第9話 「奴隷たちは識別の大切さを学んだ」

 というわけで、前回までの進行ルート。

 『ザバールのテント(天幕)』→東→『鮮血城』→東→『供物牧場』→南→『?』

 

 永遠にたどり着かないのではないかと思えたマップだったが、ザバール様のテントから東方向は『供物牧場』で城壁に突き当たることが判明。

 良かった。ホント良かった。

 マップ書くの大変だから。

 

 

 

ヒューマ:というワケで南へ向かうよ。


GM:南に向かっていくと、牧場の形跡もなくなり、もともとは立派であっただろう石畳をひっくり返したような場所に出くわします。


ヒューマ:道?


GM:そう思って見てみると、相当にひどく破壊された建物だ。


マリリン:建物?


GM:そう。打ち壊されただけでなく、あちこちに火を付けられたのか黒く焦げている場所もある。


ヒューマ:廃墟って感じ?


GM:さあ、プリーストもしくはセージの人。知識判定を。ない人も平目でどうぞー。


ヒューマ:……(コロコロ)……。やったー! ピンゾロだ! 50点!


マリリン:えー!?


GM:判定で50点もらうのが目的なの? このゲームって(笑)。




 というわけで、次々とダイスを振った結果、技能持ちのマリリンとティファーラが成功。

 しかし、なぜかテンションは低い。やはり50点がもらえなかったからか。




GM:では2人はわかるっすよー。ここは神殿だった場所ですね。


マリリン:何の神殿だったの?


GM:はい、打ち壊されたホーリーシンボルから分かりますが、“太陽神”ティダンの神殿だったようだね。


ティファーラ:良かったね、関係のない神殿で。


マリリン:うん。


GM:おんなじパンテオンでしょ!? ル=ロウドもティダンも! 第一の剣なんだから。


マリリン:あ、そうなの?


ヒューマ:「なんてひどい……!」とか言いながら、内心は「良かったー」みたいな。


マリリン:ぷるぷるぷるぷる……(←わざとらしい)。


ヒューマ:何かめぼしい物とかないのかな?


GM:ああ、火事場泥棒ってコトですね。


マリリン:昔の話だろうから、火事場ってほどじゃないよね、きっと。


GM:なるほどー。では火事場泥棒めいたことをして漁るんですね。よろしい。ではスカウトで目標値は9。




 火事場泥棒的に色々と漁り始めるパーティの面々。

 もちろんスカウト技能を持っていないマリリンやティファーラも積極的に参加していくスタイル。


 まあ、成功はスカウト持ちのヒューマとドリルだったけど。




GM:そうすると……何と! 焼け焦げた神殿の瓦礫の下に、崩れ落ちた屋根に隠れていた地下へと続く階段が!


ヒューマ:やべー! 変なモノ見つけちまったー! ……見なかったことにする?


一同:(笑)。


ドリル:まあ、中に入って調べてみよう!


ヒューマ:じゃあ、潜ろう。


ドリル:あ、【ライト】使ってよー。【ライト】。


ティファーラ:おっけー。ぴかー。


GM:では、ヒューマの剣に【ライト】を唱えて、地下への階段を降りていくんですね。降りていくと、地下には結構広めの部屋があって、あちこちに大量の死体が転がっています。


ヒューマ:新しいの? 新しかったら「なんで!?」ってなるけど。


GM:いや、古いよ。あ、でも指とかは折れてるよ。


ティファーラ:なんで?


GM:昔、炎の中、ここに閉じ込められて酸欠で死んだらしいから。必死で壁を掻きむしったんだろうね。


ヒューマ:「何とむごい……」とか一応言っておくかー。


GM:ゲスいなー。思ってないくせにー。


ヒューマ:あ、そう言えば、マリリンって【ラック】使ってる?


マリリン:あ、そうだ。朝使わなきゃ。でも、今、使うとヤバイから。ここを去る時に使うよ(笑)。


ヒューマ:それならよし。


GM:なんてマンチな(笑)。




 しかし、結構、【ラック】って使い忘れてしまうかもしれない呪文だよね。

 まあ、俺なら絶対に、朝起きたら、必ず唱えるけど。

 1日1【ラック】だね。

 つーか、マリリンの信仰心の薄さが気になる。僧侶なのに。




ヒューマ:ここは通路とかあるの?


GM:なるほど。では、スカウトで探索を。知力ボーナスだね。目標値は11。


ヒューマ:うーむ。難しい。




 とか言ったものの、ヒューマ&ドリルが成功。




GM:君たちが「まだ隠された扉が……」とか言いながら探していると、足元の死体が動き始めるんだけど。


ヒューマ:仲間になりたそうにこっちをみている。


ティファーラ:かわいいよね、それ。


GM:ホント!? 相手が腐った死体でも?


