第9話
次の日の朝。
「敦史、私も学校行きたい!」
あともう少しで家を出る寸前にリリスは、そんなことを言い出した。
「ダメだ。幼すぎる」
俺は、妹をあやすように言った。
「敦史にしか見えないんだからいいでしょ?」
リリスは、上目遣いでお願いしてくる。うっ、これは断れなくなってきた。それにしてもどういう風のふきまわしだ?一昨日は、学校嫌いとか言っていたのに。
「リリィは敦史のボディーガードになるの!」
ボディーガードだと?俺の邪魔ばかりされそうだけど。
「それに、もしかしたらお兄ちゃんが学校にいるかもしれないよ」
なぜ、そんな答えに行き着くんだ?まぁ、とにかくリリスは、留守番を……
「また、怖い目にあってもいいの?」
ぐふふと不気味な笑いをする。
「そ、それは…」
俺は、仕方なくおれることにした。
「絶っ対、俺に話しかけるなよ!」
俺は、登校途中に何度も言い聞かした。もちろん、近くに人がいる場合には話はしなかったけど。リリスは、何度もわかったといっているが本当に大丈夫なのか?俺は、いつも以上に心配だった。
学校到着
俺は、いつものように自分の番号のところにシューズを入れ、教室に入り窓側の俺の席につく。だが、今日は、いつもよりそわそわしていた。まぁ、紛れもなくリリスのせいだ。
「巴、今日もかわいいよ」
「いやーん、佑ったら❤️子宮が疼いちゃうよ」
大きい声でいちゃつくカップルを見ないように俺は、窓の外を見る。
「ねぇねぇ、しきゅうがうずくってなに?」
リリスが、俺に聞いてくる。全く、話しかけるなって言ったのに。俺は、深くため息をついた。
昼休み
俺は、昇降口の前で売店で買った焼きそばパンを食べようとする。
「ねぇねぇ、何で無視するの?」
リリスは、俺の身体を揺すってくる。
「話しかけるなって言っただろ。家に帰ったら、教えてやるから静かにしてな」
俺は、小声でいい、パンを頬張る。
「リリィもお腹すいた」
リリスは、駄々をこねるガキのようだ。めんどくさいな。
「はい、一口」
俺は、食べかけの焼きそばパンをリリスにあげた。だが、リリスは、不服そうに頬を膨らませる。
「サキュバスは、〇液しか飲まないの!!それに、ほら、尻尾が垂れてきたよ。〇液を一定期間接種しないとこうなるの。お兄ちゃんのは結構持ったけど、人間のはあまり持たないみたいの」
確かに、狼の尻尾みたいになっている。それに、今気づいたが、小さく黒い立派な羽あるな。それも汚れているのも気のせいか?
「だから、〇液ちょーだい?」
「いや、学校でしこるのはちょっと」
リリスに責められたら、声が抑えきれないだろう。それに、男子トイレに入った男たちに見えないことをいいことにエッチなことをしてしまうかもしれない。
「あと、3時間待ってほしい。そしたらあげるから」
「やだ、今すぐ飲みたいの。ちょうだいよ~」
リリスは、俺を勢いよく前後に揺らしてくる。パンを食べていたら、きっと舌を噛んでしまっただろう。
「我慢してくれ」
俺は、精一杯頼み込む。だが、リリスは聞いてくれない。
「もういい。他の人のもらってくる」
リリスは、痺れを切らしたのかどこかへ行ってしまった。
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