第23話 王帝対決

今回の戦いは頭脳戦というか戦術戦を持ち込みます。

ちなみに僕が知る戦術は中国戦法が多いです。

理由としては、

三国志や史記・項羽本記などを読み漁ったためであります。

それでは、長くなりましたが王帝対決お楽しみください

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「来る王帝対決!前回の勝者は帝国だーーー!

果たして今年はどうなるのか?出場選手は各学校百人!

1年生30。2年生30、そして3年生40だーーー!!」


「うるさい司会ですね。」

「そうだね。耳が痛い。」

会場は魔法使いに相応しくない森と平野。

縦横三十キロほどあり、そこから出ると失格である。

したがって必然的に真ん中で戦うことが要求される。

試合時間は100分。会場内では死ぬことで退場となる。

魔法によって死が失格となるのだ。

「皆!俺は生徒会長マルコ=アントワールだ。よろしく頼む。」

ああ、あの時の王子か。

「今回の指揮を執るのは誰が相応しいかはすでに決めてある。

それは、リク=リーゼロッテだ!」

皆の視線が一斉に集まる。

まあ、今となっては僕も有名だからな。

「ぼ、僕ですか?」

「ああ、今年こそ負けるわけにはいかないのだ。

頼むお前の知恵を見込んで頼みたい。」

「まあ、一年が全員Eクラスから選出された辺りで本気で勝ちにいってる

とは思っていました。では皆さん。

『捨て駒になる覚悟はおありですか?』」

「す、捨て駒だと?」

「ふざけんな、そんなのなれるか!」


「何故ですか?皆さんが欲しいのは勝利でしょう。

古来より死の覚悟なく戦場に立つ兵士などいません。

それが、死ぬこともないゲームで何故でしょう?

確かにあなた方2、3年は帝国の生徒に比べれば、持ち得る情報の中では

上かもしれません。しかし、あなた方の力は一つのイレギュラーで

簡単にひっくり返るほどの些細な差でしかない。」

「それは、確かにそうだ。しかし、お前ら一年が『その考えですね。』」

リクは我慢できずに割って入る

「その人に頼りきる姿勢が良くないのです。

僕の作戦を実行出来ればあなた方だけでも十分に勝機があります。

しかし、死の覚悟もないのでは僕の作戦は破綻する。

猛将が猛将たり得る所以《ゆえん》は臨機応変に対応する柔軟性です。言われたことだけやるのであればそれは人間である必要もない。」

「つまり私たちは捨て駒になることを許容するしかないと?」

「そうです。これは言うなればチェスと同じ。

しかし、盤上に立つは予測不可能な人間なのです!」

久々に血が騒ぐ。僕は前世でチェスや将棋で全国大会優勝するほどだ。

「わかった。みんな、この大会に負けると国からの補助金などにも影響が

あるのだ。勝つために必要なのだ。わかってくれ。」

渋々了承してくれる。

「しかし皆さん。今回の負ける確率は限りなくゼロです。

言っておきますが、彼らが取る行動は僕からしたら猿が考えたような

児戯です!」

「児戯だと?」

そう、この世界にはまさに生兵法というのもおこがましいレベルで

馬鹿なのだ。歴史書を見てもひたすら魔法放ったり、

数で攻めたりしている。」

これは馬謖を切っても泣かないレベルで馬鹿なのだ。

「では、こちらの作戦は……………………。」


「さあ、始まったぜーーー!王帝対決!!!!!!!!」


「お前達!帝国の強さを見せてやれ!」

うおおおおおおおおおおお。

僕は高い場所から相手の出方を見た。

「どれどれ、な、な、なんてなんて『酷い』!」

8割の人間が出撃。残り2割で固まっている。

これに去年負けたの?頭使ってんの?

