第11話 「奴隷たちは人間の強さを思い知らされた」

 『ザバール様のテント(ホテル)』へ帰ろうとしたパーティメンバーの前に立ちはだかるワンダリングモンスター!

 ワンダリングが留まるところを知らない!




ヒューマ:また出ちゃったよ! ワンダリング!


ティファーラ:いらないって!


GM:「ほうら、お前たち、待てよ」と。


ドリル:人間? 盗賊?


GM:人間ですけど、話が通じる相手ではなさそうですね。蛮族連中と一緒に生活しているうちに蛮族と同じような立ち振る舞いになってきている連中ですね。交易語で話しかけてきています。コイツらは人間でありながら、蛮族に魂を売ったような奴らですね。


ティファーラ:さいてー。




 まあ、私たちもザバール様の奴隷として喜びを見出しているワケですが。




ドリル:名誉蛮族ってのじゃないよね?


GM:違うよ。あ、でも4人いるよ。10メートルの距離。ではセージ判定を。


一同:……(コロコロ)……。


GM:はい、ではヒューマ以外全員成功。


ヒューマ:何だよ!? 人間すらわからないのかよ!?(笑)


ティファーラ:人間もわからないとか~(笑)。


GM:コイツらは「山賊」だね。


ティファーラ:えーーー!? (ヒューマを指して)山賊もわかんなかったの? こいつー。


ヒューマ:何か、ムカつく(笑)。


GM:前にいる2体は「山賊の突撃兵」。後ろの2体は「山賊の弓兵」。しかし、コイツらのタチの悪いところは[剣の加護/運命変転]を使ってくるところ。


ヒューマ:そうすると、コイツらのいいところは武器防具を持っていること。つまり倒したら武器防具をすべて剥いで持って帰れる!


一同:あ~!(喜)


GM:持って帰れません。


ヒューマ:何でだよ~。


GM:文句があるならSNEに言ってくれ(笑)。あ、ちなみに弱点は人間だから「ない」。では先制判定を。目標値は9。


一同:……(コロコロ)……。




 ここは手堅くヒューマとドリルが成功。

 まあ、相手は人間の山賊なので、多分、余裕だと。

 というわけでダイジェストでお送りします。


 第1ラウンド。

 先制はPC。

 ドリルの《牽制攻撃》が外れ。

 マリリン近づくだけ。(ヒューマ:隊列変えるかー……)

 ヒューマが突撃兵と乱戦状態に。攻撃して命中。ダメージ12点。ペチリ。

 ティファーラが突撃兵に【エネルギー・ボルト】。当たって9点。突撃兵「痛ぇ!痛ぇよう! この人殺しぃぃぃ!」

 怒った弓兵がティファーラに集中砲火。(GM:魔法使いを撃たざるを得ない……!←嬉しそう)1発目回避。2発目当たり。ダメージ10点。




ティファーラ:あー、もう最悪なんだけど! ちょっと! ホントに痛いんだけど!


GM:死んだ? ねえ死んだ?


ティファーラ:生きてるよ!(キャラクターシートを隠す)


ヒューマ:何で隠してんの?(笑) まあ、気持ちはわかる。


GM:ちゃんとGMにHPが見えるようにしなさい(笑)。


ティファーラ:ヘンターイ!


ヒューマ:「変態」って来ちゃった!(笑)


マリリン:なんで、アンタが喜んでんの?




 続いて突撃兵2体はヒューマに攻撃。1発目当たり。2発目は回避。




GM:1発目のダメージ……(コロコロ)……あ、ちょっと待って。[剣の加護/運命変転]してダメージ12点!(ドヤ)


ヒューマ:え? マジ、何なの、それ。感じ悪すぎるんだけど。12点とか意味わかんないし。




 第2ラウンド。

 先制はPC。

 ドリルが弓兵にロングボウで《牽制攻撃》するも外れ。

 ヒューマが弱っている突撃兵に攻撃。命中して12点ダメージ。1体倒す。

 ティファーラがマリリンから【キュア・ウーンズ】をかけてもらえる場所まで移動して、弓兵に最後の【エネルギー・ボルト】。(ティファーラ:よくも~!)当たってダメージがクリティカル!16点ダメージ。弓兵「ピクピク」

 マリリンが前に出て乱戦状態に。ティファーラに【キュア・ウーンズ】して7点回復。(ティファーラ:ほとんど治った!)