ドリル:リアルではやめて欲しい。気持ち悪い。


ティファーラ:でもスライムとかだったら絶対カワイイじゃん!




 結局、同じことをしても、カワイイかどうかで決まるんですね。そうですよね、やっぱり(遠い目)。




マリリン:このモンスターはスケルトン?


GM:ではこの状況なので隊列はきちんと組めない。全員横一列に並んでいるところに至近距離で開始。距離は5メートル。相手は2体。同じ種類。さあ、みなさん、おわかりかとは思いますが、ゆっくりと半透明な……。


一同:え!?


GM:……向こうが透けて見える……。


マリリン:骨じゃないじゃん!


ヒューマ:え? 攻撃効かないんじゃないの?


GM:知らない。それをセージで判定するんだろ? では、セージの人、判定を。


一同:……(コロコロ)……。


GM:なんだかよくわかんないよー(笑)。なんだかよく分かんないヤツが迫ってくるんだけどー。では先制判定を。


ヒューマ:いや、これは成功しないとヤバイよ!? 成功してもヤバイかもだけど。


一同:……(コロコロ)……。


GM:ティファーラが11? では、ギリだけど取った!


ティファーラ:やったー!


ドリル:ありがとう!


GM:ではPCからどうぞ。


ヒューマ:うーん。でも半透明なんだろ? 半透明って剣、効くのかな? 一応、魔法がかかっている剣? だけど。 効くかな?


GM:そう思って剣を振ってみれば?


マリリン:効かなさそう(笑)。


ティファーラ:魔法、効く?


ヒューマ:魔法が効かなかったら無敵だろ!?(笑) 何かないのか? 魔法の武器にする魔法とか。


GM:コンジャラーがいないだろ。もしくはプリーストにもあったよね。武器を聖なる武器に変える呪文が。


マリリン:あるの? そんな魔法。


GM:あ、【セイグリット・ウェポン】は4レベル魔法でした(笑)。でも【エンチャント・ウェポン】はコンジャラーの1レベル魔法。


ヒューマ:コンジャラーって必要なんだね(しみじみ)。


GM:どうする?


ヒューマ:あ、でも【キュア・ウーンズ】はアンデットには「威力10」でダメージが与えられるよ。


マリリン:そうなんだ。


GM:さあ、どうする?


ヒューマ:じゃあ、ここは取りあえず斬りかかって「ダメだぁーーー!」とか言わないといけないのか。


一同:(笑)。


ティファーラ:うーん。じゃあ、【エネルギー・ボルト】を2体に撃つ。《魔法拡大/数》で。あ、でも、この後、すぐに帰る? MP心配だから。


ヒューマ:いや、まずはここを生き延びないと話にならないよね(笑)。


ティファーラ:そっかー。じゃあ、撃つよー。


GM:では1発ずつ。


ティファーラ:てぃやー! 1回目……(コロコロ)……13。(GM:あたり)ダメージ……(コロコロ)……10点。2回目……(コロコロ)……10。(GM:抜けない)ダメージ……(コロコロ)……7点。半分の切り上げで4点。


GM:1体目はもう1発くらいかな。2体目はまだまだ。


マリリン:じゃあ、私かー。《魔法拡大/数》で【キュア・ウーンズ】を2体に。


GM:どうぞ。2発分のMP減らしてね。


マリリン:1体目。でかいの~でかいの~でろー! ……(コロコロ)……9。


GM:これは半減ダメージがないので効かない。2体目。


マリリン:でかいの~でかいの~でろー! ……(コロコロ)……9。おっふ。


GM:無効。


ドリル:じゃあ、やるしかないなー。ロングボウで。《牽制攻撃》で。はぁー……(コロコロ)……10。


GM:外れ。かすりもしない。


ドリル:通り抜けた!


GM:いや、当たってもいないから(笑) 違うとこ撃ってんだよ。あとはヒューマ。


ヒューマ:え? やんなきゃいけないの?(笑) 「危険なニオイがする!!」


マリリン:えー(笑)。


ヒューマ:防御に専念!


GM:まあ、そういうのはないけどね。ではこちらの番。そこの男2人の耳元で「死ねぇぇぇ……死ねぇぇぇ……」と聞こえてくる。精神抵抗して。難易度は11。


ヒューマ:えー、結構高いなー。


GM:失敗するとその声に操られて望んだままに行動させられてしまう。


ヒューマ&ドリル:うひー。……(コロコロ)……セーフ!


