第131話 送別会の後

「二次会とか、どうしましょう・・・?」


 杉山さんに尋ねられました。そろそろお開きの時間のようでした。


「うーん、私はここで帰ろうかな?もういい時間だし。皆さんどこか行くなら楽しんで下さいね。」


 早川さんが言うと、杉山さんも同調しました。


「僕もこのへんにしておきます・・・ゆりか先生、今までレッスンありがとうございました。」


「こちらこそ、本当に楽しくさせていただきました。今日の送別会も、ありがとうございました。皆さんとゆっくりお話できて楽しかったです。」


 お礼を伝え、お店を後にしました。各自、帰る方向へ向かうようでした。それぞれの方向へ分かれ、私も大通方面へ向かおうとしていました。


「ゆりかサン、ワタシはラーメン食べに行きますけど、どうですか?なんか小腹減ってきて。」


 ナミさんから声をかけられました。飲み会のしめくくりに、ラーメンを食べたがる人は一定の割合でいました。


「うーん、ラーメンは好きですけど、もうお腹がいっぱいで・・・ナミさん、痩せている割によく食べますよね。」


 日頃から細い外見の割に大食いのナミさんに笑いました。せっかくでしたがお店でいろいろお料理をいただいたので、もうラーメンは食べられない気がしました。カフェでお茶とスイーツ程度ならいけそうなのにと思いました。


「ナミ、悪いんだけど、この後ゆりか先生と話したいことがあるから、控えてもらってもいい?ゆりか先生、いいですか?」


 それまでお店でもほとんど話していなかった成田さんに声をかけられました。私は驚いて彼を見ました。


「そうなんですか。別に構いませんけど・・・」


 ナミさんはそう返事をしましたが、わずかに何か言いたそうに私を見ました。


「ナミさん、ごめんなさい。行きますね・・・」


 私が来るのを待つように、成田さんがその場を見つめていました。私がナミさんから離れ成田さんの方へ行くと、彼は私の腰へ手を添え歩き出しました。まだナミさんがいたのに、彼がそのように振舞うことに驚いていました。

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