 弓兵は下がりながらティファーラに1発。(ティファーラ:もうMPないわ~~~!狙っても意味ないわ~~~!)当たって、ダメージ8点。もう1発はドリルに。当たってダメージ12点。

突撃兵はヒューマに当たり。ダメージ13点。(ヒューマ:やばいかもー)


 第3ラウンド。

 先制はPC。

 ドリルが弱った弓兵にロングボウで《牽制攻撃》してやっと当たり。ダメージ10点。弓兵を1体倒す。

 ヒューマが突撃兵に《全力攻撃》で当たり。ダメージはピンゾロ!(経験点50点ゲット)しかしこれは痛い。マジで。さっき熱湯を被った時に[剣の加護/運命変転]使っちゃってたからね……。

 マリリンが《魔法拡大/数》でヒューマとティファーラに【キュア・ウーンズ】。ヒューマが5点、ティファーラが7点回復。

 ティファーラが全力で逃げる。具体的には51メートル後方へ。と思ったが離れすぎると怖いので30メートルで。

 弓兵がドリルに攻撃して当たり。ダメージ9点。

 突撃兵がヒューマに攻撃して当たり。ダメージ12点。(ヒューマ:やべー。一瞬死んだかと思った!)


 第4ラウンド。

 先制は何とかPC。

 ドリルが飛行してロングボウで弓兵に《牽制攻撃》してギリギリ当たり。ダメージ12点。

 ヒューマが突撃兵に攻撃。当たってダメージ8点。

 マリリンがヒューマに【キュア・ウーンズ】で9点回復。(マリリン:もうMPない)

 弓兵がドリルに攻撃。しかしギリギリかわす。

 突撃兵からヒューマへの攻撃はかわす。(GM:何とか生き延びたねー)


 第5ラウンド。

 先制はPC。

 ドリルがロングボウで《牽制攻撃》。当たって10点。弓兵を倒す。良かった。

 マリリンが突撃兵に攻撃して当たり。ダメージ12点。

 ヒューマが突撃兵に攻撃して当たり。ダメージ12点。やっと倒した! 突撃兵「こ……この……人殺し……!」(←勝手な言い草)



 ……なんというか、人間の山賊4人だったから、結構簡単に倒したかと思ってダイジェストにしたら、結構死にそうだったから驚いたよ! 実プレイ時間で33分とか。

 いきなり三途の川とか見えたりしたし。

 だいたい、ダメージの時に[剣の加護/運命変転]とか使うのってズルくない?

 だって、コイツらって、今日は、多分……っていうか絶対に俺たちとしか戦ってないんだよ?




ヒューマ:さあ、さっさと剥ごう!


マリリン:え? いきなり?


ヒューマ:だってこんなに苦労したんだから、さっさと剥ぐしかないじゃん。


ドリル:剥ぐー! 4回剥げるの?


GM:まあ、そうですけど。誰が誰を剥ぐの?


ヒューマ:じゃあ、俺とマリリンが突撃兵、ティファーラとドリルが弓兵で。




 ヒューマとマリリンが突撃兵からそれぞれ50ガメルの銀貨袋。

 ティファーラも弓兵から50ガメルの銀貨袋。

 山賊の死体から150ガメルという銀貨を剥いで大喜びするパーティの面々。

 ちょっと倫理的に問題があるような気もするが、そこはまあ、アレで。

 しかし、最後に弓兵を漁っていたドリルは……。




ドリル:うぉーーー! ……(コロコロ)……12! なんか良さそう!


一同:おーーー!


GM:ダイスを1個振って、それに50を掛けた分のガメルが入った銀貨袋!


一同:おおおーーー!(←超興奮)


ティファーラ:これで5とか6なら……!


ヒューマ:いや、しかし、油断するな!


マリリン:頑張って!


ドリル:よっしゃ! うおぉぉぉーーー! ……(コロコロ)……カキン(グラスに当たる)……1。


一同:ぉぉぉ(弱)。


GM:では結局、みんな仲良く50ガメルずつということで(笑)。




 こういうコトってよくあるよね。

 世の中ってホントよく出来てる。くそう。




ヒューマ:そうは言っても、ここで自分に救命草を使っておきたい。さすがにHPがヤバイ。使っていい?


GM:10分かかるけどね。まあ、1回くらいなら。


ヒューマ:よし。じゃあ、1回使おう。


ティファーラ:え? ちょっと待って! その救命草、私のヤツじゃない?


ヒューマ:俺も買ったよ! 自分で! 救命草。




 そう、レンジャーはパーティメンバーから大量の救命草や魔香草をあらかじめ渡され、自分の分を使おうとした時にも、横領の疑いをかけられるのだ……!




ティファーラ:とにかく、私のヤツ、使っちゃダメだよ?


ヒューマ:わかってるわ! 救命草は「威力10」のレーティングか。……(コロコロ)……9。だから8点回復。


ドリル:ホント、自分の時には高ぇなー。


ティファーラ:何で、私の時ばっかり低い数を……。


ヒューマ:はいはい、移動するよー。


マリリン:そう言えば、救命草って飲むの?