GM:ではあなた方は耐えきった。では先制判定。


一同:……(コロコロ)……。


GM:ヒューマが成功ね。ではPCから。


マリリン:どうしようかなー。1レベル魔法に【バニッシュ】っていうのがあるけど。成功したら相手が逃げだしたりするヤツ。


GM:あー。でも、これって成功しても【バニッシュ】表を振って敵の反応が決まるんだね。


マリリン:そうなんだよー。だから、成功したのに、敵がバーサークしたりしちゃうんだよね……。ややっぱり、【キュア・ウーンズ】を《魔法拡大/数》で2倍掛けするよー。


GM:どうぞー。


マリリン:1体目……(コロコロ)……12が出た!(GM:あたり)ダメージ……(コロコロ)……8点。(GM:まだ生きてる)2体目…(コロコロ)……11。(GM:ギリ外れ)


ティファーラ:じゃあ、私かー。2倍掛けして2体に【エネルギー・ボルト】。


GM:来なさい! 死にかけの方からね。


ティファーラ:てーい! ……(コロコロ)……14。(GM:あたり)ダメージ……うぅおぉ~ら~~~……(コロコロ)……7点。(GM:死んだ!)2体目……(コロコロ)……13。(GM:あたり)ダメージ……(コロコロ)……11点。


GM:あっばぁーーー! 何とか生きてる! っていうか死んでるっていうか。


ヒューマ:早く、ドリル、とどめを刺すんだ! いけ! ドリル!


GM:なんで、お前は攻撃しないんだ!(笑)


ドリル:いくぜぇ! 「これが……とどめだぁぁぁーーー!」 ……(コロコロ)……お!? やった! 50点!


GM:ちょっと、何やってんの!?


ティファーラ:ねえー! 私頑張ったのにー!(怒)


ヒューマ:「やめろ! 来るなぁぁぁ!」と言って攻撃しとくか(笑)。


マリリン:急に(笑)。


GM:やれよ。早く。エンゲージるんだろ?


ヒューマ:イヤ、やっぱムリムリ。だって半透明なんだよ。効かないって。


GM:やればいいのにー。ではこちらの番。攻撃対象は……(コロコロ)……エルフだ!


ティファーラ:えー!? ナンデナンデ!?


ヒューマ:がんばれー(棒)。


GM:殴ってくるよ。かわして。目標値は10。


ティファーラ:イヤ、おかしいって。私、何にもしてないのに!


GM:いや、一番してるでしょ!?


ティファーラ:……(コロコロ)……9。ヤダーーー!!


GM:体から急速に熱が奪われる。……(コロコロ)……3点。物理ダメージね。


ヒューマ:え? 物理ダメージだったのか。


ティファーラ:1点抜けたー(泣)。


GM:では先制判定。


一同:……(コロコロ)……。


ティファーラ:あ! ファンブルした! いいことあった!


ドリル:見て! ティファーラの経験点が200点もあるよ!?




 スゲェ!

 こんなことだったら、冒険に出ずに呪文のムダ撃ちとかして失敗を待った方が安全に経験点を稼げるのでは……と思わなくもない(笑)。

 っていうか、ピンゾロってそんなに出ないハズだよね。確率的には2.8%しかないんだけど……!?

 稼ぎすぎ!(笑)

 っていうか6ゾロとか出したっけ? 出してないよね、たぶん。




GM:何やってるんだよ、ホントに!(笑)


ヒューマ:しかも先制判定は全員失敗してるし。


GM:じゃあ、こちらから。はい、再びエルフ。目標値は10。


ティファーラ:え、ちょっとヤダ。……(コロコロ)……10。かわした!


ヒューマ:よっしゃ! 斬りかかるぜ!


ドリル:僕も僕も!


マリリン:醜い(笑)。


ヒューマ:うぉりゃあーーー!(訳:ピンゾロこーーーい!)……(コロコロ)…9。


GM:かすりもしないね。


ドリル:いくぜぇーーー! ……(コロコロ)……14。


GM:あたり。では一応ダメージどうぞ。


ドリル:うおぉぉぉ……(コロコロ)……12。やったクリティカル! 2周目……(コロコロ)……9。ダメージは15点!


GM:ま、ダメージ無効なんですけどね(笑)。


一同:(笑)。


マリリン:じゃあ、【キュア・ウーンズ】……(コロコロ)……あ。当たった。ダメージ……(コロコロ)……10点。


GM:ぶっしゃぁあ! 半透明の影が崩れて消えます。


一同:やったー!




 こうして、この半透明な人たちの名前はわからないまま終わった。

 勝ったから良かったけど。

 やっぱり、敵の名前くらいわからないと何か締まらないなー、とか思う今日この頃。

 セージ技能の大切さを改めて知ったヒューマだった。

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