第22話 勇者召喚の儀

半年の月日が流るる


グラン先生の話から始まるいつも通りの学校。

「今日は留学生を紹介する。入ってきてくれ。」

金髪のアメリカ系の美少女と爽やか系イケメンの青髪男子

「セチリア帝国、第三皇女セルカ=セチリアです。

どうぞよろしく。」

「ぼくはセチリア帝国第二皇子フィーディス=セチリアだ。」

帝国か、良い噂はきかないがな。

「2人が来た理由は知っての通り王帝対決の出場選手だからだ。」

「王帝対決?」

「言葉通りの意味じゃない?」ふむ、そうなのか。

「まぁ、どうせ僕が出れば勝利は決まっていますけどね。」

「それが嘘じゃないからたち悪いのよ。」

「ちょっとあなた。今何と仰いました?」

「あ、僕が出れば勝利は確実なので。」

「それは私たちが必ず負けると?」

「僕とマリアのどちらも出場しなければ、十分勝機はあります。」

「わたしはこれでも帝国で一、二を争う魔法使いですよ。」

「学校で、ですよね?」

「まあまあ、その辺にしとけ。じゃあ今日もいつもどおりだぞ。」

『はーい』


「チッ、ほんとにむかつくわあの人。」

「まあ、どれほどのもんか見せてもらおうじゃねえか。」

「ま、私たちにはあれがありますからね。」

不敵に笑う2人の皇族。



「な!?」

その目に映るはたった2人で上級魔法を放つ生徒達。

いや問題は数ではない。

超級魔法であれば複数人で魔力を補うのは仕方がない。

しかし、魔法陣は優秀な魔法使い一人が使うのだ。

しかし彼らは魔法陣構築も二等分することによってあり得ない速度で

魔法を展開しているのだ。

「こ、これはすごい。是非帝国に持ち帰らねば。」

しかし、見ただけでわかるほど単純ではない。

何故なら魔法理論はリクの洗練された完璧な論理に基づく。

これは彼以外の論理に当てはめると必ず矛盾が生じるのだ。

そのため2人のまるでどうやってやっているかわからない。

「あの、ロニカさんと言いましたね。

どうやってるか教えてもらえないかしら?」

「あ、ごめんね。私たちは説明できるほど理解出来てないの。

この半年リク君に教えてもらって体で覚えたから。

理解してるのはリク君とマリアさんだけかな。」

「そ、そうなの。すみませんね。」

引き攣った笑顔で去る。

(これはまずい、仕方ない。」

「リクさん。」

「はい、なんでしょう。」

「あれはどうやってるんですか?」

「まさか、帝国が誇る魔法使い様に僕が教えることなどありません。」

(いちいち腹の立つ言い方をするわね。)

「いや、私たちではあそこまで複雑な魔法陣はわからないの。

これは交流でしょ。教えていただけないかしら?」

「一朝一夕で身につくものではありません。

それに僕の魔法理論はあなた方の理論を超越しているのは誇張ではありません。それを帝国に教えて僕にメリットはありますか?」

(こいつ一体何者なの?)

「わ、わかりました。では。


一方帝国と王国の宮殿に於いて全く同じ時刻に


王国にて

「やった、成功したぞ。」

「よくやったレギーナ!」

「はあ、はあ私はこれで仕事はした、早く妹を返せ。」

レギーナと呼ばれる女性こそ魔法協会序列第一位

レギーナ=レオニスである。

言葉の通り妹を人質に勇者召喚を強要されたのだ

「ああ、牢屋にいる。さっさと連れて行け!」


10名ほどの生徒正確には15人の勇者、

そうリクのクラスメートが召喚されたのだ。


帝国も同様に召喚に成功した。

クラスの半分を召喚し、15人の召喚に成功した。

しかし、王国と違う点は帝国にはレギーナほどの天才はいない。

そのため、生まれた時から英才教育いや、

魔法漬けにした人間を使い悲願を果たしたのである。


「それでは、私達は帰ります。今回はありがとうございました。」

という定型文を残して去っていった皇女たち。

「もうすぐ2年生か。」

そんな独り言のつもりだった言葉に反応するロニカ

「そうだよ、私たち全員でSクラスになれるかな?」

「愚問ですよ。僕たちより優秀な人などいません。」

「そうだよね。」


リク達が感傷に浸る頃の王宮で


「ん?ここは、なんだここ!」

「ようこそ我がアントワール王国へ。」

「まさか俺たち異世界転移しちゃった?」

意外とみんな冷静である。

「そうだ。お前達を呼び寄せた。

お前達にはやってもらいたいことがある。」

「まさか、魔王討伐?」

「魔王?というのはわからんが帝国との戦争に備えてもらいたいのだ。」

「つまり俺たちは帝国との戦争のために呼び寄せられたのですか?」

一人回答する春馬

「そうだ、それに伴いお前達には強力な力が備わっている。

半年間はここでゆっくりこの世界、

そして情勢や自身の力を確かめて欲しい。」

「半年後には戦争ですか?」

「いや、向こうから攻めてこない限りは2年はこちらも待つ。

半年後には学院に通って欲しい。」

「学院?」

「魔法学院があり、そこに今の2年生で非常に優秀な生徒が多い。」

「1番優秀な生徒はどのくらいすごいんですか?」

「ああ、それはもう王国でも持ちきりになるほどの話だ。

彼には、お前らでも勝てないかもしれないな。」

「そうですか。一応名前を伺っても?」

「ああ、リク、リク=リーゼロッテだ。」

「え!?陸?」隣にいる恵が声を上げる。

「たまたまだよ。あいつは死んだんだ。」

「そっか、そうだよね。」恵は陸と別れたことを後悔していた。

春馬は一緒にいると全然気配りもないし、デートに遅刻もするし

すぐ発情するしで恵の心は離れかけていた。

「ちなみに僕らは勇者ですよね?」

「ああ、そうだ。」

「では妻を何人も娶ることは可能だったりします?」

「まぁ、可能だな。」

「そうですか、ありがとうございます。」


________________________

帝国の宮殿での様子は今はまだ語りません。




























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