ヒューマ:いや、ポーションじゃないから、傷口とかに貼るんじゃない? レンジャーが。


マリリン:そっかー。じゃあ、あたしの分も持っててもらおうかな。救命草。


ヒューマ:はあ。まあ、持ちますけど。


マリリン:「マリリン草」ってしっかり書いておいてね。


ヒューマ:そんなに細かく管理したくない……。全員の分、俺が管理するの? ヤダ。……じゃあ、みんな俺に預けた分は自分のキャラクターシートに書いておいてよ。


ティファーラ:わかった。あ、私の残りの魔香草1個あるね。


マリリン:私、MPもないけど、魔香草もないよ。


ティファーラ:じゃあ、私の魔香草あげよっか?


マリリン:いや、それはダメじゃない?


ヒューマ:まあ、さっきの分のお金があるから、貸しとかならいいんじゃない?


マリリン:あ。さっきのお金も分配してもらえると100ガメル払えるけど。


ヒューマ:じゃあ、50ガメルずつ分けたよ。


マリリン:じゃあ、魔香草もらってティファーラに100ガメルね。


ドリル:儲かったね!


マリリン&ティファーラ:いや儲かってないよ!


ヒューマ:ところで、GM。魔香草も使ってもいい? マリリンに。


GM:いいよ。


ヒューマ:わかった。ここは気合を入れて……(コロコロ)……よっしゃ来た! 12!


一同:おーーー。


ヒューマ:でも12でも4点だから、全部で7点です。クリティカルないんだよね。


GM:うん。


マリリン:ありがとー!


ヒューマ:じゃあ、どんどん戻ろう。次は『鮮血城』の前を通るよー。


GM:何言ってんの? 今、『供物牧場』の前なんでしょ?


ヒューマ:まさか、ここでまたイベントがあるの?


ティファーラ:マジで無理やわー(←京都弁?)。




 ワンダリングだけでもヘトヘトなのに、ザバール様のテントに帰りたいだけなのに……。

 そりゃティファーラの(エセ)京都弁も飛び出すって。

 こんな街で観光とか、マジで無理だから!

 神殿跡とか城とか牧場とか。

 字面だけ見たら観光地と言えなくもないけどな!

 

 

 

GM:というわけで『供物牧場』前。「深夜」だね。さすがにこんな夜中にプールで泳いでいるヤツはいない。敷地の中を見ると、向こうにぼんやりと明かりがあって全寮制の校舎のような建物が見えます。で、窓辺にチラと目をやると、中で魔法のライトとかが飛び交っていて、白い薄衣を着た少年少女が語り合ったりしている様子だね。……君たちとは縁のない生活です。「リア充死ね!」とか言いたくなりますよね。


マリリン:でも、あの人たちのことを「リア充」って言ったら可哀想な気がするけど。20歳までしかいないんでしょ?


ティファーラ:みんな生贄ってこと?


マリリン:20歳を過ぎた人がどうなるのか……。


GM:とまあ、こんな光景が見えますが、どうしますか? テントへ戻りますか?


ティファーラ&ドリル:うん。




 イベントは回避できるなら回避していく方向で。MPとかないから。




GM:了解。では「深夜」のワンダリング!(大喜び)


マリリン:出ないで。出ないで。


GM:死ねぇぇぇ! ……(コロコロ)……あ、ダメだ。「死ね」とか言っちゃ(ワンダリングが出ないから)ダメなんだね。




 ホント良かった。

 GMが「死ね」とか言ったおかげで。ホント良かった。




GM:ではあなた方は『鮮血城』の前を通り過ぎて『ザバールの天幕』へたどり着く。「未明」だね。どうするどのくらいの時間を使って寝る? 今日は残り「未明」しか寝ることができない。そうするとMPは半分しか回復しないね。


マリリン:「朝」は寝られないの?


GM:寝ることができるけど、「1日のうちに時間2つ分しか寝られない」から、もし、「朝」を寝ると、その日はあと1つの時間しか寝られない。HPは時間ごとに1割回復ね。


ティファーラ:MPが全然ない。


マリリン:私もー。


ヒューマ:じゃあ、「未明」と「朝」を使って寝よう。俺とドリルは関係ないけど。あ、寝る前にさっき回復したMPで傷を治せるだけ治してね。


マリリン:はーい。治す必要があるひとー。


ドリル:はーい。




 こうして何とかザバール様のテントに戻り、寝床にありつけたパーティの面々。

 なんか、マジでキツイ!

 正直、進んだ先のイベントに加えて、ワンダリングばかり。ヤバイわ、これ。


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