第12話 「奴隷(病弱)はオークションの意気込みを語った」

 何とか無事にザバール様のテントへ戻り、傷を治して、グッスリ寝て完全回復したパーティ。

 そして迎えた3日目の「昼」。

 ご飯食べたり【ラック】使う人は使ったり。

 そして戦利品を換金して分配したり買い物をしたり。


 具体的にはティファーラが2個、マリリンが1個の魔香草を購入してヒューマに(恩着せがましく)持たせた。

 で、ザバールポイント30ポイントを得て、現在のザバールポイント830ポイント。




マリリン:何か、全然お金貯まらない……。


ヒューマ:赤い宝石、どこにあるんだよー。まったく進めない。今度は西の方の外れまで行ってみないと。それか一番南まで行ってみるか。2マスしか進めないよ。寝る場所がない。神殿を通り過ぎて西へ行ってみよう。


マリリン:わかったー。


GM:では、西へ進んで『ダルクレム神殿』へ行くんだね。そうすると、相変わらず門番が立っていますけど。


ヒューマ:無視(コワイから)。


ティファーラ:無視だね(コワイから)。


GM:では、そうして西へ進んでいくと、ついに突き当たるぞ。


ドリル:お!


GM:君たちの目の前には大きな湖が広がっています。


ヒューマ:湖かー。


GM:そして、君たちの目の前には見覚えのある風景が。


ティファーラ:見覚えがある光景?


GM:君たちが最初に売られてきた『奴隷市場』が。


マリリン:奴隷市場……。


ティファーラ:ここから買われてきたのかー。


GM:見ると、どこからか馬車―――この街には馬はいないんだけどね。よく分からない怪物が引いた護送車に乗せられた奴隷たちが、この『奴隷市場』の中に連れて行かれます。


一同:………。


GM:この中に入っていくこともできますよ。


ヒューマ:え? 奴隷市場の中にボクたちが入っていく? この奴隷の身分であるボクたちが?


マリリン:(笑)。


GM:売られている奴隷たちを見物に行くとか。まあ、興味がなければ立ち去ればいいが。


ドリル:あ、湖があるってことは、近くに川があるハズだよね。


ヒューマ:お、確かに。この近くに川はあるかな?


GM:まあ、北の方に向かって、いくつかの川はあるけど、どれが君たちの求めている川かはわからないよ。


ヒューマ:じゃあ、とりあえず北に向かって進んでみるか。


ティファーラ:だね。


マリリン:『奴隷市場』はどうする?


GM:うむ。君たちがそうやって『奴隷市場』の前で入ろうかどうか迷っていると、フードを被った男が、君たちの中で信用できそうな人を見て話しかけてくるんだが……。さあ、ダイスを振りたまえ。


ヒューマ:これって何かを足したりするの?


GM:いや、足さない。ダイスの結果だけ。信用されそうな顔をしているかどうかだから。


ティファーラ:私は……信用されそうな顔をしているよーーー! ……(コロコロ)……10!


ヒューマ:まあ、相手は男なんだよねー……(コロコロ)……11。


ドリル:信用されたいッッ! ……(コロコロ)……7。普通じゃん。


マリリン:私もー。……(コロコロ)……8。


GM:あーあ。カワイソウに。外面だけがいい、一番信用できなさそうなヤツに声を掛けちゃったよ。


マリリン:(笑)。


ヒューマ:ちょっと!? 何でGMがそんなに毒々しいの?


ティファーラ:私にしておけば良かったのにねー。


GM/フードの男:「そこのお前。お前が付けている首輪。……お前、奴隷だな?」


ヒューマ:「いかにも。自分は奴隷だ」


ティファーラ:何で偉そうなの? オカシー。


ヒューマ:「俺は浮民ではない。選ばれし奴隷なんだ!」という気持ちで(笑)。


GM:まあ、もっともですね。フードの男は首輪をしていませんからね。男は「首輪を付けている……ということは市場に入れるんだな?」と言ってきます。


ヒューマ:ん? どういうこと? 「そうなのか?」と聞きますが。


GM/フードの男:「主人に命じられて奴隷が奴隷を買ったりすることがあるからな」


ヒューマ:え? 奴隷が奴隷を買うの?


GM:主人に命じられてね!


ヒューマ:あ、そうか。何か、奴隷が自分の趣味嗜好で別の奴隷を買うとか、ヘンだと思ったわー。


マリリン:いや、その考えは完全にオカシイよ。


ヒューマ:「何か話がありそうだな?」と男に。いくつぐらいなの?


