第16話 グラン先生

「おし、改めてよろしく。剣術の授業を受け持つグランだ。

よし、俺は見かけによらず回復魔法が使えるから、訓練は真剣だ。

学院のやつでもいいし、持参してもいいぞ。

しかし、命までかけてはいけないぞ。その時は止めるけどな。」

「真剣を使っていいのか。」

「学院の使う?」

「うん、剣聖と戦う用の剣もあるんだけどね。」

「何それ?」

「にしし、お楽しみに〜」

「よし、今日は型から教えてくぞー。」

グランの掛け声で授業が始まった。

「先生、手合わせ願えますか?」

「えーと、リク=リーゼロッテだったか?いいぞ。

しかし俺は強いぞ?」

「承知の上です。」


「リク、負けないよね?」

「まぁ、太陽の力は使わないけど、全力でやるよ。」


「よろしくお願いします!」

「おう、こい!」

僕はカウンター狙いだ。相手が剣の腕は上。先に動くと不利になる。

「こないのか。じゃあ行くぞ!」

横なぎ!?刀じゃないのに?

僕は横なぎを剣でいなし、

二撃めを躱しカウンターをした。

「捉えた!」

「甘いぜ。」

声のする方へ向くと

僕は後ろをとられていた?何故?

「お前は確かに攻めも守りも丁寧だ。だが詰めが甘すぎる。

お前が俺を殺さないために剣撃を緩め、

剣速が落ちたその瞬間、思い切り移動する。

緩急をつけることで人の視覚をごまかせる。

そう言った『絡め手』も学ぶんだな。

お前は1年にしちゃ、十分すぎる強さだ。

後2年弛まず一緒にがんばろうぜ!」

「次は勝ちますよ!」

「おう!やってみろ。」

トンと拳を交わす


「授業はここまで、放課後までがんばれよ。」

「なかなか強いな。」

「リクもよ。あれで全然本気じゃないんでしょ。」

「お互い魔法なしだからね。単純に経験が先生の方が上だよ。」

「あの。」

か細い声が聞こえる。

「はい?」

「あのリク君大丈夫?凄かったよ。」

「ロニカ。ありがとうございます。そうでしょ?すごいでしょ?」

「そういう自信満々な所も凄いわね。」

マリアさん、少しは自慢させてくれても。

「私ももっと強くなりたいから、リク君が教えてくれないかな?」

「いいよ。僕に任せて。」

「ちょっと私は?」

「マリアももちろん見るよ。さ、次は魔法理論の授業だよ。」



「魔法理論を担当するリズ=クインだ。」

「へ?学院長がやるの?」

「そうだ。」あ、独り言のつもりだったのに。

「お前たちは今日、初級魔法をすでに全員習得できたようだな。

しかし、中級魔法まではなかなかに遠い道のりだ。

そこで魔法の威力を底上げする、「連立魔法陣」を紹介しよう。

これは同じ魔法の門を干渉させて魔法文字に韻を踏ませることで

魔法の威力を2倍にする魔法だ。」

「学院長。質問よろしいでしょうか?」

「言ってみろ。リク=リーゼロッテ。」

「連立魔法陣は2つ以上できますよね?」

「理論上可能だ。」

「理論上?」

「そうだ、この私でさえ、一つの魔法に連立できるのは一つのみだ。」

「え?連立魔法は確かに本でも2つまででしたが、

初級魔法なら5つ、中級魔法は4つ、

上級魔法は3つまで可能なはずですが。

それに威力は倍数でなく累数です、初級魔法なら32倍になります。」

実は超級魔法でも一つだけできたのだが、

それをいうとまずいので伏せておく

「ほう、それはどこで聞いた?」

「聞いた?自分でですけど?」

「ちょ!リク、馬鹿!」

「へ?」突然マリアに罵声を浴びせられた。

ツンデレのツンの部分が出たのか?

「ほう、すでに上級魔法が使用可能かつ、連立魔法陣最大5つだと?」

やば、上級魔法でもぶっ壊れなんだっけ?

「あ、すみません。嘘です。少し見栄を張ってしまって。」

「そんな口ぶりには見えなかったが?」

「いや、まじ勘弁してください。」

「では、私に嘘をついた罰として連立魔法陣を組み立てろ。」

よし、なんとかごまかせた。バレないように初級でやりますか。

「はい!できました。」

僕はまたやらかした。

「それはなんだ?5つ連立しているな。」

「あっ、なんか出来ちゃったー。僕って天才?」

まずい、ここに来て、天才キャラが崩れかけてる!?

「しかし、これは凄いな。リーゼロッテ、後で私の元までこい。」

「そんな!?僕は行きませんよ。あなたと話すことなんてありません。」

「学院長に逆らうのか?」

「うわー、職権濫用だー。」

「リク、ちょっとは自重しなさいよ。」



休み時間

「リク君」

「おい、リーゼロッテ。」

「おい」「おい」「ねえ」


うるさあああああああああああい

「雁首揃えて僕の所へなんのようですか!?」

「さっきの全然わからなかったの、だから教えてくれないかな?」

「では、僕が黒板を使って教えます、そっちのが早いし。」


「とまぁ、これで連立魔法陣は完成です。

僕は実戦で使うため、この数しか連立しませんが、

時間をかければ、もっとできますよ。」

「すげぇ、わかりやすい。」

「すごい!」

あはは、なんかきもちいなぁ

「よし!では皆さん、魔法は僕に任せてください!

みんなで来年Sクラスに入りましょう!」

「おおおおおおおー」となんやかんやクラスに団結が生まれた


「リク、あんたなんか忘れてない?」

「何をですか?僕は今最高にいい気分なのです。」


「あれ?誰か扉の前にいますね?」

「退学になりたいんだな。私は休み時間にこいと行ったよな?」

「へ!?嘘、忘れてた。しかし、後でと言ってたような?」

「うるさい、早くこい!」


なんとか連立魔法陣を教えて許してもらった。

彼女も天才だ。もう僕と同じことができるそうだ。


「やっと放課後ですか。」

「初日からやらかしまくったわね。」

「でも、クラスのみんなもいい人だし、楽しくなりそうでなぁ。」

「そうだよね。みんなで来年はSクラスになりたいね。」

ただ一人を除いて。








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