれない。元々見てくれるのもパパやママくらいだろう。先生も、うっかり破いてしまったと言えば許してくれるわ。


「僕に一つ提案があるんだ」


 不意に湊先輩が言った。提案? と私が首を傾げたとき、失礼しますと扉が開いて千紗ちゃんと雫ちゃんが写真部に入ってくる。

 二人の手にはスーパーの袋が下げられていた。中には大きめの画用紙や糊などが入っている。


「この間君が現像してた写真ってまだある?」

「うん、お家に置いてあるけれど」


 湊先輩は画用紙を広げると、棚から写真の束を持ってきてドンと机に置いた。その量は圧巻の一言である。一体何百枚あるのかしら。

 パラパラと捲ってみるとそれはどれも人物写真であった。更に詳しく言えば、そこに映っているのは全て私達である。私と千紗ちゃんと雫ちゃん。チョコやマスター。鷹さんや黒沼さん澤田さん達の顔が映っているものまで。


「これは?」

「個人用に撮ってた写真。一応人の写真だから、文化祭に展示する用じゃなくて、個人的に取っておいたやつ」

「凄い……。こんなに撮ってたのね。わ! 懐かしい。これ、出会ってすぐの写真よ」

「フォトモザイクアートって知ってる?」

「?」


 首を傾げる私に彼は携帯を見せた。

 それは写真で作るアートのことだった。何十枚何百枚もの写真を張り付け、一枚の巨大な絵にする作品だ。


「これを文化祭で君が展示するんだ」

「これをっ?」


 私は目を剥いた。こんな巨大で繊細なアート、作るのは相当難しそうだ。到底私一人でできるものじゃない。


「物にもよるけれど。これくらいのサイズなら、案外簡単に作れるよ」

「で、でもそれにしたって! 無理だわ。一人で作れるわけがない」

「一人じゃないさ」


 私はハッと顔を上げた。千紗ちゃんと雫ちゃんが、席に座って写真を色ごとに整理していた。二人は驚く私に笑って言う。


「わたしの所も大体準備は終わってるから。こっちに時間を割いても大丈夫だよ」

「あたしもとっくに映画撮り終わって準備も済んでるからな。暇なんだよ」

「僕達のことは気にしないで」と湊先輩は言って部室を見回した。「それにここは写真部だ。まさか、人の写真アートを壊そうだなんて輩がいるわけない」


 己の作業を進めていた部員さん達も無言で頷いた。部長さんと目が合えば彼もニッコリと微笑み、大きく頷く。彼らは湊先輩に私の事情を聞いているらしかった。


「部員諸君! 自分の作業が一段落したら、そちらを手伝って差し上げてくれ」

「そんな悪いわ! 写真部さんだって忙しいのに」

「なぁに。レディーの素晴らしい作品の手助けができるなら、喜ばしいことさ」


 部長さんは大きく膨らんだお腹を叩いて笑う。腕まくりをしてむちむちのお肉を撫でながら「写真部の準備は部長の俺一人に任せたまえ」と意気込んだ。


「俺こっち終わったんで手伝います。デザインとか決まってんスか?」

「うん。この写真にしようと思って。テーマにもピッタリだ。どうかなありすちゃん?」

「う、うん。素敵だわ。とても」

「よかった。……あ、ここに色付けお願いしていい? そこにペンで色指定の印付けておいて」

「了解ッス」


 自分の作業が終わった部員さん達がこちらに来て私のアートを手伝ってくれる。千紗ちゃんと雫ちゃんも指示を飛ばし合いながら作業を進め、湊先輩も張り切って声を飛ばす。当人である私だけがぼんやりと立ち尽くしているのだ。

