第28話 私たち僕たちの友情はどこまでも

「4人はどこに住むんですか?」

「我々は情報を集める。伊邪那美だけがこの世界の脅威ではない。」

「いろんなことがある。」

「そのために僕たちはきてるんだからねー」

「じゃあ、それは3人に任せて私はリクくんと」

「「いやダメでしょ!!」」

僕を含めた4人からつっこまれしゅんとするラファエル。

そんなラファエルを一瞬可愛いと思ったが首を横に振り否定する。

「ということで我々にすみかなど必要ない。そもそも我らは寝ない。」

「え!?そうなんですか。では、また何か困ったときは言ってください。

特に伊邪那美に関しては。」

「そうだねそのときはよろしくー。でもリクくんも何かあったら

僕たちを頼ってねー。」

「はい。それでは。」

彼女達は夕陽に照らされた空に消えていく。


寮に着くやいなや僕はいきなりマリアに抱きついた。

「どうしたの?甘えん坊さん。」

「……………」

僕の頭を撫でていつまでもそうしてくれるマリア。

そんなマリアに甘え1日を終えた。


グランの話でいつも通り学校が始まる、かと思いきや


「最後にロニカから話がある。」

と短くいうグラン

「はい!皆さん私は今日をもって王国立魔法学院をやめ、帝国立魔法学院へと転学することになりました。ありがとうございました。」

と笑顔でいうロニカ。しかし、僕にはどうしても信じられなかった。

そもそも帝国へ行くなど有り得ない。彼女は貴族だ。

そんなことは滅多にない。


「ロニカさん。」

「ん?何?」

「何か困っていることはありませんか?」

「ん?……何もないよ、うちの事情だから。」

僕は確信する。そして彼女の手を引き、人気の無い学院裏へ。


「な、何いきなり?」

「何があったんですか?」

「関係ないでしょ!もう、もう……関わらないで。」

「僕たちは友達ですよね?それでも関係ないのですか?」

「それはそうだよ、でも今回は無理なの。」

「話してみてください。」

「実は……お父さんが誰かに命令されてるみたいで。

急に帝国に行くって、私は必死に否定したんだけどダメで。」

「お父上に変化は?」

「特には。でも、何かに怯えているようで。」

操られているわけじゃないのか。

「わかりました。それではロニカさんは帝国の学院へ。」

「へ!?そっか。じゃあね。」

「ん?僕も行きますよ。帝国へ。」

リクもマリアもいつも予想を裏切る

「どういうこと?」

「リズさんに頼んで帝国に留学生として参加します。

ほら、一度向こうの皇女とかが来てましたよね?」

「それはそうだけど。」

「大丈夫です。僕に任せてください。」

「ありがとう、ありがとう、リクくん。」

「こーら、なんで私には言わなかったのかな?」

いきなり現れたマリアに驚く。

「マリアちゃん!

ごめん、でも2人には与えてもらってばっかりだから。」

「何言ってるの!ロニカの笑顔に私達は元気もらってるんだから!」

「うん!」

栗色の瞳の麗しい少女は瞳と同じ色の髪を揺らし微笑む。


「リズさん、僕は帝国の学院に行く事に決めました。

留学の手続きをお願いします。」

「ダメだ。」

「ん?僕の耳おかしい?今ダメって。」

「ダメだ、今王国と帝国は今までにないほどお互い大きく出ている。

外交が上手くいっていないのだ。

その状況でお前を行かせるわけにはいかん。」

それについては僕もリーファさんから聞いている。

恐らくお互いの勇者召喚だろう。それ以外ない。

「問題ありません。ぼくは誰に襲われても問題ありません。」

「それはそうだが、それでもダメだ。私は教師だ。

生徒を危ない場所へ行くことを認めるか。」

「仕方ない、あなたにはあまり僕の力を教えていませんでしたね。」

「お前は確かに強い、天才だ。私を超える魔法の使い手は世界を見ても

数えるほどだ。だが忘れるな。個人の力には限界がある。」

「日輪でもですか?」

「あれは結果しか聞いていないが化け物だ。

人間でない伝説の魔族にも匹敵するレベルだろう。

個の力で国と渡り合う力はむしろ危険だ。

あれは人間の域を超えているはずだ。

我々はただ機嫌をとることしか出来ない。」


「僕がその日輪です。」

「ふっ、まあ脅し文句としてはなかなかのものだ。

しかしいくらお前でもそれはありえない。」

 僕は手の平を上に向け小さな太陽を作り出す

「こ、これは。」その圧倒的な存在感に必死に耐えるリズ。

「信じていただけますか?」

「わかった。だが尚更お前は帝国に行くのは薦めない。」

「それは何故?」

「あの学院に行けばわかる。手続きはこちらでしておく。

ではくれぐれもお気をつけて。」

「やだなぁ、リズさん。

僕らの仲なんですから敬語なんてやめてください。

社交辞令も入りませんから。」

「では、私はただでさえ多忙の身なのにさらに仕事増やしやがってふざけんな。」

「ちょ、それは些かストレート過ぎるというか?まあいいですが。」

「まあ早く行け。それとマリアは行かせられんからな。」

「わ、わかりました。」危険だからな。


教室に戻りマリアに話しかける

「マリア、僕は少しロニカと帝国に行ってくるよ。」

「わかったわ。私は行けないんでしょ?もう弱くないのに。」

「そうですね。

でも何かあったとき母上達を守っていただきたいのです。」

「分かったわ。行ってらっしゃい。」

「行ってきます。」

僕は暖かな日差しと心地よい葉音の中へ向けて歩き出す

友の為に。





























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