第5話

「なんでそんなにビックリするの?」

リリスは、首をかしげた。魔界では普通なのか?

「吸血鬼だって、兄妹で結婚するし、狼人間だって姉弟でするよ」

やっぱりそうらしい。人間だったらすぐ死ぬらしい。実際、ヨーロッパで近親婚を行い、しばらくして子どもが幼くして死んだという歴史がある。義理だったら話は別だけどな。というか狼ってメスもいたんだ。


「でもね、私のところは普通じゃないの。だっていんきゅばすって孕ませるのが目的でしょ?だから、いつのまにかいんきゅばすの子どもがいっぱいできるの。さきゅばすも同じ」

やっぱりサキュバスって恐ろしいな。あれ、それにインキュバスってもしかして…


「お兄ちゃんもいつか人間のメスに……

やだよ。お兄ちゃんはリリィのものなの」

リリスはまた泣き出した。やっぱりリリスのお兄ちゃんってインキュバスだったのか。あ、そうか。だから、リリスは追ってきたんだな。


「お兄ちゃんに孕まされたいのか?」

俺は、またどこかの〇〇で見たセリフを吐いた。いつか俺がそんなセリフを吐くとは今日まで思わなかったが。


「されたいよ。でも、お兄ちゃんは私のことそういう風に見てくれないの。他の種族はそういう風に思うのに」

リリスは、嗚咽を漏らした。リリスの涙はどこかきれいで宝石のようだ。


そして俺は気づいた。リリスが学校にも行かず行為の勉強もしない理由を。


「じゃあさ、お兄ちゃんに振り向いてもらえるようなリリスになればいいんじゃないか?」

「え?」

リリスは、俺の言葉で泣き止んだ。

「リリスは、圧倒的にサキュバスの、色気が足りない。なら、それを勉強すればいいじゃないか」

リリスは一度口を尖らせたが、ひらめいたような顔つきになった。


「じゃあ、敦史が教えてくれるの?」

俺は、一瞬フリーズした。お、俺が性の一から十を教えるだと?童貞の俺が?さすがにムリだろ。

「敦史わかんないの?」

俺は、言葉に困った。自分から言っといてわかんないっておかしいんじゃ…

「お、俺に任せとけ!」

俺は、声がうわずりながら承諾した。


そしてこれが俺にとっての天国になるとも知らずに。

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