作戦会議の時


作戦を伝えるのはマルコ先輩のみ。僕がEクラス全員を動かす

2、3年生はマルコ先輩へ。

「今回の作戦は真の『背水の陣!』です!」

「背水の陣?」

「今回は会場が結界で囲まれていますよね。

そしてその結界を越えれば失格。つまり後ろは死地。

生き残るには活路を開くのみ!それによって本来以上の力を発揮して

もらいます。そして僕らは後ろに回り敵を挟んで敵を倒す。

何故僕らが後ろかというと、戦において、最も難しいのは退却。

つまり敵に背を向けた状態。そこでEクラスの火力と展開速度の速さで

殲滅します。」

「そんな策があるとは。」

やっぱりこいつらアホかも。

時間は戻り今絶賛策が大当たり中。

やはり、うまく2、3年生が踏ん張ってくれる。

「うわあああ。」

「いつのまにうしろに!?」


モニターで見ている観客達は大絶賛だ。


正直言っていいですか


なんでこんなのに負けたの?

確かに背水の陣は古今無双の大軍師韓信が考案した神がかった策である。

しかしむしろこの策を使う必要もないほど馬鹿である。


「すごい!こちらの被害は1割、対して敵は残り2割。これはいけるぞ。」

「よし!全軍突撃!」

『おおおお!』

なんか憧れの軍師になった気分。気持ちいい。

「僕らの出る幕もなかったな。」


ん?ん?

どたばた倒れていく自軍。

ん?どした?

ついにはEクラスの生徒まで倒される。


聞こえてきた魔法は

全属性複合上級魔法<虹色大砲撃レインボー・ビック・ビーム>


確かに凄い威力だ!凄い威力だけども……名前ださすぎない?


「はっははは。

おい、人がゴミのようだぜ!」

まさか、このセリフは、いやしかし、

まだ半年あるはずでは?

あのフードの男。

「ごめん、マリア少し行ってくる。」

「ん?あちょ、行っちゃったわ。」

この結界内は外は昼であり、

結界によって今は夜になっている。マリアを連れてきてもいいが、

あくまであいつの正体を確かめるだけ。


「あいつは、すめらぎ奏多かなた!間違いない。僕のクラスメートだ。

数は15人ほど。あ!………雄也。まさかまた会えるとは。

だが、負けるわけにはいかない。


………<闇の外套>僕を包む漆黒の外套が完全に僕の姿を消す


やはり月読の力は使い勝手がいい。

   炎絶級魔法<世界殲滅砲>

を3発、完全に消し飛ぶ帝国側。


「突如の大魔法攻撃で、試合は決着ーーーーーーー!!!!!!!!」


「ふう、なんとか勝てましたか。」

そんなことよりすでに召喚されている?

しかし天照様は全員と言っていた。これでは数が合わない。

まさか、すでに王国にも?しかし、今の僕では知る由もありませんね。

情報は最も重要なものだろう。流石の僕でも不可能だ。時を待つしかない。」


その頃皇族のセルカとフィーディス。

「ま、まさか。彼ら勇者達が負けるとは。」

「ええ。これは大変ですね。王国との戦争は一筋なわではいかない

でしょうね。」

「早く父上に伝えなければ。」

「まさか、向こうも勇者を?」

「流石にそれはないですよ。」

「杞憂だといいけど。」


王国生徒達は。

「みんなよくやってくれた。しかし、相手強い魔法が出てきたが

それすらも圧倒するあの魔法は誰がやったんだ?」

「一人しかいないですよ。」というE組の生徒たち。

「そ、そうだな。

リク一人でも彼らを倒すのに十分もいらないと思うが。

これは学院対抗だからな!」

「しかし、勝ちはみんなでの勝利ですよ。」

と僕は軽口を叩くが内心穏やかではない。

(まさか、どうする?帝国潰す?いや彼らには罪はない。

しかし、僕の前世での恨みは?)

リク。

「リク!」

「はい!?」

「もう何回も呼んでるのに。どうしたの思い詰めた顔して。」

「いやなんでもないですよ。」

「なんでもないわけないじゃん。あんな顔してたのに!」

「今はまだ、その時が来れば話します。」

「そっか、でも一人で考え込まないでわたしにも相談しなさいよね。

絶対軽くしてみせるし。」

「ふふ、ありがとう、マリア。」

「当たり前じゃない!こ、恋人なんだから。」

もう一年以上経つのにまだ恥ずかしがるマリアが愛おしい。

そうだ、この幸せを奪われるわけにはいかない。

必ず!




















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