魔法学院編

第15話 入学

僕らは両親と屋敷のみんなに別れを告げ学院へ向かった。


「大きいね。」

「うん、大きい。」

「でかいな。」

学院の感想は一様。

僕の学院生活が始まりを迎えるとともに、

来年起こるであろう出来事も無視はできない。

対応は未だ決めかねているが。

「ええ、と僕らはEクラスか。どうせならSとかのがかっこいいな。」

「なんか、適正属性の多さで割り振ってるみたいよ。」

「なんですと?では、沢山の複数属性持ちがいるんですか?」

「そうなのかもね?」

「まぁ、まずは入学式に出席しますか。」


僕と同じ赤髪の整った顔立ちの美しい女性が壇上に上がる

「学院長リズ=クインだ。

毎年生徒達には魔法協会に入ってもらうが、

主席が100番内、上位二割が300番内ほどが例年だ。

皆には例年通りではなく期待を裏切って欲しい。

そのために今年は様々な取り組みを開始する。

何故ならお前達は適正属性が多い黄金世代だ。

特にS、Aクラスには期待している。

以上だ。」



「やっと終わったか。もう全然覚えてないや。」

「まぁ、いろんな人から話があったからね。

でも学院長の話だけは覚えてるよ。

属性を複数持ってる人が多いみたいだね。」

「仮に100個持ってようが変わりませんよ。

学院長は魔法協会で2位。つまり彼女を倒せば、うふふ」

「こーら、何考えてんの?間違えても戦い挑んだりしないでよね。」

「ご安心を、僕が戦うのはマリアを守る時だけです!キリ!」

「早く行くぞ、リク。」

「ラーさん、そこは何かツッコミを。」


教室に入り席に着くと教師が入ってきた。

「おし、皆んな揃ってるな。俺はグラン。

授業は剣術を受け持つ。このクラスは属性は皆んな一つだが、

上手く協力して高め合うように。」

「マリア、今剣術って言った?」

「様々な取り組みって言ってたから、それじゃない?」

「俺は魔法剣士だ。今年から剣術の導入に伴って雇用されたんだ。

剣聖も後日来るから、楽しみにしておけよ。

ちなみにEクラスは最も見込みがないとか言われているが、

俺はそうおもわねぇ、みんなで見返してやろうぜ!

何か困ったことがあれば遠慮なく頼れよ!

じゃあ、一限目は魔法の授業だから訓練場に行くように。

よ、事務連絡はここまでにして、自己紹介を順にしてもらおうかな。

じゃあ、左から。」

と言うと、順番に全員が自己紹介した。

やはり平民のマリアに皆んなが驚いていた。


「皆んな低めの身分だね。」

「確かに一番伯爵家の男の子が一番高いよね。」

つまりSクラスは王族や上級貴族ばかりということか?

「そんなことより、魔法の授業に行こう。」

「そうだね。」


「訓練場ですら家より広いもんね。」

「ここで戦ったりするみたいよ。あっ、先生きたよ。」


「私はカリオス=ドラン。ドラン先生とでも呼んでくれればいい。ちなみにSクラス担任だが、

魔法の授業は1年全員私が受け持つ。

まぁ、だから一属性だらけのクラスをこの私が見るのだが。」と嘲るように鼻を鳴らした。

「なんか感じ悪いね。」

「そうだね、でも実力もあるんだと思うよ。」

「では、まずこの授業のうちに、自分の属性の初級魔法を完成させろ。」

「ま、僕たちには必要無さそうだし、

だからってあんまり大規模な魔法は使えないから、

教えてあげたり、自分の勉強しようか。

そろそろオリジナル魔法作りたかったから丁度いい。」

「オリジナルって、まぁでも忙しくて全然時間なかったもんね。」

「最初だから、教えてくるよ。」

そう言って僕は

先程から魔法陣が進んでいない女の子のもとへ行った。

「大丈夫?えっと、シャトリーさんですよね?」

「あっ、はい。ロニカ=シャトリーです。

ロニカって呼んでください。」

美しい栗色の短髪で栗色の瞳。

「では、よろしくお願いしますロニカさん。

魔法陣展開に困ってますか?これは水攻撃魔法かな?」

「すごい、見ただけでわかるんですか。

そうなんです水回復魔法は勉強したんですけど

攻撃魔法がうまくいって無くて。」

そう、実は火魔法以外は色々別れていて水には回復魔法があるのだ。

「ロニカは魔法陣を複雑に考えすぎてます。

魔法陣は円を描くように、そして魔力門を置く。

初級魔法なら数も少ないから見るべきところを見ればいいんだよ。」

「あっ、こうかな?」というと魔法陣が完成する

「やった!できました。えっとリクさん?」

「おめでとうございます、それとリク=リーゼロッテです。」

「ありがとうございます。後でお礼を。」

「いや、大丈夫ですよ。これくらいでお礼なんて。」

「じゃあ、何か困ったことがあれば頼ってください。

絶対助けますから。でも、これからも魔法教えてもらえませんか?」

と上目遣いで顔を紅潮させながら尋ねてくる。

「もちろんです。これからよろしくお願いします。」

「はい!もちろんです。」


そして全員が魔法を放ち終えた

「ほう、全員出来るとは驚いた。なかなかだ。

特にリーゼロッテとマリア。お前らはずば抜けている。

これからも励むように。」

確かに僕が教えたのはロニカだけ。マリアも一人だけだ。

皆んな勉強してきたのか?

「意外と悪い人じゃないのかな。」

「たぶん実力がない生徒を一様に怠け者だと思ってるタイプの終着点だと。一属性は落ちこぼれしか見てこなかったのかもね。」

次は剣術の授業だ。












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