GM:まだ若そうだよ。


ヒューマ:若僧だな……。


GM:歳は20歳。


ヒューマ:年上だった!(←18歳)


ドリル:やっちゃったね。


ヒューマ:「……で。奴隷市場に入れるから何だと言うんだ。別に入りたくもないが」


ティファーラ:何かエラそう。


GM/フードの男:「今日……この奴隷市場で……俺の妹が売られる……!」


ヒューマ:「そうか。それは可哀想に……」


ティファーラ:「ねえ、買い取ったら?」


ヒューマ:「ちょっと! 買い取れるワケないでしょ!? お金がないんだから!」


GM:「金は用意してある」と男は言います。「ここに4000ガメルある」


一同:エーーーッッッ!?


ヒューマ:コホン……。では眉ひとつ動かさずに「……これで足りるのか?」と。


ティファーラ:うわー……。


GM/フードの男:「自分の妹に値段を付けたくはないが……ムーランは……2000から3000で売られるハズだ。無事、競り落として来てくれれば、残った額はお前たちが持って行って構わない」


ティファーラ:うほほ……!(←?)


ヒューマ:「……そういうお前は、どういう立場でここにいるんだ?」


GM:そうすると、「ここで騒ぎを起こせば、蛮族連中は、街のあちこちで、関係のない多くの人々を殺すだろう。……だから事を荒立てたくない」と言います。


ヒューマ:あー、つまり、この人は浮民とかではなく、さらわれた妹を取り戻そうとここまで来たんだけど、奴隷の首輪とかしてないから、中に入れない。でも騒ぎを大きくしたくないから、奴隷の俺たちにこの話を持ちかけたということか。つまり、この街の中でそれなりの立場にいる人間ということかな?


GM:そうだねー。見た感じからして、物腰もしっかりしているし、体も鍛えているのがわかるよ。多分、1対1なら、君たちよりも強力だろうと思われるが。……にしても、こんなところで騒ぎを起こすほどの並外れた技量は持っていない、ということだね。どうする?


ヒューマ:まあ、それは断る理由がないというか……。でも、そもそも「競り」ってどうやるんだ?


GM:さあ、それはやってみないとわかりません。


ティファーラ:(指を高く上げながら)イチイチイチイチ! ニーニーニーニー! サンサンサンサン!


GM:え、と、突然、何が始まったの?




 こうして何の前触れもなく始まったティファーラによる「競り」の練習。

 彼女の中での競りのイメージに不安を抱くパーティの面々。

 しかし、この行動によって、パーティメンバーの心は動かされた。

 決して「上手く競り落とせたら、めっちゃ儲かるんじゃない?」的なムーブではない。




ヒューマ:「わかった。やれる範囲でやろう」と。きっと俺たちもそうやって競り落とされたんだし。


GM:いくらだったんだろうね(笑)。


ヒューマ:正直、4000ガメルとかいう値段ではないと思う。


ドリル:4人まとめて1000ガメルくらいかな。


マリリン:せつなッッッ。


ヒューマ:「わかった。じゃあ、行ってこよう」と男に。で、ティファーラに向かって「ティファーラ、大丈夫か?」


ティファーラ:「ん?」


ヒューマ:「話をきちんと聞いていたか?」


ティファーラ:「聞いていましたよ?」


ヒューマ:「なるべく安く買い落とせよ? 上限は3500。できれば3000だぞ。」


ティファーラ:「任して!」


ヒューマ:「軽いなー……」


GM:じゃあ、引き受けるんだね。そうすると、男は「俺は『追剥ぎ小路』のメルキオーレだ」と名乗ります。


ティファーラ:『追剥ぎ小路』?


マリリン:治安悪そう。


ドリル:どこも変わらないんじゃないの?




 というわけで、『追剥ぎ小路』のメルキオーレ(妹持ち)に各人が自己紹介。




ヒューマ:ところで『追剥ぎ小路』ってどこ?


GM:さあ。


ヒューマ:まあ、でも、ここでこの依頼を成功させれば、『骨の川』の場所が聞けるかもよ。メルキオーレは、この街に住んでる人なんだから。


ティファーラ:おー。そうだねー。


ドリル:それにもしかしたら、『追剥ぎ小路』に泊めてもらえるようになるかもしれない。


ヒューマ:よし、じゃあ頑張るかー。


一同:おー!




 こうして自らが売られていた思い出の場所―――『奴隷市場』で、他人の妹のオークションに参加することに。


 でも、いざ「奴隷を買う」ってなると、すっごくウキウキワクワクするよね!

 実際、買われる側だと、すっごくドキドキビクビクするよね。というかしたけど。

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