 私は不安になって隣の湊先輩を見上げる。視線に気が付いた彼は、どうしたの? と優しい声で微笑んだ。


「湊先輩は私が嫌いじゃなかったの?」

「はっ!?」


 放り投げるような声で彼は驚いた。なに! と続けて裏返った声を上げ、心底仰天した顔で私を見下ろす。私はチョコを強く抱きしめて、震える声で言った。


「だ、だって。湊先輩は私が嫌いだって。迷惑してるって」

「そんなわけあるかよっ!」


 湊先輩は声を荒げた。思いのほか大きかった声量に自分自身で驚いて、ああいや、と咳払いをして気まずそうに視線を泳がせる。


「どうしてそんな……思ったの」

「…………湊先輩が最近冷たいから」

「な」

「み、湊先輩が。私の写真、嫌いだって……」


 彼はくるりと目を回し、あー……と低く声を震わせた。唇を舐めて視線を泳がせて、何度か溜息に似た息を吐いて。酷く躊躇うような仕草を繰り返した。


「どうして知ってるの」

「あ、う……」

「父さんとか、黒沼さんにしか言ってないのに……」


 彼は私を椅子に座らせた。自分はその前にしゃがみ、私の目をまっすぐに見上げて手を握る。

 ありすちゃん、と意を決した様子で彼は言葉を吐いた。無意識に、私の背中が固くなる。


「…………正直なことを話すと。僕は、確かに君の写真を見ると嫌になる」

「っ」

「写真が嫌いなわけじゃない。むしろ大好きだ。だって。君の写真は……凄いんだ。とても。長年写真を撮り続けている僕よりも」


 上手いんだよ、と湊先輩は言葉を詰まらせるようにぼつぼつと吐き出していく。その顔は苦しそうで、恥ずかしそうで、酷く気まずそうなものだった。

 いつの間にか部室は静かになっていた。皆作業に集中しているようで、私達の会話に耳を傾けているのが分かった。

 湊先輩は言葉を探すように唇を噛む。口を両手で覆って溜息を吐いたり、意味もなく立ち上がってしゃがんだり。迷いのある動きをしながら、ゆっくり、ゆっくりと自分の言葉を吐き出す。


「僕は君に……、…………嫉妬したんだ。全部言ってしまえば。僕は、君のことを憎いとさえ思っていたのかもしれない。だって君には才能がある。僕にはそれがない」

「……………………」

「だけど。それは僕の心の問題だ。僕が勝手に君に嫉妬しているだけだ」

「……………………」

「僕は君に嫉妬している。……でもそれを、君を嫌いになる理由には、絶対にしたくない」


 湊先輩はまっすぐに私の目を見て感情を告げた。繋いでいる彼の手は酷く熱くて、汗をかいていた。

 私の写真アート。それを手伝う湊先輩は思うところがあるに違いない。

 それでも彼は私の手伝いをしてくれようというのだ。


「ありすちゃん、写真をやろう。君の写真で作品を作れば、皆はきっと君のことを認めてくれる」

「せん、ぱ」

「完成させよう、君の作品を」


 今の私には分かる。大人が自分の気持ちをまっすぐ伝えることが、どれだけ難しいことなのか。

 湊先輩は私よりたった一歳年上なだけなのに。その中身はもっとずっと大人だった。

 みっともなくて、浅ましくて、恥ずかしい自分の感情を。まっすぐ私に教えてくれている。心底隠したいことなのに、彼は自分の感情を吐き出してくれている。私が望んだから。

 それはとても、真摯な愛だ。


「ふ。うふ。……ぐす」

「……ごめんねありすちゃん。不安にさせちゃって」

「き、嫌われちゃったかと思った」

「僕は君のことが大好きだよ。大切な友達だ」

「うん。うん。私も、湊先輩が大好きよ」


 濡れた瞼をごしごしと擦る。腫れちゃうよ、と湊先輩はタオルで優しく私の目を拭いてくれる。ふにゃっと笑えば、彼もまた笑ってくれた。

 雫ちゃんや祥子さんが湊先輩を好きになる気持ちも分かる気がするわ。だって彼は、こんなにも素敵な人なんだから。


「…………?」


 そういえば。祥子さんはどうして、湊先輩が私の写真が嫌いなことを知っていたのだろう。

 彼は祥子さんには、そのことを伝えていなかったらしいのに……。


 終わったんならはよやれや、と写真を分けている千紗ちゃんの言葉に慌てて写真を取る。雫ちゃんが糊を付け、湊先輩がそれを貼っていく。その隣で、チョコもバレないようにこっそり一枚を取って貼っていた。


「きっと素敵な作品になるわ」


 私も微笑み、写真を一枚張り付けた。

 文化祭まであと少し。

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